小林太郎、自由な感性で描き出す19歳の生きざまが詰まった1stアルバム『Orkonpood』特集

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小林太郎

全国始動アルバム『Orkonpood』2010.4.14リリース

テレビ朝日系金曜ナイトドラマ『警部補 矢部謙三』(TRICKスピンオフ)主題歌「美紗子ちゃん」収録

愚直なばかりに 自分の感覚を信じて紡ぎだす歌 だからこそ虚飾のない 自分だけの本当の心が現われる

INTERVIEW-1

音楽に限らず、自己表現において、愚直さはとても大切なことだ。小林太郎の音楽を聴いていると、そんなことを考える。不器用なまでに自分に正直で、誰かを真似たり、頭で計算して何かを生み出すことが出来ない19歳。1stアルバム『Orkonpood』は、自分の胸から湧き出たものを何のフィルターも通さず表現した曲の数々は、「あなたなら何を感じますか?」と、こちらの感性を試すようでもある。まず、アルバムのタイトルからして造語。楽曲のタイトルも「安田さん」や「美紗子ちゃん」など、歌詞の内容とはあまり関係なかったり、とにかく自由に創作の翼を広げる彼。いったい音楽的なルーツはどこにあるんだろうと、曲を聴けば聴くほど気になる。

「そもそも音楽で飯を食いたいと思ったきっかけはカラオケなんですよ。高校一年で引っ越す前に一階がカラオケで、二階が民家っていうところに住んでいて、いつでも唄える状態のところにいたんです。小学校4~5年生くらいのときに唄っていたときに、親に“音程良いね!”って誉められ、天狗になりまして(笑)。それで、唄っているのが楽しいというのはもちろんなんですけど、もっと上手くなりたいとか、誉めてもらいたいとか、色んなものが重なり、もっと上手くなりたいと思うようになったんです。最初は絶対に歌手にはならないって思ってたのに不思議なんですけどね。僕は人一倍緊張するんですよ。だから、なぜ自ら緊張することをやらねばならないのか!と。でも予想以上に誉められたことが気持ちよかったんですよね」

ハウリングするギターの荒々しいイントロでスタートする「ドラグスタ」からスタートし、小林のロック魂が炸裂。しかし、意外にも、音楽への最初の一歩はJ-POPだった。幼い頃、彼が好んで唄っていたのは王道のJ-POP。それらの曲で喉を鳴らし、その後邦楽ロックを聴いて、自作自演に憧れはじめる。

「中学2年のときに、邦楽のロックバンドのアルバムを聴いて、すごいビックリして。ヴォーカル、ギター、作詞作曲、すべてヴォーカルの人がやっているバンドだったんですよ。で、そこでバンドを初めて知ったんですけど、その世界が興味深く思えて。それまでは自分で作るっていう気持ちはなかったんですけど、自分で作った曲を誉めてもらえて、歌も唄えてギターも弾けるって、良いとこどり。すごくいいなって。俺もそういう風になりたいなって思うようになって、高校1年のときに本格的にバンドをはじめたんです。今まで漠然としていた夢っていうのがハッキリ見えるようになった」

とはいえ、ギターを弾くことも曲を作ることも初心者。右も左もわからずに、いきなりスランプに陥ったという。

「それまで邦楽しか聴いてなかったから、自分の音楽的なボキャブラリーの少なさに限界を感じましたね。でも、どんな洋楽を聴いても何も良いと思えなかった。このままじゃ、曲もできないって、モヤモヤがピークに達した頃、NIRVANAとビートルズに出会ったんですよ。ロックと言われているものが、どんな風に格好良いのか、その良さがまったくわからなかったんだけど、NIRVANAの『Smells like a teens spirit』を知って、“こんな世界があるんだ!”って思って、1stアルバム『BLEACH』を聴いてみたんです。そしたらすごく濃くて。声も格好良いし、ギターリフも格好良いし。ビートルズはビートルズで、まんべんなく聴いたんですけど、やっぱりすごく良かった。それをきっかけに“いいな”って思えるような洋楽ロックが出て来て。基本的には古いものを掘り返す作業が多かったかなと思います」

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