キャプテンストライダム『音楽には希望がある』INTERVIEW

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――なぜ『音楽には希望がある』というタイトルをつけたんですか?

永友:たとえば戦争反対を訴えるときデモをするとか文章でとかいろいろ方法があるのに、自分たちはなぜ音楽を通して表現しようとしてるんだろう? って考えたんです。音楽には負のことをポジティヴに変えるパワーがある。音楽ってそのためのものなんじゃないか? って。それ自体には世の中を動かす力はないけれど、聴いた人が楽しくなったり頑張ろうと思ったりする、聴いた人の中にあるパワーを促すものがあるんですよ。聴いた人が何かを考えるきっかけになったらいいと思ったし、そのためには今までのような絵空事の歌詞じゃ伝わらないと思ったんです。

菊住:希望っていう言葉について考えていったとき、可能性というか、心のなかにフッと光るものなんじゃないかって気づいた。自分はロックが好きでバンドを始めて…これまで聴いてきたロックから、まさにそういうものをもらってきたんだなって思うんです。暗い心が明るくなったり、明日頑張ろうと思えたり。自分が好きだったミュージシャンは、それぞれの言葉でそれを歌ってきた。そのことに改めて気づいたわけで。じゃあ今のキャプテンストライダムは? と考えたら、希望というストレートな言葉を歌うべきだし、リスナーの立場としても歌ってほしいと思ったんです。

梅田:俺も音楽を通して何かを決心するとか、行動に移すっていう場面にたくさん出会ってきた。単純にバンドを始めた理由も音楽への憧れからだったし、小さいところでは朝起きて学校行きたくねーってときでも好きな音楽を聴いて学校に行く気になったり。何か音楽がきっかけになることってたくさんあって、すごく日常的だと思うんです。小さいことから大きいことまで、そういう力が音楽にはある。そのことをもっと信じようっていうアルバムなんじゃないかなって思いますね。

――最後の「ありのままで世界は」のなかに、希望へのヒントがある。

永友:N.Y.で初めて知り合った人たちと音楽を通じて分かり合えた感覚があって。なのに、世の中には国や言語、宗教、人種が違うだけで分かり合えないことが多いのはどうしてなんだろう? って。音楽はシンプルに、一瞬にしていろんなものを飛び越えられる。

――今年で全員30歳。“三十にして立つ”と言いますが、立てましたか?

永友:きっとまだ入り口。登山口に立てたくらいの感じ。ずっと今まで登っていたつもりだったんだけど、実はここからやっと始まるんでしょうね。

取材・文●榑林史章

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