everset、重低音、大爆音、そしてポップな勝負アルバム『BLACK FILE』リリース大特集

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everset 3rdアルバム『BLACK FILE』リリース大特集

いま自分たちの中にあるすべての音楽を咀嚼し表現し尽くしたすべてが詰まった快心の一撃

ギタリスト脱退を経て、4人で復活したeveset。自分たちがやりたいことをやりたようにやるために自主レーベルまで立ち上げ、作り上げた最新アルバム『BLACK FILE』。テクニカルなヘヴィロックを基盤に、重低音に包まれながらも爽快感たっぷりにポップサイドへも開花したカラフルな色合いを持った本作について、4人に訊いた。

──アルバムが仕上がったところで、みなさんの手応えはどう?

緋村剛(以下、剛/Vo):人生最高傑作の作品ができました。

近藤彩人(以下、彩人/Dr):44人になってからの最初のアルバムということで、いいスタートが切れたんじゃないかと。

長野典二(以下、典二/B):日本にない、洗練されたヘヴィロックってこういう感じだなと思います。

tatsuo(g)やっと時代がeversetに追いついてきた感があるので、それに沿った満足のいく作品ができたと思います。

──基盤にあるのはヘヴィロックなんだけれども、ポップアルバムとしても成立してる。まず、そんな印象を受けました。

tatsuo:そうですね。3枚目なのでやれる幅が広がったし、みんな好き勝手やった感じなんですよ。曲を書くときも。「これは無しだろう」とかあえて作らないで。

典二:そういうことができるキャパシティーをバンドが持てるようになってきた。バンドが成長していったんで、いまは余裕もありつつ、楽にこういうことができるようになりました。

tatsuo:やってることに“迷いがない”ってのが一番大きいかもしれない。

剛:媚びてないもんね。

tatsuo:こういうサウンドで思いっきり売れたいっていうと、普通、世の中の大人はNGを出すと思うんですよ。音がヘヴィ過ぎるとか、今回のジャケットにしても。そういうところを何も考えずにやったんで、自分たちのやりたいことが素直に出てる感じなんですよ。

彩人:例えば、tatsuoなんか速弾きがすごいんですけど、そういうような要素とポップな曲を同居させるのは無理だと思ってる人たちが世の中多いと思うんです。でも、それをやれるんだ! っていうのを証明した感じですよね。別に縁遠いものではないし、コアな行為ではないと。

典二:彩人のドラムに関しても、もぅやるだけやったって感じだもんね。

tatsuo:だから、ほとんど演奏に関してはエディット(編集)もしてないです。

典二:そういう意味では、いままでのなかで一番“生っぽい”んですよ。

彩人:昔の、70年代のROCKとか(リズムが)走ったりよれてりって、普通にあったじゃないですか? いまはそういう風な音を(レコーディングで)OKしてるバンドってわりと少ない気がして。俺たちのアルバムの良さって、そういう“アルバムでも生”みたいな。ライヴでも生だけど、家でも生!

3人:生、なま、ナマ!!(笑)

剛:なんでも“生”がいいにきまってる!

──ぶはははっ(笑)。そういう、生な勢いもありつつ、例えばシングル曲「咲いて」なんかは、音の面から見ると、そことはまた別のポジションにある曲ですよね。

tatsuo:そうですね。「咲いて」は、一度このバンドは活動休止したんですけど、その復活にあたってという意味合いのほうがすごく強いです。

──この曲は珍しくストリングスも重ねてあって。

tatsuo:この曲のテーマは“J-POP”でした。

──なんでJ-POPがテーマに?

tatsuo:それも自然と。

剛:俺ら初のマキシ・シングルというのもあったしね。

tatsuo:シングル盤のほうはアルバムよりも柔らかい音にしてたんですよ。

──シングルとしてそういうJ-POPらしいものを1回出してみたかったってこと?

tatsuo:そこまで(バンドのキャパシティーが広がって)OKになったって感じですね。

──以前だとあり得なかったことなんですか?

典二:そのときに思った強い想いとかはあったんだけど、それを自分たちは素直に消化できない、そういうのが昔はあったと思うんですよ。だけど、それができるようになってきて。この曲に関しては、これって誰にでも共感できるようなことなんじゃないかってことで、だったらそういう音になるよねって結論でJ-POPになった。

彩人:「咲いて」で1回J-POPを意識して、それもアリだなというキャパシティーになって、このアルバムなんですよ。

──ということは、J-POPに振り切ることができた「咲いて」は、このバンドに大きな転機を与えた曲でもあると。

tatsuo:そうですね。僕らまず、以前もう1人いたギターが抜けて、バンドとしては解散の危機を迎えてたんですよ。それを救ってくれた曲なんです。曲は昔からあって。

剛:ライヴではやってたけどリリースはしてなくて。それをこの時期に出すことになったのはそれこそ、運命的な感じがするんですよね。

──感動的に聴ける「咲いて」があると思えば、アルバムラストを飾る「Calling My Name」なんかは、ドラムがすごいことになっていて(笑)。

彩人:速く聴こえますよね。やってることは普通にタンタンタンなんですけど、この曲はスピード感が欲しいなといわれてスネアがいっぱい入ってる(笑)。

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