島みやえい子、『ひかりなでしこ』&「WHEEL OF FORTUNE(運命の輪)」特集内インタビュー

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――まず、アルバム『ひかりなでしこ』を作り終えた今の、率直な感想から聞かせてください。

島みやえい子(以下、島みや):終わった!って感じですね(笑)。実は、収録されている曲の一部は2006年の1stアルバム『O(オー)』の時から作っていたものなんですね。なので、ゆっくりじっくりと、1年かけて作ったという感じなんですよ。

――どのような青写真を描いて、アルバム制作に臨みましたか?

島みや:このアルバム・タイトルが全てと言ってもいいかもしれないですね。この『ひかりなでしこ』というタイトルは、たまたま飛行機に乗っていたときに、機内誌で見たんです。“ひかりなでしこ”って、とても手をかけて作る線香花火なのですが、その言葉の字面と、響きにすっかり惚れこんでしまって。元々、私ってタイトルが決まらないと曲が書けないので、まず“これで1曲作ろう”と思ったんですね。そのあと、“次のアルバム・タイトルもこれにしたい”と直感的に思ったんです。この花火は存在感も素晴らしくて、普通は一段低く見られている線香花火にたくさん仕事を施して、他にはない光を生んでいるんですよ。とっても高価なのですが、そういう部分にも凄く魅力を感じたんです。“ひかりなでしこ”の性質と、自分をリンクさせるというか。作った時間も違うし、様々な魅力の楽曲が並んでいますが、結果的に全部に関連が生まれているような雰囲気になっているのも、“ひかりなでしこ”のおかげだと思っています。

――各楽曲の歌詞を見ていて思ったのですが、今回は特に女性性が前に出た楽曲が多く収録されているように感じました。

島みや:まさにそうですね。ある意味、すごく“私らしい”と思える作品なんです。「観覧車」や「十四の月」の歌詞のような、儚くて地味な印象もあるけど潔い感じが、“ひかりなでしこ”とリンクしたんです。

――「観覧車」は特に、恋愛を歌われているのが興味深いですね。

島みや:この“観覧車”には、“人生を回している”というような意味合いで、同じところをグルグルと回っている状況の象徴でもあるんです。人生におけるそういったループって、すごい決心をしないとなかなか降りられないじゃないですか。そういう経験は誰でもあると思うんですけど(笑)、この曲はそのループから降りる決心をした2人を歌っているんです。

――その“断ち切れない連鎖から抜け出す”というテーマは、「奈落の花」など、えい子先生が今まで様々な楽曲で歌われてきた共通のテーマでもありますよね。

島みや:私の根底に、そういったテーマがあるみたいですね。運命の連鎖から、どう解放されるのか? とか、逆にどう上手に回るのか? とか。このアルバムのジャケット写真が夜明けなのも、そういう意味合いを込めてのものなんです。今までの島みやえい子から、どのような変化が生まれたのか、感じてもらえたら嬉しいですね。

――作品全体を通して、前作『O(オー)』からの成長を表現している、という感じでしょうか。

島みや:『O(オー)』の時はまだ自分をあまり出さずに、武装して身を守るように、構えていた部分があったと思うんですよ。でも今回は、楽曲やサウンドが私に寄り添ってくれているので、そういう意味で、自分的にはとっても呼吸のしやすい作品になりましたね。それは、アルバム全体のミックスをしてくださった高瀬(一矢)さんのおかげですね。私の歌声の魅力を様々なアレンジで引き出してくれています。

――「ATLANTE」のような、特別な多重コーラスで聴かせるポップな楽曲も印象的ですね。

島みや:この曲は、私がいつも言っている“SHIMAMIYAN CHANT(シマミヤンチャント)”の代表する楽曲ですね。”チャント“というとブルガリアン・チャントとかハワイアン・チャントなどがありますが、大自然への畏敬の念を、人々が何重にも声を重ねて歌にするというものなんです。一種の倍音共鳴ですよね。私は、自分の中にも、そういう音楽性を核として持っていたいと考えているんです。後々、こういった楽曲で1枚作品が作れたりしたら最高だなぁ、なんて思っています。

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