ナイトメア:鍛錬と挑戦の結晶が詰め込まれた勇往作『majestical parade』特集
咲人:作業的には、いつも通りしんどい感じだったけど、精神的には楽でしたよ。
咲人:うん(笑)。歌詞に関しては俺、いま感じてることをリアルタイムで出すってことができないのね。ちょっと前にあったことが時間が経って、自分がそのことを冷静に見られるようになったときに、やっと歌詞にして出せるの。だから、別にこのアルバム制作当時に落ちてた訳じゃないんだ。製作期間は精神的には落ちてなかったね。直接聞いた訳じゃないんだけど、スタッフから他のメンバーの話を聞いてたら、他のメンバーの"やる気"を感じたんですよ。
咲人:そう。いままでなかなか持ってこなかったのに、今回は曲出しに持ってきてて。なんかね、"全員で音楽がやれる"のが俺は楽しいから。そうじゃなくて"俺はこれがやりたいんだ"って思いがあるなら、それはソロでやればいいと思うのね。俺は5人で音楽をやる、そこでの化学反応を楽しみたいんだよね。俺さ、ほかのバンドとか見ててもメンバー全員が輝いてるバンドが好きなんですよ。例えばバンドが100だとしたら、メンバーそれぞれが20%を放ってる。難しいことなんだけど、出来る限りそこに近づきたいんだ。だから、音楽的に考えたときも、それぞれの持ち味を出していきたい。俺はそこに向けて、他のメンバーの"やる気"も引っぱり出していきたいし。
咲人:うん。だから、持っていく曲も極力シンプルにするようにしてるんですよ。みんなで合わせたときに、アレンジできるのりしろみたいなものを残しておきたいから。
咲人:ああ~、かもしんない。
咲人:アラサーだからね、俺も(笑)。ナイトメアを始めた頃は、どこか信じられない部分とか、コイツのこういう部分は絶対受け入れられないとかあったけど、こうして長年一緒にやってるとね、それすらも受け入れられるというか。俺がイヤだと思ってる部分も含めて、"コイツなんだ"って思えるようになった。逆に、そこがソイツの個性なんだと考えて伸ばしてあげたほうが、個性がさらに光ると思ったり。だから、曲作りも俺自身は、自分がこういう曲をやりたいっていうよりも、ナイトメアでこういう曲をやったらっていう考えで作っちゃうんですよね。
咲人:ミディアムでこういう曲調っていうのは、いままでもあったけど、もっとシンプルにしようって考えて作った。こじんまりしたスタジオで、ホント5人だけでやってるイメージで作ったの。だから、まさに俺らの原点というか。"ここから俺ら、始まったんだよな"っていうのを音で表現したかった曲。"俺達、こうだったよね"っていう感覚をメンバーにも思い出して欲しかった。曲的にいうと。歌詞のテーマはそういうものとは違うけど。
咲人:「クロニクル」のほうですね。"バンドのことを思って書いた曲です"とはいうつもりはないけど、頭の中にあったのは事実。
咲人:ナイトメアの歴史を意識してたから。10周年とかいわれると、節目じゃないですか。いろいろ昔のことを考えて、そういえばあのツアーのときにみんなでラブホ泊まったなとか(笑)。思い出すと、あっという間だけどいろいろあったんだなって思って。だから「クロニクル」っていうタイトルにした。
咲人:ファンは一番大事な存在でもあるし、俺らにとっては。ずっと大事にしていきたいと思ってる。あと、そこのフレーズは、俺の理想でもあって。いまここに自分がいるのは、もちろん協力してくれた人たちもいるけど、俺の嫌いなヤツの影響ももしかしたらあるかもしれない。なにかしらの感情を、俺に抱かせた訳だから。俺になんらかの作用をした存在、物、それらすべてに感謝の気持ちを持てるような人間になりたいな、という俺自身の思いがあるんですよ。
咲人:初めてではない。いままでそこは濁して書いてた。このままじゃダメだろうって自分たちにいってた曲もあったし。
咲人:いわない!(ばっさり)。"オマエ、これじゃダメだろう"って思って書いた曲もあったし。それをあえていうつもりはないし、押し付けるつもりもないんだ。それで何かに気づくきっかけになってくれたらいいなっていう、ちょっとした気持ち? それぐらいの感覚なんだけど。
咲人:前ほどはない。前は、俺はB面担当だからマニアックなものとかバンドのコアな曲を作らなきゃっていう、ある種の強迫観念的なもので曲は作ってた。けど、俺が好きな曲って、もちろんマニアックな曲も好きなんだけど、ビートルズとか王道なものもすごい好きだし。最近のブームは、ビートルズとイーグルスなのね。そういう世界中に受け入れられた音楽も好きだから、いままでみたいな作り方をしてたら、自分の好きなものを消し去ってる気がして。いまは、自然に出てきたものを自然に出そうって思ってる。
咲人:そう! ギター・ソロの音色もイーグルスっぽいものを意識した。
咲人:なんかね、弾きたかったの。ゆったりと(笑)。
咲人:そう。面倒臭いのに(笑)。今回ね、Ni~yaの曲がライヴでやるのは一番しんどい。俺のプレイ的には。っていうのも、Ni~yaのこの曲って、俺のアレンジ力をそそるんだよ(笑)。どんどんアイデアが出てきて、注ぎ込んでいったらすごいことになっちゃった。
咲人:そうそう。俺、頑張ってる人がすごい好きだから、触発されちゃうんだよね。クサい話かもしんないけど、一生懸命やってる人を見てるとね、嬉しいんだ(笑)。コーラスもね、Ni~yaに「ハモ(ハーモニー)お願いしていい?」っていわれて作ったんだけど。そこでも俺、いっぱい頑張り過ぎちゃって(笑)。これ、ナイトメア史上一番多いかもしんない、ハモの量が。なかにはゾジ-さん(YOMI)の限界を超えてるぐらいの音もあったんだけど、ゾジーさんもすごい頑張ってた。なんかね、去年ぐらいからゾジーさんからすごいやる気を感じるんだよね。彼は彼なりのやり方で、自分を高めようとしてるんだよ。基本はバカなんだけど……って俺、なんかヒドい人みたい?(笑)
咲人:そう。その姿はすごい評価してるよ。
咲人:いってない(笑)。そういうキャラじゃないし。
咲人:(笑)
取材・文●東條祥恵
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