マル・ウォルドロンの愛娘マーラがジャズの真髄を聴かせる新作リリース

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伝説のジャズ・ピアニスト、マル・ウォルドロン。ニューヨークで生まれ、50年代はチャーリー・ミンガスのピアニストして活躍。57年からは女性ジャズ・ヴォーカリストの草分け的存在のビリー・ホリデイの伴奏者となり、59年に彼女が他界するまでその役を務めた。また、ジャズのスタンダードともなっている「レフト・アローン」は彼が残したもので、誰もが知っている名曲中の名曲だ。

そのマル・ウォルドロンの愛娘であるマーラ・ウォルドロンはヴォーカル・作曲・ピアノをこなすマルチ・アーティストだ。その艶やかな声と歌の上手さは、アメリカのメディアから“ニーナ・シモンとアニタ・ベイカーの出会いである”と最大級に讃えられ、その創作楽曲も往年のビッグネームが残した楽曲と並び賞されている。マーラは1996年にソロ・デビューし、順調にそのキャリアを重ねている。その彼女の新作『オールウェイズ・ゼア』が11/22にリリースされる。

このアルバムは2002年から活動している彼女のユニットの録音で、キーボードとヴォーカルがマーラ、ギターにジャコ・パストリアスとの競演でも名高いスティーヴ・サレルノ、ベースにロン・カーターの弟子でもあるミリアム・スリヴァン、そしてプロデュースとパーカッションにはマイケル・トンプソンという豪華ラインアップとなっている。

しっとりとした中にもモダンなエッセンスを感じさせ、渋いだけでない躍動的な要素を併せ持つ彼女のヴォーカルは、オールドスタイルなジャズではなく、現代のR&Bのベクトルにより近いかもしれない。しかし「Too Good For Words」で聞かせるスキャットのスウィング感はジャズでなければならない要素の一つ。そのように、的確なテクニックと深いジャズへの愛情、モダンなR&Bが感じられる曲が収められている。

そして楽曲自体のクオリティの高さも特筆すべき点だ。メロディラインとハーモニーの豊かさは、現代のポップスを聴き慣れた耳には逆に刺激的。音楽の深さを感じさせてくれるのだ。

BARKSでは近々に女性ジャズ・ヴォーカリストの最新作を集めた大特集を予定している。せわしない年の瀬は、このように心を豊かに暖かくしてくれるジャズ・ヴォーカルで過ごすのはいかが?

●日本コロムビア アーティストページ
http://columbia.jp/artist-info/malawaldron/
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