【インタビュー】NIGHTMARE、“やんちゃ感”を発揮したニューシングル「“まだまだ俺らは尖ってるぜ!”っていう気持ちを持つのも大事」

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NIGHTMAREが11月8日に、ニューシングル「Rebel」をリリースした。

◆撮り下ろし写真

本作には、“原点回帰”をテーマとした前シングル「FAREWELL」を経てたどり着いたNIGHTMAREらしさ溢れる表題曲「Rebel」。ヴィジュアル系シーンにおける懐かしさを感じることもできる「Pierrot Le Fou」。エモさの際立つ情緒的な「minus」が収録されている。

どれもNIGHTMAREらしく、そして新しさを感じる楽曲だ。今回は本作についてYOMI(Vo)、柩(G)、咲人(G)の3人にインタビューを実施。それぞれの楽曲について、その成り立ちから語ってもらった。


   ◆   ◆   ◆

◾️全然まだ足りないものばっかり

──今春に発表された前回シングル「FAREWELL」は、NIGHTMAREとしての“原点回帰”がテーマとのことでした。では、今回のシングル「Rebel」を作っていくうえでのテーマとはどのようなものだったのでしょうか。

咲人:“やんちゃ”です。前回の「FAREWELL」が王道っぽい感じだったこともあって、今回はよりインパクトの強いものにしたかったし、同時にキャッチーさも欲しかったんですよ。まぁ、ここまでNIGHTMAREを23年やってきて我々もイイ歳になってきたとはいえ、いまだに若気の至り感はあるぞ!というところを出そうかなと(笑)。



──確かに、表題曲「Rebel」で聴ける音からは尖ったスタンスを感じられますし、反逆者という意味を持つこの曲タイトルからも反骨精神の存在をうかがうことが出来ますね。ちなみに、曲の中に“やんちゃ”な雰囲気を込めていきたいとなった時に、咲人さんがコンポーザーとして特にこだわられたのはどのような点でしたか。

咲人:そこを端的に一番表わしてる部分は、サビ頭から始まって、テーマフレーズの入るギターのイントロがあって、そこからの切り替わり部分でしょうね。あの曲調が変わる場面が、この曲で特にこだわったポイントです。

──柩さんは表題曲「Rebel」に対して、ギタリストとしてのアプローチはどのようにしたいとお考えでした?

柩:凄くタイトル曲っぽい感じだなという雰囲気は感じてたから、あんまりガチャガチャするよりはメロディーの良さを際立たせた方がいいんだろうな、って感じてました。それに、デモの段階で咲人の求めてる音は全て入ってたんで、自分はそれをほぼなぞっていく感じだったんですよ。音色もデモの音のイメージを活かした感じにしたし、自分としてはかなり“乗っかりやすい”曲でもありましたね。



──となると、咲人くん自身もギタープレイについては迷うことなく臨めた感じですか?

咲人:いや、そんなこともなかったですよ。特にリード曲になるって決まると、やっぱりそこからあれこれ考えちゃいますからね。バッキングの部分なんかも、普通に聴いてたらそんなに目立たない部分ではあるかもしれないですけど、自分の中ではそこってほんとに大事なところで、細かいツインギターのからみとかまで重視しながら作ってました。それも、けっこう悩みながらね(苦笑)。

──それこそ、この23年の間には咲人さんと柩さんによるツインギターで何百曲というNIGHTMAREの楽曲を作られてきていらっしゃるわけですものね。全ての曲でそれぞれにふさわしいアプローチを新しく生み出し続けて来た、という事実の裏には聴き手が思う以上に大変な背景があるに違いないと推測します。

咲人:今ってウチの曲、どのくらいあるんだっけ?

YOMI:おそらく、230曲から240曲の間くらいじゃないかな。


──だとすると、咲人さんは今回の表題曲「Rebel」でNIGHTMAREのツインギターにおける“今現在の最新形な強み”をどのように活かしたいとお考えだったのでしょう。

咲人:そういう意味で言うと、前々作のシングル「With」(2022年11月発表)あたりから変化は出て来てたことになりますね。前まではどちらかというと柩がブリッジミュートのズンズンしたところを担当してて、俺はウワモノっぽいところや動きのある音を担当するみたいな役割をしてることが多かったし、もちろんそれもツインギターの在り方としては面白いんですよ。ただ、最近はユニゾンで2本のギターが一緒に音を出した時のパワー感って独特で良いなと思ってるから、この「Rebel」でもその方向性で作ってたところがあります。完全にユニゾンにするっていうのもそうだし、実際はお互いにちょっと違うことを弾いてたとしてもリズムの部分では合わせたり、とかっていうのも含めてね。そういうやり方をすると、今までとはまた違ったツインギターとしての強い存在感を出せるので、このところの自分はその系統の音が好みです。

──「Rebel」で聴けるバッキングのユニゾン部分については、曲の持っているグルーヴ感がよりブーストされている印象です。

咲人:しかも、こういうユニゾンっぽいパートって音を聴いてるだけでも“ライブでふたりがシンクロして同じような動きをしてる画”っていうのが、なんとなく見えてきたりするじゃないですか。

──エモさを感じるところは多分にあると思います。

柩:実際に、ライブでやっててもそういう曲って面白いもんね。ギター2本のユニゾンだけじゃなく、さらにそこにベースも重なったりするとより楽しい。

咲人:そうそう。だから、「Rebel」にもそういう要素は取り入れたかったんです。


──なお、作曲者である咲人さんからリズム隊のおふたりに対して、この「Rebel」に関するオーダーをなにかしら出される場面などはあったのでしょうか。

咲人:これも今さっきの話とつながるんだけど、ベースはそれこそユニゾンのリフが始まったところの合間っていうんですかね。一旦ギターが抜けて、間奏でシンセとベースがオクターブ違いで同じフレーズをユニゾンするところがあるんですよ。そこのタイム感にはめちゃくちゃこだわりました。コード進行的に言うとあの部分だけメジャーになるのもあって、Ni~yaは最初ちょっと俺とは違う捉え方をして弾いてたんですよ。でも、「ここは完全にこうやって」って頼んだんです。まぁ、逆に言うとリズム隊に対して何か言ったのはそこくらいかなぁ。

──そして、今回「Rebel」の歌詞を書かれているのはRUKAさんですが、これは咲人さんから依頼したかたちになります?

咲人:最初は自分で書こうと思ってたんですよ。だけど、このところシングルのリード曲ってずっと俺の作詞作曲が続いてたんで、そろそろ自分でも飽きが来てたというか(笑)、きっと聴く側も少し目先が変わった方がいいだろうなと思って、それでRUKAさんに「書いて」って言いました。

──RUKAさんには、あらかじめキーワードのようなものは提示されたのですか?

咲人:一応の仮タイトルとして「回生」っていうのはつけてたんだけど、別にそれを生かすつもりは自分としてはなくて。RUKAさんには“やんちゃ”な曲にしたい、っていうことだけを言葉として伝えた感じでしたね。

──ボーカリストであるYOMIさんからすると、この「Rebel」の曲と詞に対してはどのような印象を持たれました?

YOMI:咲人からレコーディングの前に「この曲はやんちゃな感じにしたい」っていうことは言われてたし、曲の完成と同時くらいに歌詞も上がってきて、自分的には今って昔と比べると多少オトナになったというか、若干おとなしくなった部分はあるのかな?っていう気もするけど、それだけに「まだまだ俺らは尖ってるぜ!」っていう気持ちをあらためて持つのも大事だなっていう風に思いましたね。

──歌い方の面での向き合い方として、「Rebel」で意識されたことは何かありますか。

YOMI:方向性としては「東京傷年」だったり、あとは「Can you do it ?」とか。イメージ的には大体そういうアプローチで歌おうかなということも思いつつ、当時よりは自分の歌の癖を削いで、ストーレートに歌いながらレコーディングしていった感じでした。

──あくまで総体的傾向の話ではあるのですけれど、ジャンルを問わずボーカリストの方はご自身の個性を年々しっかりと固めていく方が多いようにも思うのですよ。しかし、この曲でのYOMIさんは癖を抑制してニュートラルに歌う手法を選ばれたのですね。

YOMI:俺は逹瑯(MUCC)さんみたいに自分の色とかスタイルをしっかり持ってるボーカリストが凄く好きなんだけど、でも自分自身のやり方として考えるとそれとはまた違うところを目指したいと思ってたりするんですよ。なんて言ったらいいのかな……もっと幅広いところにアプローチ出来るボーカリストになりたい気持ちもあるから、2016年に活休して以降は癖を抜く練習というのをやってきてるんです。


──作曲者である咲人さんが、「Rebel」のボーカルパートに対して要望を出した部分はあったのですか?

咲人:ゾジーさん(YOMI)的にはビブラートをかけたいところ、かけたくないところ、ってやっぱりあると思うんですよ。一方で俺はかかってる方が特徴が出て良いなと思うことが多いんで、ここぞみたいなところは「かけて」って言ったところはありましたね。逆に、落としの部分でけっこう抜いて歌ってるところは本人の判断でもあるし、そういう面でのバランスはとっていく必要がありました。

YOMI:まぁ、癖って抜いちゃうと歌にパンチがなくなっていきがちなのも事実ですからね。だから、そこのサジ加減はプリプロとかレコーディングの時に、そのつど咲人とやりとりして決めていったんですよ。

──ところで。この「Rebel」の歌詞中には〈まだ足りない 何も満たされない〉という表現が出て来ておりますが、ここで御三方に「自分にまだ足りないと感じているものやこと」がありましたら、その旨についてぜひ語っていただきたく思います。

柩:難しいですね。なんだろう?んー、足りないとは思わないけど「もっと欲しいな」って思うのは、ライブの本数。結局、バンドやってて一番楽しいのは“あそこ”なんだもん。

──特に、今年は5月以降ようやくライブの場が正常化してきたところでもありますしね。よりそう感じてしまうところもありそうです。

柩:そうっすね。ほんと、俺としてはもっといっぱいやりたい。

──YOMIさんにとっての「自分にまだ足りないと感じているものやこと」は?

YOMI:ボーカリストとしては、全然まだ足りないものばっかりです。喉の調子がだんだん良くなってきて、症状が強く出ていた時と比べたらかなり気持ち良く歌えるようになって来てるのはいいとして、音感の部分とかリズム感とかの部分はもっと良くなりたいですし。もっと磨けるといいなと思ってるところは当然いろいろあります。それと、MC的なところもね。ライブの時、ファンのみんな気持ちをどれだけ持っていけるかっていうところでも、もっと力が欲しいですよ。

──23年ものキャリアを積み重ねてきていてなお、そう思われるのですね。

咲人:ゾジーさんの言ってる「もっと」っていう感覚は俺もわかる。俺もほぼ足りてないもん。ギターのこともそうだし。でも、一番そう感じるのは作曲力かな。「この程度しか俺は作れないのか」ってよく思っちゃうんですよ。

──随分と自虐的ですね。リード曲「Rebel」しかり、カップリングの「Pierrot Le Fou」しかり、今回も素晴らしい曲たちをかたちにされているではないですか。

咲人:いや、自虐ってことはないですよ。よくとらえれば、今はこの程度っていうことはまだ可能性があるっていうことでもあるわけだから。自分に対して「まだやれるだろ」と思ってる部分があるわけですよ。ただ、いろんなヒット曲とか聴いてるとね。「これ、いい曲だな」じゃなくて、なんか悔しさだけが湧いて来ちゃう(苦笑)。

──アーティストならではのジェラシーを感じてしまうと。

咲人:そう。米津玄師とかKing Gnuとか、自分より若い世代の人たちが作ったヒット曲を聴いてて「そういうアプローチね。その発想はなかったわ」「こういうのもアリなんだ」って思うわけですよ。外の世界を常に見て刺激を受けてないとダメだな、ってことは凄い感じる。でも、それと同時に足るを知るみたいなこともあるんでね。その感覚もあるとたまにバグりそうになるけど、そういう二面性ってずっとこれからもつきまとうだろうし、その中で自分のためになること、バンドためになることはまだいくらでも欲しい、って思ってます。ありがたいことに「次にやりたいこと」に向けた曲ネタ自体は全然尽きないから、あとは日々それの精度を高めてどんどんかたちにしていくだけですね。

──曲ネタといえば、先ほど「Rebel」にはもともと仮タイトルがあったということでしたけれど、その後に正式タイトルが決まった経緯はどのようなものだったのでしょうか。

咲人:RUKAさんに曲を渡して詞を書いて来てもらった時、それにも仮タイトルがついててそれは「Defy」だったのね。でも、それだと語感の面でのキャッチーさが足りない気がしたんで、意味の近い言葉を探して「“Rebel”ってどう?」って訊いて、これに決まったんです。個人的に『Star Wars』好きとしてこっちの方がしっくり来る、というのもありますけど(笑)。

──その昔、アニメシリーズで原題『Star Wars Rebels』で邦題『スター・ウォーズ 反乱者たち』というのがありましたものね(笑)。

咲人:そうなんですよ。そして意味合いの面でいくと、俺わりと反骨精神ある方なんで、なんの違和感もなく「Rebel」は腑に落ちるタイトルでもありました。

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