BEGIN、『オキナワン フール オーケストラ』インタビュー・フルバージョン

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──2部のギターソロには驚きました。高速ヘヴィメタル・ギターのアバンギャルドな夜明けを感じました(笑)。

比嘉:いやいや、あれは(笑)。優が弾くと上手すぎるんですよ。もっとヘタじゃなきゃ面白くない。じゃ、オレが弾くよって。中学生が初めてギターを買ったときに弾くみたいな音にしようってことで。チューニングもちょっとズラしてね。

島袋:録り終わった後に、“腕が痛い”って言ってましたね。

──サブタイトルに(やっと、もあいが取れたのに)とありますが、このもあい(=模合)というのは面白い習慣なんですね。

比嘉:僕らの世代では90%がやってますね。この曲はほとんど実話なんです。沖縄には、模合ということで集まって、それぞれがお金を出し合い、それで集まったお金を順番に必要な人にあげるという習慣があるんです。もらった人は、それで皆をもてなしてお酒を飲ませる。それがこの曲の設定なんですね。大きい模合だと、何十万円も集まるんです。そのお金を飲んで使い切ってくるオヤジがいるんですよ(笑)。“あーあ、使っちゃったよ。大顰蹙みたいな”。まさしくそういうことを歌ったものです。

──今回は、優さんと等さんもリード・ヴォーカルをとった曲がありますね。

島袋:9月に栄昇に言われたんですよ。久しぶりのアルバムだから歌ってみないかって。最初は断ったんですけど、自分の好きなバンドもメンバーが皆歌ってるなぁとか思って。それと自分の子供のことを歌った曲もあって、それなら自分で歌ったほうが説得力があるかなと思って。ま、おだてられたんですよ。でも緊張しましたよ。だから皆に言われたとおりに歌いました。

──全体的にスライド・ギターも多く、また、上地さんのキーボードの数も半端じゃないですよね。

島袋:今回のアルバムは、スライドを入れたくなるような曲が多かったんだと思います。

上地:僕も今回はかなりキーボードを使いましたね。それも優と同じで、いろいろな曲がその音色を必要としていたということかな。オルガンを多用しようというのは、最初から思ってたんですが。

──最後は「うたのうた」。仲間が集まって歌い継いでいくんですね。

比嘉:東京の家である渋谷B.Y.Gの仲間、通称B.Y.Gオールスターズのメンバーでやろうということで。ブラック・ボトム・ブラスバンドと僕たち、そしてドラマーとベーシストでベーシックを録って、ヴォーカルを次々に被せていったんです。だから、全員が一同には介してないんですよ。この曲は3年位前の<うたの日コンサート>の前夜祭のために山本隆太さんと迎里中さんが作ったもので、いつかこの歌を皆で歌えるようにしたいと思ってたんです。歌が“皆で歌ってよ”って言ってるような気がしたんです。この歌が、これから先の<うたの日>のテーマ曲になったらいいなと思っています。

──こういうコンセプト・トータル・アルバムを出した後にファンが期待するのは、コンサートでのアルバム完全再現ということになると思いますが、3月からのツアーで演る予定は?

比嘉:3人ではアルバム再現は無理。メンバーを増やさないと。「Midnight Baseball Blues」は少なくとも7、8人は必要ですね(笑)。

上地:アルバムはアルバム、ライヴはライヴととして考えないと無理でしょうね。

島袋:まだ決まってないんですが、レコーディングが楽しく熱中してできたので、その雰囲気を持っていけたらいいなと思っています。

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