筋肉少女帯、デビュー20周年記念作品 第二弾「ツアーファイナル」リリース特集

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筋肉少女帯

デビュー20周年記念作品 第二弾「ツアーファイナル」リリース特集 INTERVIEW


 

――“次のツアーでまた会おう”と言いつつ、サビ終わりの“その日まで まだ愛していたらね”という一節には、ドキリとしました。私も“一生ついていく!”と高揚しながら、次のライヴは行かなかったなんていう経験、記憶を辿るとありますからね。

大槻:ある、ある! 10代の頃の 薬師丸ひろ子 さんに対するあの想いは、今、俺のどこに行ってしまったんだろう!? って、ホント思いますよ! だから、“一生ついていきます!”って言っていたファンの人が突然いなくなったとしても、批判はできない。“お前こそ、 薬師丸ひろ子 さんに対して、どうケジメを付けてるんだ!”って、心の中の誰かが僕にいつも叫んでますから(笑)。でもね、そうやって醒めても何年かしたときに……例えば今回の筋肉少女帯の再結成だったりとか、昔、自分が夢中になっていたものと再び出会うときがあるんですよ。僕だって、 薬師丸ひろ子 さんに再び夢中になるかもわからないしなぁ。だからね、ロックバンドっていうのは、いつでも開いてるCD屋みたいな存在であるべきだと思うんです。人というのは音楽に夢中になるときも、そうでないときもある。でも、どうしても音楽が必要だというときに、そのバンドが完璧に無くなってしまっていたら、悲しいじゃないですか? 欲しくなったらいつでもあのCD屋に行って買えるんだという安心感みたいなものを、ミュージシャンなりロックバンドっていうのは、与えていかなければならないんじゃないかと思うんですよね。

――だからこそ、熱心だったファンが忽然と消えても仕方がないし、それでも常にツアーを続けて、オーディエンスが欲したときにいつでも得られる場を提供していると。

大槻:そう、いつでもお帰りなさいと言えるように。復活以降の筋肉少女帯って東名阪ぐらいしかツアーやってないんですけどねぇ(笑)。だから、これは筋肉少女帯というバンドに限らず、すべての世界中のロックバンドについて歌ってる曲なんです。世界中で毎晩いくつものロックバンドが興奮と高揚感の中でライヴをしたり、逆に心が折れたり、ってことを繰り返してる。良いことばかりじゃないけれど、たまにあるホントに良い一夜のために頑張ってるっていうのは、スゴイことだなぁと思うんですよ。そういったロックバンドに対するエール……と言うとダサイんだけれども(笑)。お互い死ぬときは別なんだから、せっかく出会えた夜くらいは楽しくやろうよ、っていう意味も持った曲ですよね。バンドにしろミュージシャンにしろ、オーディエンスに対して持ってるのは愛情ばかりじゃない。でも、それはオーディエンスの側も同じはずだから。

 

――お客の側は、バンドに勝手な妄想をぶつけますからねぇ。壁がある以上それは仕方がないし、別に悪いことではないんですけど。

大槻:うん、そうなの。つまりオーディエンスが一番もどかしいのは、自分が好きなバンドをコントロールできないことなんだよね。ホントにオーディエンスというのは……やれ、“あの曲はやるな”だとか“何曜日は仕事だからライヴを入れるな”とか“なんでもっとテレビに出ないんだ”とか、勝手なことをおっしゃって(笑)。ま、僕だって、好きなバンドのベスト盤を買ったときに“なんであの曲が入ってないんだ!”って思いますからね(笑)。そこが難しくもあり、興味深いところなんじゃないかなぁと。

――いつまで経っても平行線(笑)。お客さんがバンドをコントロールできないのと同じように、バンドもお客さんをコントロールできないですからね。

大槻:あとね、バンドマンもバンドをコントロールできないんですよ! バンドというのは一旦動き出してしまうと、ミュージシャンの手を離れていくところがあるっていうのも、また面白い。そういう諸々の事情を互いに隠したり乗り越えたりしながら、本音の部分もチラ出しして出会えた2時間で燃え上がる……っていうのは、ホントに重要なんですよ。

 
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