──特に1つ目に挙げられたことは、ビジネスマンとしても非常に重要な感覚ですよね。
沖野:だから、僕は自分の著書の中でDJをディスク・ジョッキーでなく、Definitive Judgmentという違う言葉を当てはめてるんです。直訳すると“定義的判断”。状況やニーズに合わせて、柔軟に新たな判断をしていくということです。分かりやすく言うと、DJに行くとき自分のすべてのレコードは持って行きませんよね? 100枚なら100枚のレコードを状況に合わせて便宜的に選択して、その中からその時に来ているオーディエンスの反応とかによって、さらに瞬間的な判断をしていくということです。それがDJ的な感覚だと思っています。
──ちなみに、沖野さんがいま最も注目しているアーティストは?
沖野:今回は入ってないんですけど、カール・クレイグとオスンラデです。彼らはすでにビッグネームですけど、この先もまったく衰えないと思います。僕の希望としては、いつか一緒に仕事がしたいですね。
──彼らはいつでも本質的な意味でクロスオーバーな存在ですよね。
沖野:オスンラデだったらハウスとか、カール・クレイグだったらテクノとかカテゴライズされてますけど、僕は彼らにこそシンパシーを感じます。逆にクロスオーバーかくあるべしみたいな感じで想定内の音楽を作る人たちにはシンパシーは感じませんね。突き抜けてないっていうか。そりゃ、ジャズっぽくやったらクラブ・ジャズっぽくはなるし、ジャジーなハウスとか、ブロークン・ビーツとは名ばかりのブロークン・ビーツを聴かされると打ち出しとしてはクロスオーバーかも知れないけど、それが本当にクロスオーバーなのか?って。あと、エイメとかリンドストロームとかも面白いですね。
──最後に沖野修也は今後どのような方向に向かっていくんでしょうか?
沖野:これを作って、改めてKJMで何をやるべきかっていうのが明確になりましたね。僕自身がいろんな発見とか、触発される部分もあって。あとは、このアルバムでできた人間関係から派生するプロジェクト。まだ決まってないんですけど、これのリミックス・アルバムができるなら、アルバムに参加してもらったプロデューサーに違う曲をプロデュースさせるのも面白いかなと思っています。MARK DE CLIVE-LOWEが「THANK YOU」をやったり、PHIL ASHERが「A MILLION TEARS」をやったり。同じメンツなのに、全然違うものになりますよね。とにかく人がやってないことをやりたいと思います。【了】
取材・文●宮崎敬太
遂にリリースされた沖野修也のソロアルバム『UNITED LEGEND』。 このアルバムにはKJMともコズミック・ヴィレッジとも違う 音楽家 沖野修也のアイデンティティが込められている。 そんな作品から、DJ KAWASAKIプロデュースによる 「SHINE」のビデオクリップを公開!
https://www.barks.jp/watch/?id=1000016703
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