【佐伯 明の音漬日記】GLAYのニュー・アルバム『LOVE IS BEAUTIFUL』を聴く

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2007.02.△

かつて“Communication is breakdown”とLED ZEPPELINが歌ったように、
断絶や隔離、閉塞はロック・ミュージックの“大前提”となってきた。
僕自身も「誤解こそが理解なのだ」と口角泡を飛ばしながら話してきた。

しかし、判らないながらも判った気になった自分を、他者に判ってもらおうと
希求した時、「誤解こそが理解だ」などと悠長なことを言って
いられるだろうか?

自分の力と方法のすべてを使って、他者とコミュニケーションをはかろうとすることは、
おうおうにして「ウザイ局面」や「イタイ局面」を付帯するものである。

GLAYが「HIGHCOMMUNICATIONS」や「GLOBAL COMMUNICATION」という
楽曲を歌ってきたのは、彼らが生来的に持ち合わせている“人懐っこさ”を基盤にしながらも、
人との連結のための理解を全力でやろうとした一つの証である。

そして、それが“ウザイ”だの“イタイ”だのと言われるのは、半ば自明の理だった。

人懐っこさゆえに、その部分につけ込まれることもあったはずだ。

しかし「自分らの退路を断つ」(by TAKURO)ことによって彼らは
“抜き差しならない旗印”を獲得した。
それが新作の『LOVE IS BEAUTIFUL』である。

個人的には、かつて「人の不幸が大好きさ」と歌った氷室京介が
「ANSWER」の中で“Love is beautiful”と歌っているのは、驚愕に値する。
「そんなふうに歌っていたのは、昔のことでしょ!?」と
TAKUROは言うけれど、あの時のBOφWYの“頑なでマジな”感覚を
知っている者にとっては、驚天動地なことなのである。

そうさせたのは、他ならぬGLAYの音楽の力なのだと思う。

GLAYのニュー・アルバム
『LOVE IS BEAUTIFUL』
2007年1月31日発売

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