叩いて、こすって、ひっかくパーカッションシンセ「WAVEDRUM WD-X」

ポスト
コルグは、パーカッション・シンセサイザー「WAVEDRUM WD-X」を10月15日より発売する。圧力センサーやピックアップにより、ヘッドやリムを叩いた時の微妙なニュアンスを表現可能。叩くだけでなく、こすったり、ひっかいたりすることで異なるサウンドが出せるほか、押し込んだときのピッチ変化なども表現する。従来の電子パーカッションとは一線を画す革新的な製品だ。

WAVEDRUMは電子楽器ながらフィジカルさに徹底的にこだわった電子パーカッション。プレイヤーの叩いたサウンドは、ヘッド部とリム部に設けられたそれぞれのピックアップにより、サウンド・ソースとしてダイレクトに、DSP 技術によるアルゴリズムとPCM 音源を発音させる。さらにヘッド部の圧力センサーとの組み合わせにより、叩く、こする、ひっかくなどの指や手のひらの繊細な動きをはじめ、オープン・ショット、スラップ・ショット、ヒール&トゥ、ミュートなどの奏法にもパーフェクトに対応する。

一般的な電子パーカッションは単にヘッドをゾーン分割、それぞれ異なる音が割り当てられるが、WAVEDRUMはまったく異なり、よりアコースティック楽器のような挙動を実現する。

まず、スティック、マレット、ブラシなどによる音の違いが表現できる。さらに叩くヘッドの位置によって異なるサウンド変化も忠実に再現し、アコースティック・ドラムやパーカッションに匹敵する、高い表現力と広いダイナミック・レンジで演奏することが可能となっている。

このほか、叩くたびにランダムにピッチが変化したり、スケールの設定によりフレーズを奏でることも可能。ヘッド面を手やマレットで打った後、さらに力を加えて押し込むことによって余韻部分のピッチや音色をコントロールしたり、ただ押し込むことだけで持続的なサウンドを発生させたりするなど、従来のパーカッション楽器では不可能なサウンド効果が得られるのもWAVEDRUMならではの技だ。

リムには、大小2種類の突起物からなるノッチ部分が用意されており、スティックなどでこすることによりトレモロ的な効果が得られる。ヘッドと合わせて演奏すれば、さらにオリジナリティ溢れるパフォーマンスも可能となる。

リアルなパーカッションサウンドは、DSP技術による36種類のアルゴリズムと200種類ものPCMインストゥルメントによって生み出される。WAVEDRUMには、DSP技術によりアナログ、倍音加算、ノンリニア、フィジカル・モデリングなどのシンセサイズ方式をソフト上で実現するアルゴリズムが36種類内蔵されている。これらのアルゴリズムを設定することによって、WAVEDRUMならではの音色をはじめ、さまざまな種類の楽器や自然音などを作り出すことができる。さらに、もう一つのサウンドの核となるPCM音源もヘッド用に100種、リム用に100種、合計200種を用意。アルゴリズムと組み合わせて、通常のPCM音源だけでは不可能な、奏法に対する自然なレスポンスを生み出せるわけだ。

こうした技術により、民族楽器の再現も高レベルで実現している。プリセットされる音色は、スネアやタムといった通常のドラム・サウンドはもちろんのこと、王道を行くカホン、ジャンベ、コンガ、タブラに加え、カウベル、トライアングルといったメタル・パーカッション、さらには珍しい民族楽器まで古今東西のあらゆるパーカッション・サウンドを網羅している。陶器のツボを打楽器に見立てたウドゥ、バリ島の竹琴ジュゴック、アフリカのトーキング・ドラム、大掛かりなセッティングが必要なゴングなど、WAVEDRUMなら瞬時に体感できる。熟練の技術を要するパーカッション楽器も簡単に演奏することが可能だ。

さらにはシタール、琴、ビリンバウといった弦楽器も用意。いずれも、オリジナル・サウンドを忠実に再現するだけでなく、WAVEDRUM ならではの新しい表現も獲得している。

特徴的なのはシタールとタンブーラを同時に鳴らせる音色。普通に叩くとタンブーラだけの音が鳴り、ヘッドを押し込みながら叩くとシタールの音が加わる。さらに強く押し込むと、シタールのピッチを連続的かつ設定されたスケール上で変化させることが可能だ。このように、WAVEDRUMだけにしかできない演奏方法も数多く存在するので、プレイヤー自身のアイデアで、オリジナリティ溢れるサウンドを演奏、生み出すことができるのだ。

プリセットは全部で100種用意、ユーザープログラムは100種まで保存可能だ。プリセット・プログラムをベースに、プレイヤー自身の叩き方や演奏する曲に合わせてユーザー自身でエディットできる豊富なパラメータが用意される。音の高さ、減衰する時間、音量、リバーブ、ディレイなど、さらにはヘッドを押し込む際のプレッシャー・カーブといった細かな設定はもちろん、大胆にサウンドを変更することも可能となっている。また、任意のプログラムを12個まで瞬時に呼び出すことができるライブ・モードも搭載。ステージ上でのプログラム・チェンジにもスムーズに対応できる。

個人練習にうれしいのが、ジャム・セッション機能だ。あらゆるジャンルやテンポのループ・フレーズを100種搭載しているので、それに合せてWAVEDRUM単体でジャム・セッションを楽しむことができる。また、CD/MP3プレイヤーなどの接続が可能なAUXインプット端子もあるので、既存の曲といっしょに演奏することも容易。さらに、もう一台のWAVEDRUMを接続すれば、2台を一方のWAVEDRUMから同時にモニターできることになる。なかなか気の利いた仕様といえる。

あらゆるシチュエーションにフレキシブルに対応するのも、軽量コンパクトなWAVEDRUMならでは。膝の上に置いて気軽に演奏を楽しんだり、別売の立奏用スタンド(パーカッション・スタンドST-WD)や、市販のスネア・スタンドへ取り付けて演奏することもできる。ヘッドホン端子装備なので夜でも周りを気にすることない。従来のアコースティック楽器ではあり得なかったカジュアルさもWAVEDRUMの魅力の一つになっている。

<おもな仕様>
アルゴリズム:シングルアルゴリズム26、ダブルアルゴリズム10
PCMインストゥルメント:ヘッド100、リム100
プログラム:200(ユーザー100、プリセット100)
ループ・フレーズ:100
エフェクト:リバーブ、ディレイ
コントロール:ボリューム・ノブ、ライト・ボタン、ボタン1~4、バンク/モード・ボタン、バリュー・ボタン
入出力端子:アウトプットL/R(モノラル・フォーン・ジャック)、フォーン(ステレオ・ミニ・フォーン・ジャック)、AUXインプット(ステレオ・ミニ・フォーン・ジャック)
ディスプレイ:3キャラクタ7セグメントLED
サンプリング周波数:48 kHz
AD/DA 変換:24 bit
電源:DC9V 1.7A
外形寸法:349(W)×344(D)×75(H)mm
質量:2.0 kg
付属品:ACアダプター、チューニング・キー、六角レンチ
オプション(別売):リプレイスメント・ヘッドHD-WD(価格未定)、パーカッション・スタンドST-WD(価格未定)、ソフトケース(価格未定)

◆Dynamic Percussion Synthesizer WAVEDRUM WD-X
価格:オープン(市場予想価格50,000円前後)
発売日:10月15日

◆WAVEDRUM 製品ページ
◆コルグ

◆BARKS 楽器チャンネル
この記事をポスト

この記事の関連情報