BEGIN、『オキナワン フール オーケストラ』インタビュー・ショートバージョン

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──とてつもなく凄いアルバムが出来ましたね。コンサートの開演から終演まで、一つのショーを観ているような流れになっていて。こういったトータル・コンセプトアルバムを作ろうとしたキッカケから教えてください。

比嘉栄昇(Vo:以下、比嘉):勢いで作ってしまって、後で聴いてみての恥ずかしさっていうのはあります(笑)。最初はこんなアルバムにするつもりはなかったんです。東京で「潮時」「ミーファイユー」「あとからな」「三線の花」「うたのうた」の5曲を録り終えていたんですが、せっかくのアルバムなのに、そのままではなにか“デキ”すぎてて、ベストアルバムっぽい感じになるのはイヤだなというのがあったんです。常々話していたのは、最近はアルバムの価値っていうのがなくなってきてるんじゃないかということ。CDだと曲スキップするし、1曲ごとにダウンロードして聴くとなると、オムニバスとかベストアルバムなんかが聴きやすくなる。そんなことじゃ、アルバムを出す意味がないなあって。

──それで沖縄で、そのほかの曲の録音を始めたんですね。

比嘉:僕ら3人ともA型で、東京のスタジオでも夜遅くになってしまうと、スタッフに気を遣ってしまって、思う存分できないんですよ。だから、いつでも自由に録音ができる環境がほしいなと思って、去年の9月に沖縄で一軒家(PIG PINK:通称ブタハウス)を借りたんです。それでやり始めたら、こんなカンジになっちゃったんですよね。

島袋優(G:以下、島袋):東京のレコーディングだと、アイデアは個人で考えて、後日にそれを出し合って音を決めていく。でも今回は、その場でアイデアを出し合って、すぐ熱いうちにレコーディングができたっていうことですね。妥協なくアイデアが出た瞬間に録り重ねたり、良くないと感じるものはザックリと切ってしまったり。それができたっていうのが一番大きかったかな。それが、このアルバムのハチャメチャ感につながったんだと思います。

──開演から終演までの流れを作っていくアイデアというのは、録り終わった後から出てきたんですか?

上地等(Key:以下、上地):録りながらですね。ブタハウスで録ったし、僕らの最近のキーワードに“ブタ”があるんです。毎年やっているイベント<うたの日>で「ブタの恩返し」っていう募金を行っているんですが、これは、戦争で沖縄のブタが焼け死んでしまったということを聞いたハワイの移民の人が550頭のブタを贈ってくれたという話なんです。僕たちはそれに感動して、それなら恩返しに550本の楽器を贈ろうということをやっているんです。それで、ジャケット写真のイメージが湧いてきたんです。コンサートのお客さんがブタで、アルバムにも実際のブタの声を入れようとか。

島袋:あと、僕らはギリギリでレコード世代なんですね。レコード盤に針を置いて終わったらひっくり返してっていう、レコード文化に間に合っているんです。いまみたいに、何かをしながらではなく、音楽を聴くためにレコードプレイヤーの前に座ってっていう。だから、まずは“レコードみたいなアルバム”を作ろうっていうのがありましたね。

──「青い真空管」はまさに、そういったレコーディング作業だからこそできた曲だと感じます。アイデアが豊富で。そしてCSN&Yっぽいというか、洋楽っぽいんですよね。

島袋:20代の頃は洋楽っぽければカッコいいと思ってましたね。憧れとコンプレックスですよね。でも、ナッシュビルとメンフィスに行ったときに、物まねをしてても仕方がないって気づいたんです。それで日本人としての音楽を追求し始めたんですけど、でもやっぱりCSN&Yは変わらずに好きで。この曲はそういう双方の要素が上手くマッチングしたかなと思っています。

比嘉:思いつきでどんどん変えていったよね。“これ三線入れたほうがいいんじゃない”って言って、三線入れたんだよね。

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