ナイトメア:鍛錬と挑戦の結晶が詰め込まれた勇往作『majestical parade』特集

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ナイトメア 10th Anniversary Eve 鍛錬と挑戦の結晶が詰め込まれた勇往作
INTERVIEW 咲人(G)
スタッフから他のメンバーの話を聞いてたら、他のメンバーの[やる気]を感じたんですよ」

――今回は、精神的にはかなり大変なレコーディングだったんですか? というのも、アルバムのなかから咲人君が書いた歌詞を抽出して並べて聴いていくと、精神的にかなりキツい状態までいって、そこから自らを奮い立たせ、励まし、癒しているような姿が感じられたんですよね。

咲人:作業的には、いつも通りしんどい感じだったけど、精神的には楽でしたよ。

――えぇー、そうだったんですか?

咲人:うん(笑)。歌詞に関しては俺、いま感じてることをリアルタイムで出すってことができないのね。ちょっと前にあったことが時間が経って、自分がそのことを冷静に見られるようになったときに、やっと歌詞にして出せるの。だから、別にこのアルバム制作当時に落ちてた訳じゃないんだ。製作期間は精神的には落ちてなかったね。直接聞いた訳じゃないんだけど、スタッフから他のメンバーの話を聞いてたら、他のメンバーの"やる気"を感じたんですよ。

――Ni~ya君が今回、曲書いたりしてるのも、まさにそうですもんね。

咲人:そう。いままでなかなか持ってこなかったのに、今回は曲出しに持ってきてて。なんかね、"全員で音楽がやれる"のが俺は楽しいから。そうじゃなくて"俺はこれがやりたいんだ"って思いがあるなら、それはソロでやればいいと思うのね。俺は5人で音楽をやる、そこでの化学反応を楽しみたいんだよね。俺さ、ほかのバンドとか見ててもメンバー全員が輝いてるバンドが好きなんですよ。例えばバンドが100だとしたら、メンバーそれぞれが20%を放ってる。難しいことなんだけど、出来る限りそこに近づきたいんだ。だから、音楽的に考えたときも、それぞれの持ち味を出していきたい。俺はそこに向けて、他のメンバーの"やる気"も引っぱり出していきたいし。

――本人たちがやる気モードなら、自分も、自分が作る楽曲や、アレンジしていく過程で彼らのやる気を引っぱり出したいと。

咲人:うん。だから、持っていく曲も極力シンプルにするようにしてるんですよ。みんなで合わせたときに、アレンジできるのりしろみたいなものを残しておきたいから。

「アラサーだからね、俺も(笑)」

――細部まで作り込んで持っていってた時代もあった訳だから、いまはそうしなくても他のメンバーに音を託せて、その化学反応を楽しめるようになったってことですよね。

咲人:ああ~、かもしんない。

――それ、すごい変化じゃないですか!

咲人:アラサーだからね、俺も(笑)。ナイトメアを始めた頃は、どこか信じられない部分とか、コイツのこういう部分は絶対受け入れられないとかあったけど、こうして長年一緒にやってるとね、それすらも受け入れられるというか。俺がイヤだと思ってる部分も含めて、"コイツなんだ"って思えるようになった。逆に、そこがソイツの個性なんだと考えて伸ばしてあげたほうが、個性がさらに光ると思ったり。だから、曲作りも俺自身は、自分がこういう曲をやりたいっていうよりも、ナイトメアでこういう曲をやったらっていう考えで作っちゃうんですよね。

――「シンプライフ」なんかは、どういう考えで作った曲だったの?

咲人:ミディアムでこういう曲調っていうのは、いままでもあったけど、もっとシンプルにしようって考えて作った。こじんまりしたスタジオで、ホント5人だけでやってるイメージで作ったの。だから、まさに俺らの原点というか。"ここから俺ら、始まったんだよな"っていうのを音で表現したかった曲。"俺達、こうだったよね"っていう感覚をメンバーにも思い出して欲しかった。曲的にいうと。歌詞のテーマはそういうものとは違うけど。

――いま話してくれたような気持ちを描いたのは、その後に収録されている…。

咲人:「クロニクル」のほうですね。"バンドのことを思って書いた曲です"とはいうつもりはないけど、頭の中にあったのは事実。

――「クロニクル」には"僕らのストーリー"という歌詞も出てきますからね。

咲人:ナイトメアの歴史を意識してたから。10周年とかいわれると、節目じゃないですか。いろいろ昔のことを考えて、そういえばあのツアーのときにみんなでラブホ泊まったなとか(笑)。思い出すと、あっという間だけどいろいろあったんだなって思って。だから「クロニクル」っていうタイトルにした。

「ファンは一番大事な存在でもあるし、ずっと大事にしていきたいと思ってる」

――ストーリーを一緒に体感してきたファンの人も、これを聴くと温かい気持ちになれると思うんですよ。この"全てに「アリガトウ」"のフレーズ、グッとくるところだと思いますよ。

咲人:ファンは一番大事な存在でもあるし、俺らにとっては。ずっと大事にしていきたいと思ってる。あと、そこのフレーズは、俺の理想でもあって。いまここに自分がいるのは、もちろん協力してくれた人たちもいるけど、俺の嫌いなヤツの影響ももしかしたらあるかもしれない。なにかしらの感情を、俺に抱かせた訳だから。俺になんらかの作用をした存在、物、それらすべてに感謝の気持ちを持てるような人間になりたいな、という俺自身の思いがあるんですよ。

――でもこれ、初ですよね? バンドのことを歌にしたのは。

咲人:初めてではない。いままでそこは濁して書いてた。このままじゃダメだろうって自分たちにいってた曲もあったし。

――(即座に)えっ、それはどの曲?

咲人:いわない!(ばっさり)。"オマエ、これじゃダメだろう"って思って書いた曲もあったし。それをあえていうつもりはないし、押し付けるつもりもないんだ。それで何かに気づくきっかけになってくれたらいいなっていう、ちょっとした気持ち? それぐらいの感覚なんだけど。

――では、ソングライターとしてなんですけど。RUKA君の曲は、いまこういう傾向だから、だから自分はそれとは別の方向のものを書かなきゃという意識は、ある?

咲人:前ほどはない。前は、俺はB面担当だからマニアックなものとかバンドのコアな曲を作らなきゃっていう、ある種の強迫観念的なもので曲は作ってた。けど、俺が好きな曲って、もちろんマニアックな曲も好きなんだけど、ビートルズとか王道なものもすごい好きだし。最近のブームは、ビートルズとイーグルスなのね。そういう世界中に受け入れられた音楽も好きだから、いままでみたいな作り方をしてたら、自分の好きなものを消し去ってる気がして。いまは、自然に出てきたものを自然に出そうって思ってる。

「俺、頑張ってる人がすごい好きだから、触発されちゃうんだよね」

――いまイーグルスの名前が出て思いきり納得だったのが、「シンプライフ」のオルガンの使い方とか音色。まさにそうだもんね。

咲人:そう! ギター・ソロの音色もイーグルスっぽいものを意識した。

――ギターといえば「Nothing you lose」。このギター・ソロ、長めでしたよね(微笑)。

咲人:なんかね、弾きたかったの。ゆったりと(笑)。

――ギター・ソロ後のフレーズは、ライトハンドをやりながらフレーズを作ってるの?

咲人:そう。面倒臭いのに(笑)。今回ね、Ni~yaの曲がライヴでやるのは一番しんどい。俺のプレイ的には。っていうのも、Ni~yaのこの曲って、俺のアレンジ力をそそるんだよ(笑)。どんどんアイデアが出てきて、注ぎ込んでいったらすごいことになっちゃった。

――やっぱり新しい人が曲書くと燃える!?

咲人:そうそう。俺、頑張ってる人がすごい好きだから、触発されちゃうんだよね。クサい話かもしんないけど、一生懸命やってる人を見てるとね、嬉しいんだ(笑)。コーラスもね、Ni~yaに「ハモ(ハーモニー)お願いしていい?」っていわれて作ったんだけど。そこでも俺、いっぱい頑張り過ぎちゃって(笑)。これ、ナイトメア史上一番多いかもしんない、ハモの量が。なかにはゾジ-さん(YOMI)の限界を超えてるぐらいの音もあったんだけど、ゾジーさんもすごい頑張ってた。なんかね、去年ぐらいからゾジーさんからすごいやる気を感じるんだよね。彼は彼なりのやり方で、自分を高めようとしてるんだよ。基本はバカなんだけど……って俺、なんかヒドい人みたい?(笑)

――ヒドくない、事実だから(キッパリ笑)。まあでも、YOMI君は"自分頑張るスイッチ"がたしかに入ってますね。

咲人:そう。その姿はすごい評価してるよ。

――でも、本人にはこういうこと……。

咲人:いってない(笑)。そういうキャラじゃないし。

――いってこうよ~。彼は褒められて伸びる人なんですから。

咲人:(笑)

取材・文●東條祥恵

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