RAG FAIR、明るくて文句なしに楽しい新アルバム『Magical Music Train』リリース大特集

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RAG FAIR アルバム『Magical Music Train』リリース大特集
結成10周年・デビュー8年を飾る土屋礼央プロデュースの最新作は 目の前にいる人を喜ばせるノンストップ・トレイン級

――前作の『カラーズ』から1年7カ月ぶり、長めのインターバルでしたが、それぞれにとってどんな1年7カ月でしたか?

土屋礼央(以下土屋):RAG FAIRって、CDを出すことのみが活動のベースというわけじゃないんですよね。この期間、ミュージカルとかTV番組とかカヴァー曲ばかりのツアーとか色々やっていたので、あまり余裕はなかったような感じでした。そんな中で、どうすればそういうすべての活動の影響をそのまま受けたアルバムを作れるかというのを考えてました。

引地洋輔(以下引地):色々なRAG FAIRを客観的に見られた期間だったと思います。前作のときは、僕が今こう思う、というのをアルバムにしたんですけど、その後ミュージカルやったりコントやったりカヴァーのライヴをやったりしてると、RAG FAIRが生き生きするのはこういうところなんだって気付いた。お客さんはこういうのを見たいんだろうなって。それをもとに、RAG FAIRで何ができるかを考えていた、そんな1年7カ月でしたね。

――さまざまな活動を通じて自分たちを客観視した結果が、このアルバムに結びついてるんですね。

引地:うん、そうですね。

土屋:今まで僕はライヴとCDを別モノで考えていたんですけど、ミュージカルとかライヴとかがRAG FAIRの良さを生かせるところだと思ったんで、じゃあアルバムもそういう作品にしようと。まず僕が塗り絵の下地を作ってからみんなにパスを出していくという、ライヴでやってたのと同じ方法で作ったんです。

――色々な活動の中でも、やはりカヴァー中心にやったライヴ<Non Stop Hour>ツアーは影響が大きかったのでは?

土屋:そうなんです。あのライヴとこのアルバムは自分の中でセットになってるんです。RAG FAIRがもっとも輝くものは何かっていうのを考えたら、やはりカヴァーって大きい。それぞれが歌いたいと思う曲を歌ってるときがもっとも輝いてるんですね。それで、自分たちの誇りをまず復活させてみようということで<Non Stop Hour>ツアーをやった。次はそれをアルバムで、ということで、カヴァーではなくてオリジナルでありながら、<Non Stop Hour>みたいな誇りを持てるものを作ろうと。だからこのアルバムは<Non Stop Hour>の延長上にある。カヴァーがオリジナルになっただけで、作り方はまったく同じです。

――今回のアルバムは、礼央さんのカラーが濃く出ているように思いますが。

土屋:僕の色を出そうとはあまり考えなかったけど、意識してたのは、RAG FAIRを最大限に生かす曲をやるというコンセプト。アレンジャーさんにも洋輔にも、自分が思うRAG FAIRってことでやってくれって言いました。こういうRAG FAIRが好きだな、こういうの聴きたかったなっていう、いわばファン目線のアルバムですね。

引地:礼央の色を出そうというより、RAG FAIRって結局“楽しい人たち”なんだなって気付いたんですね。久々に見に来てくれたアマ時代からのお客さんから“こういうのがRAG FAIRなんだ”って感想をもらって、ああそういうことなんだって再確認できた。それでとにかく楽しいことをやりたいと思いました。

――ホントにとにかく楽しい、ハジケたアルバムになってますね。

土屋:大人げないアルバムというか(笑)。

引地:僕らってTVつけたら女装してコントやってたりするでしょ(笑)。そういう人が出すCDってどんなのだろうってずっと考えてた。ミュージカルとかコントとかすべてがリンクして、かつCDとして聴いたときに違和感なく受け取ってもらえるもの。それはやはり楽しいという部分なんだなと思ったんです。TVとかライヴでバカやってるからCDはマジメにってバランスとるんじゃなくて、全部の要素を詰め込んで一枚にしたら、こういうにぎやかで楽しいものになるんだろうと。個人的には、前作でマジメに自分のやりたい部分をある程度形にできたから、今回はちょとハジケたいというような反動はあるかもしれないです。

――タイトルやジャケットデザインはなんとなくビートルズを連想させるようなところがありますね。

土屋:ジャケットについては、僕がRAG FAIRに対して玉手箱みたいなイメージを持ってたところからなんです。色々なものがどんどん出てくるっていう。それプラス、もともとのアイデアは“○○を探せ”からなんですよ。色々なRAG FAIRがあって、前は見つからなかったけど今度は見つかった、みたいな。それと色の使い方。見ていて疲れないし美しい。そういう風にしたいとデザイナーさんとも話したんです。タイトルはもちろんビートルズの“マジカル・ミステリー・ツアー”から来てますけど、これはまぁ単なるダジャレです(笑)。

――前作では、100曲以上の候補の中からまず引地さんがセレクトしたということでしたが、今回はどんなふうに曲を選んだんですか?

土屋:まず、RAG FAIRもズボンドズボンも関係なく、メンバーに僕の曲をとにかく全部聴いてもらおうと思いました。ラッキーなのか悲しいのかわからないけど、ズボの曲をみんなほとんど知らなかった(笑)。最初は僕のオススメの曲を聴いてもらったんですけど、そこには入ってなかった「knock!knock」が好きだっていう意見があれば、じゃあそれ入れてみよう、みたいな感じで。今回は候補はそんなに多くなくて、20曲くらいだったかな。

――ズボンドズボンの曲をRAG FAIRでやるのって、どんな感覚なんですか?

土屋:他のメンバーは、これはズボのベストチョイスをカヴァーでやってる感覚だ、だから楽しかったって言ってますね。自分たちがいいと思って選んだ曲をやってるんだから、堂々と自分らしさを出せると。僕も以前ならRAG FAIRとズボを、意地張って分けてたところもあったんですけど、そう思う人もいるんだから、どっちも僕の曲なんだし、気にしないでいいやって思うようになりましたね。

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