【佐伯 明の音漬日記】倉木麻衣ライヴ、感動を届ける

ポスト
2006.11.□

10月28日、さいたまスーパーアリーナで、倉木麻衣のライヴを視察する。
一つの節目と感動を届けてくれたライヴだったゆえ、レポしました。


スリー・ディグリーズやTOTOなどのエヴァーグリーン・ナンバーが
開演前BGMとして流れる中、Mai Kuraki LIVE TOUR 2006 “DIAMOND WAVE”の
最終地点となった、さいたまスーパーアリーナの座席に着く。

このツアーに出る前に倉木麻衣が完成させたアルバム『DIAMOND WAVE』は、
彼女の音楽が「風」から「波」へと変化しグレードを上げた証明作であった。

つまり、このツアーに関して僕は予想を立てていた。

端的に言えば、倉木にとって今年のツアーは、通過点ではあるが
一つの大きな完成形となるだろう、ということである。

そして、開演。オープニング楽曲は「Diamond Wave」だった。
ダンサー2人も登場し、倉木麻衣の“音楽波”をたおやかに軽快に、客席に送る。

コーラス隊のMiyuki&Kayoとの重層的なヴォーカルが耳に心地よい。
音源におけるコーラスは、ほぼ完全といっていいほど倉木一人が付けているが、
ライヴでそれは不可能である。

したがってコーラス隊との(別の声との)重なりを楽曲の魅力として
打ち出すことになるのであるが、昨年から今年にかけて
この重なりの表現が格段に上手くなったと思うのは、
おそらく僕だけではないだろう。

♪あまつ風 雲の通い路~という古語的日本語表現を持つリリックが、
LEDにテロップとして映し出された3曲目の「State of mind」からのパートは、
心地よい風としての倉木楽曲を吹かせるパートであった。
もちろん「風のららら」も歌われ、「Secret of my heart」の後半で
披露したコーラス隊との掛け合い表現は、
涼風にも似た音楽表現の高度な磁場となっていた。

オーディエンスが持っているブルーのライトが、暗い客席の中で点滅する。
その光景を見た倉木は「星空みたい」と言う。
そして、ほの暗い空間の中で歌われた「ホログラム」~「SAFEST PLACE」は、
彼女のステージに注いできた情熱と意志が導いた最高到達点だったと断言できる。

ウィスパリングから地声そしてファルセットまでが、
まったくよどみなく摩擦なくシームレスに響くさまは、
間違いなく感動の領域に属するものなのである。

キーボード1本で弾き語りをした「Like a star in the night」、
ライヴ・オンステージの軌跡をまとめたVTRの後に白いドレスに
着替えて歌われたバラッド3曲は、倉木ナンバーの深遠さをじんわりと表す。
その3曲の中には12月にリリースされる新曲の「白い雪」も含まれていた。

「NEVER GONNA GIVE YOU UP」からは、風が波に変化してさらに
大きくなるさまを音楽で示すパートであり、
アップテンポのおなじみのナンバーがさらに大きな存在感を放っていた。

高度なテクニックを持つバンドと倉木ヴォーカルのバランスも
危ういところはまったくなかった。
アンコールにはハート型の大きなケーキがステージに登場し、
オーディエンスとともに彼女の誕生日を祝った。
“束になった気持ち”のまま大合唱になった「chance for you」が
胸に染みたことは言うまでもない。


■関連記事
倉木麻衣、24歳の誕生日に迎えたツアー・ファイナルで涙!
この記事をポスト

この記事の関連情報