ナイトメア:結成10周年目前、5人の心を覗くソロ・インタヴューで綴る総力特集

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メンバー・ソロ・インタヴューで綴る、ナイトメア 10th Anniversary Eve 総力特集

ナイトメアの挑戦は、終わらない。

INTERVIEW-03 咲人編

ドライブしながら聴いたらスピード出しちゃいそうな感じというか。
……俺、免許持ってないからよくわからないんだけど(笑)。

今回のツアーの締めとして行なった、ナイトメアにとって2回目の武道館。あの場所で、全員が真っ白の衣装を着た“白メア”を初めて披露しましたけど、後ろのヴィジョンに咲人くんのアップが映ったときに、日本でこんなにパールが映える男性ロッカーはいないぞって興奮しました。あれは咲人君ならではの武器! すっごく似合ってた!

咲人:ホントに? 俺ね、その“似合う”って言葉に弱いんですよ〜(笑)。服屋とかいっても“これすっごい似合うよ”とかいわれると買っちゃうんですよ。(一同笑)それで何度、後悔したか(笑)。

その武道館の最後には、さいたまスーパーアリーナでのアニバーサリー・ライヴも発表しましたね。

咲人:1回もいったことないし、テレビで「ジョン・レノン スーパー・ライヴ」を観たことがあるぐらいだから。でも、デカイんだろうな。その雰囲気に負けなきゃいいですけどね。席が前だろうが一番後ろだろうが、そんなの関係ないってよくいいますけど、やる側はそういう気持ちでやってても観る側は関係ありますからね、やっぱり。実際、俺が初めてデカイ会場でライヴを観たのはLUNA SEAだったんだけど、仙台の体育館で、すっごい後ろのほうの席で。肉眼で観ると(ステージにいるメンバーは)本当に小ちゃいから“これ本当に本人たち?”って思っちゃうくらい(笑)。だから、そこはなんとか、席がどんなに遠くても楽しめる、そういう雰囲気は作りたいです。

そんな10周年へのカウントダウン・シングルとなる今回の「Rem_」。これは、咲人くん的には明るい曲?

咲人:俺的には明るく前向きな曲のつもり。

この爽やかさ、爽快感というのは意識して入れた部分?

咲人:テーマうんぬんは抜きにして、曲だけでいえば“スカっとする感”は意識したかな。例えば、ドライブしながら聴いたらスピード出しちゃいそうな感じというか。……俺、免許持ってないからよくわからないんだけど(笑)。底抜けに明るい曲はできるかどうか分かんないけど、ウチとしてはね。でも、これまで暗い曲が多いし、個人的には聴く音楽はすごいポップなものも好きだから、そういう要素も欲しいなと思って。常に後ろ向いてる人間がやってる訳じゃないんで。(バンドに)こういう要素をどんどん入れていきたい。

結果、この曲はスカっとしてて明るいん“だけど……”っていうところに落とし込んであると思うんだけど。咲人君的には、の“だけど”の後になにが続くんだろう。

咲人:なんだろうな……。イメージでいったら、最初は下向いてんだけど、ふっと上を向いたら空がキレイだった、みたいな。

曲構成的には“I SAVE YOU〜”のところから“ずっと ずっと”も含めてのサビ?

咲人:“ずっと〜”からはCメロですね。この曲はサビのメロディからできたんだけど。お風呂入ってるときに思いつきました。たぶん、何か考えなくてもできる作業をやってるときが一番(曲が)できやすいんだと思う、俺は。頭を洗うとか、米を研ぐとか、頭を使わないでもできるでしょ?

咲人君、米研ぐんだ!

咲人:うん……たまに研ぐ。

この曲は、“汚れないないまま〜”というDメロ・パートもあって。曲構成もノーマルではないというか。

咲人:変だよね(笑)。俺の曲って、全部どこかしら変!(笑)

そうしなきゃ落ち着かないの?

咲人:自分では分かんないっ(笑)。そうなっちゃう。PVにしろ歌詞、タイトルにしろ、なにかしら違和感なのか分かんないけど、そういうのが出てる気がする。最近そう思った。だから、ぶっちゃけていってしまうと、俺、インタヴューとか受けても(変な部分を)完全に説明することはできない。なんでトイレいくの? っていうのを説明する感じ?(笑) “だって出るものは仕方ないでしょう”っていう。

それぐらい自分にフィットしたものとして出てきてる変さ、違和感であると。

咲人:逆に心地いいんだよね。なんでここでこうなるの? っていう部分が。

そういう曲にグッときちゃうと。

咲人:うん! 俺、一番惹かれるのが、フレディー・マーキュリー(ex QUEEN)がソロで出したときの「I Was Born To Love You」のPVで。鏡張りの部屋で一人で歌ってるんだけど、途中からいきなり女の人が出てきて絡んだり、間奏では急にだだっ広い空間に切り替わって、ピラミッドみたいなのがある下に兵隊の列が出てきて行進してるの。そのピラミッドの頂上でフレディーと女性ダンサー2人が絡んで踊ってるという。なんでこんな風になるの? っていう、そういうのが好きなんだよね(笑)。でね、本人は真面目にやってるんだろうけど、観てる側からしたらちょっと笑えるっていうのが好きなんだろうな。

この曲で笑えるところというと?

咲人:笑えるほどではないけど、Dメロでなんで転調するんだろう?とか。

どんどん上がってってね。

咲人:変だもん(笑)。でも(ここで)転調しなかったら、自分的にはなにも面白くない。すごい矛盾するかもしれないけど、別に俺は自分がやりたいことだけをやって、聴きたい人だけが聴いてくれればいいよという感覚でもないんですよ。

変なところがありつつも、人との共有感を求めてる。そこが咲人君のやっかいなところで(笑)。

咲人:そうなんですよっ! 自分でも分かんない、変なことをやってるんだけど、でも“分かって!”っていう(笑)。こんな俺を制御できる人がいたら、一生ついていく(笑)。

ははは(笑)。そういう部分は昔から変わらないね。

咲人:ある種のエゴイストなんだろうね。“こういうのが自分なんだ”っていうところに確信を持つまでは、時間がかかりましたよ。昔はホント、悩んでたんですよ。もっと分かりやすいものにしたほうがいいのかって。俺だけ感覚がおかしいんじゃないかとか(笑)。小学校の頃とか、例えばみんなが缶ペン(ケース)を使ってたとするでしょ? でも、俺だけマグネットの筆箱を使ってると“これおかしいのかな?”って、そういう小っちゃいことを気にしてる子供だったの。でも、成長するにつれてそういうのが薄くなってきて、いまは“自分はこういう性格なんだ”って受け止めてるけどね。

では「Rem_」の歌詞に関しては?

咲人:簡単にいってしまうと、忘れたくないし、忘れたくないってこと。

C/Wの「love addict」については?

咲人:この曲けっこう好きなんです。アコギを掻きむしるほどではないけど、肩の力を抜いてストロークしてる感覚が俺、すごい好きで。エレキと違って人間っぽさが出せると思うし。アコギのほうが入り込めるんですよ。やってて心地いい曲ですね。フレーズっぽいところはガットギターで弾きました。

こういう、雰囲気重視の曲もできるようになったっていうことだね。

咲人:三十路も近いしね。(一同笑)こういう曲を4〜5年前にやってたら“大人っぽい”だけで終わってたけど、いまは“こういうのも普通にできるようになった”っていう感覚ですね。

そして来年はいよいよ10周年だけど、どんな気持ち?

咲人:ライヴのときもそうなんだけど、俺って直前まであんまり緊張しないんで。年末が近づいてくるにつれて、だんだん実感していくんじゃないかな。たぶん。

取材・文●東條祥恵

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