CANTA 結成6周年記念第二弾 CANTA渾身の情念を込めたバラード・ベストアルバム『めらめら』リリース記念大特集

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CANTA 結成6周年記念第二弾 CANTA渾身の情念を込めたバラード・ベストアルバム『めらめら』リリース記念大特集

The Another Side Of CANTA ここに、ホンモノのバラードがある

COLUMN

”もう1日やり抜いてやろう”ってくらいの気持ちにはなれるんじゃないかな?

M1「Crying Days」

MASAKI「ライヴでの演奏頻度の高い大事な曲ですね。ブレイク明け、雷電さんと目を見合わせて入るタイミングを合わせる緊張感が毎回楽しいっていう」

雷電湯澤「そこがバンドの醍醐味っていうか、正しいバンドの楽しみ方だよね。ドラムのアプローチでいえば、頭からドカーンと入っても優しく入っても、どちらでも成立する不思議な曲…ってことはバラードじゃないんだろうね。だって弱く叩くとルークは怒るし(笑)」

ルーク篁「実はアルバムがこの曲から始まっていいのかな? ってくらい重くてシビアな内容なんだよね。みんな、本当は美しいモノを美しいと感じる心はあると思うし、優しさも持ってると思うのに、なぜか悲惨な事件は山ほどあるし戦争はなくならない。それは何なんだろうかって考えるけど、考えたところで答えは出ない…。そんな世の中だけど、結局、前に進むしかないって言いたいのかな」

 
M2「Everyday -2008ver.-」

ルーク篁「これは聖飢魔IIの最後の曲を作る時にはあって。歌詞が上手い具合にハマらなかったから入れなかったんだけど、その曲が原形なのね。アレンジもサビも違うけど、Aメロの歌メロとコードはほぼそのまま。歌ってて気持ちがどんどん入っていく曲」

MASAKI「サビのコード進行は明るいのに、哀愁あるメロディーが悲しいというCANTAの名曲」

雷電湯澤「CANTAお得意の6/8拍子(ハチロク)。っていうかルークが好きなんだろうけど(笑)」

ルーク篁「歌詞を読んで、部屋の中に1人ポツンと寂しくいるんだろうなって思うかもしれないけど、結構、自分の中では基本の状況なんだよね。結局、人は1人、だからこそ人と繋がりたいんだろうと思うし。それで人と心底繋がったとしても、人に渡すことのできない1人で背負うべき荷物は絶対にあって…そういう考え方が俺の基本にはあるのかもしれない」

 
M3「Irritation」

ルーク篁「この曲ができたから、俺、歌っていいんだ!って思えたんだよね。歌詞が♪ラララ~のデモ・テープの段階では、やっぱ俺は歌い手じゃないんだって思ったんだけど、歌詞を付けて歌ってみたら、自分が歌ってバンドやろうかなって初めて思えた。そんな大事な曲」

雷電湯澤「しかも♪涙零れたら そのまま溺れてしまえ♪って衝撃的な出だし。だけど僕はライヴではクリックを冷静に聴いているので歌の世界にハマれない…という、かなり不思議な精神状態で演奏してますよ(笑)」

MASAKI「今回のアルバムを含め3枚のアルバムに収録されてます。CANTAにとってどれだけ大事な曲か? 何度も収録しちゃうのか?…これはギネスに申請できるかも(笑)」

 
M4「ワルツ -めらめらver.-」

雷電湯澤「この曲のアコースティック・ヴァージョンもいいよね?」

MASAKI「いいですよね。ワルツとはいえ、ベースはロック的攻め方をしてますね」

ルーク篁「しかも、6/8拍子だからワルツ(3/4)ではないし。ただ…”ワルツ”って言葉の響きを聞いただけで泣けてこない?」

雷電湯澤「泣けるね、泣ける!」

ルーク篁「ワルツってどこまでも続く感じがするし、その永遠性に憧れるけど、人間は永遠に存在しないわけで。でも、その循環するリズムの中に限りある生命の息吹みたいなものがある気がする…。いつかは終わってしまうなら、今、一所懸命やっておこうっていう歌だね」

 
M5「etude」

MASAKI「僕の中では2トップの1つ。ホントに好きな曲だし、弾いてて悲しくなる(笑)」

ルーク篁「俺も好き(笑)。凝ったアプローチはしてないけどメロウだよね。切々と何かが伝わってくるっていう…自分で書いておいて何だけど(笑)。内容としては、自分ひとりが孤独だなって思ってるかもしれないけど、実はみんな孤独だと思ってるんですよね。つまり孤独感は共通意識なわけで、ひょっとして孤独だと思うことで人と人とは繋がるんじゃないか? と逆説的に思ったのね。孤独なのは自分だけじゃないなら、明日一日頑張ろうぜ!っていう」

雷電湯澤「話が一気に飛躍したね(笑)。でも確かに孤独ってネガティヴな言葉に思えるけど巡り巡って1周すると、どこかにポジティヴなところがある変な言葉かもしれないね」

 
M6「Someday」

ルーク篁「♪I LOVE YOU♪と歌いつつも、男女のことではなく、親や全ての過去に対して、という意味合いで言ってるかな。ふと振り返れば、両親が自分を大事にしてきてくれたことに、ようやく気づきましたっていう。そこは、ちょっと感謝しておこうかなって。昔の俺だったら、全然そうは思えなかったからね。ひねくれていたから(笑)。そんなダメな子供を、こんなに許してくれてた親に感謝しておかないといけないなって(照れ笑い)」

MASAKI「僕の中ではトランス・ソングというか、軽いジャブを当てられ続けてる感じ。それが後で効いてくる、みたいな」

雷電湯澤「これも良い曲なのにライヴであんまりやってないんだよね。このテの良い曲が多すぎるのかな。なので、この曲のトランス感を、またライヴで味わってみたいな」

 
M7「Rolling Days」

雷電湯澤「このアルバムの曲の並びの中で、ちょっとホッとするポイントではありますね」

ルーク篁「だね。だいたい題名になるような言葉や収まりのいい言葉が見つかると、そこから歌詞を書き始めたりするんだけど、これは頭からダラダラ書いていったのね。そしたら、なんとなくゴロゴロ転がっていく日々を綴ったような歌詞が出来上がって。それで、このタイトルになった。この曲はサビのメロディーの広がり方、そこに尽きるかな。ソロなんかも細かいことをやらずに泣いてる感じ」

MASAKI「僕も悲哀のベース・ラインで攻めてます。これも好きな曲の1つ。哀愁があるのに明るさもあって」

ルーク篁「なんかねぇ、明るく終わらせたいんだよね。切な明るくね」

 
M8「ココア」

雷電湯澤「小さい頃、お袋がよく作ってくれてたんだけど、ずっと鍋の前に立ってダマにならないようにかき混ぜてくれてた親の愛を、改めてこの曲で感じるよね」

ルーク篁「そういうずっと面倒をみてなきゃいけない感じを、男女の関係に例えるとこういう感じになるっていう。♪君に似合う僕でいたい♪の部分は例えば彼女が”私の彼氏”って胸張って人に紹介できるような立派な男でいたいっていう願望ですね」

MASAKI「僕のイメージでは、この主人公は常に劣等感を持って生きてるんですよ。女の人の後ろに潜む、元彼の思想が気になって、どんな男に抱かれていたんだろう? やっぱ元彼には負けたくない! と思うので愛の営みの時に頑張るわけです。”どこがいい? ココはどう? ココは? ココア?”って……(笑)」

ルーク篁「いきなり下ネタ(笑)。しかも駄洒落か(笑) 途中まで共感してたのに…」

 
M9「Beautiful -2008ver.-」

ルーク篁「これも歌詞の内容はヘヴィーですね。言いたいことは頭の2行に集約されてるかな。恐らく、戦争は絶対になくならない、そんな世の中で生きているのは嫌だなって思うけど、美しいと思える心があるってことが支えになって、なんとか命を繋げられてるんだなって感じですね。どんだけ悲しいことがあっても、モノスゴい劇的な夕焼けとか見たら、“また明日も頑張ってみてもいいかな…”ってなんとなく思えるっていう。その“美しい”って言ってる感じが好きなんだよね。逆を言えば、美しいと思える心くらいしか支えがないってことなんだけど」

 
M10「It's a fine day -2008ver.-」

ルーク篁「自分で作っておきながらなんだけど…バンドでやる曲じゃないよね(笑)。約10分もあるし」

雷電湯澤「ドラムも生で叩いてるんだけども、ものスゴい加工して歪んでるしね」

MASAKI「こういう機械的なサウンドとリズムの中に、まろやかで温かいフレットレス・ベースのサウンドを加えることで、より独自の世界観が生まれる…ニクい! みたいな(笑)」

ルーク篁「(笑)。単語を羅列したような歌詞は1回やってみたかった手法なんだよね。しかも、前向きな言葉をずっと並べていって最後にひっくり返すっていう。無常な感じを出してみたかった。僕自身、「世の中は本当に無常だなぁ」と上手に思わせてくれると、切なくなって感動してしまうタイプだから」

 
M11「Rainbow」

ルーク篁「“Rainbow”って言葉がメロディーにハマッたので、そこから膨らませた歌詞。虹(Rainbow)は爽やかなイメージがあるかもしれないけど、ココでは誰にも言えないような悲しみの涙の雨の後に架かる心の中の虹だから…。悲しみを上手く昇華させた人が良い人生を送れると思うしね。最後の部分の2つのメロディーと歌詞が重なってるという手法、これもずっとやってみたかったこと。そのグチャグチャ感が逆に、一言で言えない感情を表わせてるかな、と。夢も希望もないことは生きづらいことではあるけれど、夢や希望がなくたって生き抜いた姿は美しいんじゃないかなって思うんだよね。生き抜くことは夢を持つことよりも大事なんじゃないか? その生き抜く姿を見て、人は感動するんじゃないか? って。そんな想いがあって、最後に♪夢なんてもういらないんだ♪って大胆に言い切っちゃいました。コンクリートの裂け目に力強く育った“根性大根”を見て、「こんな夢も希望もないところに偶然芽をだしちゃって、普通に育つのも大変なのに、実まで残しちゃった!命って素晴らしい!」って人々は感動するわけじゃない? そういうことだよね、わかりやすく例えるなら」

 
M12「パピヨン」

MASAKI「新曲とはいいつつも、今年の頭のツアーでやってましたね」

雷電湯澤「だから、新曲ってイメージはないんだよね。だけど…この曲で終わってよかった。“Rainbow”で終わったら、どうしようかと思うもん(笑)」

ルーク篁「確かに、この1曲に救いを求めていたところはあるよね。これは正にラヴ・ソング。車に乗っていて右折しようとウインカーを出すと、前の車のウインカーのカチカチとシンクロする瞬間があって、それを男女の関係に例えられないだろうか? と思ったのが、きっかけかな。例えばシンクロした瞬間が結婚だとすれば、やっぱりいつかはズレていく。でも、ズレまくってもまったく離れてしまうわけじゃなく、ズレても遠くなってしまっても、見続けてあげる努力があると2人は大丈夫なんじゃないかな?って。今、バイオリズムは合ってなくても、心のどこかで大切に思う気持ちは失っちゃいけないのかなって思うわけですよ」

雷電湯澤「すみませんでした!(笑) で、なんでパピヨンなんだっけ?」

ルーク篁「車に乗ってる時、女の子が持ってる蝶々のイラストとパピヨンって書いてある綺麗なバッグが目に止まったから。蝶々が2頭で追いかけ回して飛んでたりするじゃない? あの姿がなんかいいな、と思って」

雷電湯澤「蝶々のバッグを持ってる女の子の姿がいい、とかじゃなく(笑)」

 

取材・文●増渕公子

 

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