ガンズ・アンド・ローゼズ名古屋公演速報 遠征組は最終の新幹線に間に合ったのか?

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幕張メッセでの2連戦終了後、1日だけオフを挟み、7月17日、舞台を名古屋に移したガンズ・アンド・ローゼズのジャパン・ツアー。ちょうど大相撲の名古屋場所が佳境を迎えつつある頃だったりもするが、会場となった名古屋ガイシホール(旧レインボーホール)は、座布団の乱れ飛ぶような光景とはまったく無関係だった。結論から先に言ってしまえば、この夜もガンズはとてもいいライヴを観せてくれた、ということだ。

この夜、最初のサプライズは、オープニング・アクトを務めるムックの演奏が、開演時刻の午後6時を待たずに始まったこと。彼らは5時45分にはステージに登場し、誤解を恐れずに言えば、“入場時のBGM”状態で演奏を始めることになった。

実際、この種のことは海外での公演ではよくあることだったりもする。さらに言えば、客席が半分も埋まっていない状態での演奏を強いられるのも、オープニグ・アクトにとっては日常茶飯事だ。そんななか、どれだけ観衆を振り向かせることができるか、立ち去らせずにおくことができるかが鍵になってくるわけだが、そうした意味においては、この夜もムックは大健闘したと言っていいだろう。実際、どれだけの人がムックに“本当に”興味を持ったかはわからない。が、たとえばある人のなかで“名前すら知らないバンド”だったムックが、これを機に“日本の、なかなかいいバンド”と認識されるようになっていたとすれば、それはムックにとって大きな収穫であるはずだし、事実、そうした認識の変化を生んで当然のライヴを、彼らは披露してくれた。

そして肝心のガンズだが、この夜はなんと、ムックの演奏終了からちょうど50分後に登場。結果的に2時間近く待たされることになった幕張第二夜とはえらい違いだ。

午後7時13分、暗転した場内に交錯するサーチライト。あのイントロと、アクセルの雄叫びに導かれながら、ステージは「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」で幕を開けた。そして曲中、“I wanna hear your scream!”という歌詞に差し掛かり、アクセルが客席を挑発すると、場内はバンドの演奏をかき消さんばかりの歓声に包まれた。このバンドの来訪を長年待ち続けていた名古屋のオーディエンスのなかで長年蓄積されてきた飢餓感が、まさに爆発した瞬間だった。

ぶっちゃけ、演奏曲目はこれまでの公演と比べてみても、さほど変わってはいない。が、この名古屋公演も含め、セット・リストは毎晩、確実に異なっている。さらに言えば、公演を重ねるごとにライヴそのものの完成度が高まってきている気がする。いよいよ7月18日には、1988年12月の初来日時以来、19年ぶりに日本武道館のステージに立つことになる彼ら。そこで、思いがけない楽曲が飛び出すことは充分に考えられるし、観る側としても何らかのサプライズを期待したいところではある。その前に、果たしてアクセルが、過去に自身が武道館のステージに立ったことがあるのを記憶しているかどうかという疑問もあったりはするのだが。

話を名古屋に戻す。この日は僕自身も含め、東京などからの遠征組も少なからず場内にいたはずだが、アンコール終了後、例によってメンバー全員で肩を組みながら頭を深々と下げたアクセルは、ステージを去り際、何かを口走った。残念ながら明確には聞き取ることができなかったが、僕の耳には「さっさとしないと列車に乗り遅れちゃうぞ」と聞こえた。場内に客電がついたのは、午後9時25分のこと。そして東京行き最終の新幹線が名古屋駅を出るのは、確か午後10時10分。僕の前でタクシーの順番待ちをしながら「なんとか間に合いそうだな」と語り合っていたスーツ姿の2人組は、果たして無事に新幹線に滑り込むことができたのだろうか? ちなみに僕はあらかじめ東京への日帰りを諦めていたので、こうして深夜に名古屋で原稿を書いていたりするわけなのだが。

ま、そんなことはともかく、7月18日の武道館公演に来場予定の皆さんに、この場を借りて個人的に忠告しておきたい。今、絶好調なムックのステージを確実に観ていただくためにも、そして、ガンズの開演に余裕をもって臨んでいただくためにも、早めの来場をおすすめしたい。もちろん名古屋と同じことが起こるとは限らないけれども、とにかく油断は禁物ということで。

そして、今のところ武道館に来るつもりのない皆さんにも一言。迷っているのなら、観ずに後悔するんじゃなく、まずはとにかく観て、同じヨロコビを共有しようじゃありませんか!

ガンズ・アンド・ローゼズ ジャパン・ツアー ~写真編~
https://www.barks.jp/feature/?id=1000032901


増田勇一
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