くるりワールド全開…! ベスト盤をひっさげての全国ツアー終了

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くるりの全国ツアー<まZEPPご飯!>が6ヶ所9公演で行なわれた。ツアータイトル通り、全国にあるライヴハウスZEPPを廻る。大きめのライヴハウスで観客はスタンディング、といった形式だ。

とにかく初のベスト盤『ベスト オブ くるり/TOWER OF MUSIC LOVER』をひっさげてのツアーということで、どんな曲を披露してくれるのかが観客にとっても最大の楽しみだっただろう。9/27のZEPP TOKYOでは、1曲目に「ワンダーフォーゲル」をプレイ。いきなりの大人気曲、かつベスト盤収録1曲目の曲で出し惜しみなしでライヴをスタート。そして「青い空」「ハイウェイ」「東京」…!(詳しくは下記セットリストを参考に)。次々と繰り出されるベストな曲に、当然、観客は大いに盛り上がる盛り上がる。

にしても、思った。くるりの曲は地味だ。ヴォーカル&ギター(岸田繁)、ベース(佐藤征史)、ギター(大村達身)に、サポートのキーボードとドラマーの計5人。これだけで奏でる音に、ロック魂はあっても、派手さはまったくの皆無。視覚にいたってはもっと地味だ。ただ、彼らバンドから出てくるフィーリングにおいては、濃厚で緻密で極上のグルーヴがガンガン生み出され、立ち昇っている。それがぐいぐいと聞き手に迫り、次々と心の隙間に浸み込んできて、気がついたら観客自身も前のめりになって“くるりワールド”に絡め取られていく。まったくもって、彼らのサウンドは、麻薬のよう、としか言いようがない。

その“くるりワールド”が最大限に構築され発揮されるのがライヴであることも、今回また認識させられたツアーだったと思う。この日、アンコールでは観客のリクエストに応え、「Morning Paper」を急遽披露したのだが、この複雑なリズムをさらっと弾きこなし、かつグルーヴを生み出してしまうその演奏力、ライヴ力を目の当たりにさせられたら、そう感じずにはいられない。

そして「街」での岸田の歌を聴いたときは、「ああ、彼らの初期衝動は何も変わっていない」と思うと同時に、「とんでもなく進化してしまった」と感じた。
最後、くるりは楽器を持ち替え、鼓笛隊となって観客のスタンディング・エリアに降り、太鼓を叩きながら、会場を練り歩くサプライズを実施。観客とより近くに接したあと、ステージを終了させた。

なお、このツアーの映像が、11/26(日)深夜0:50~WOWWOWにてオンエアされる。

写真/久保憲司
文/星野まり子


■くるり ワンマンライブツアー2006 ~まZEPPご飯!~
2006年9月27日@ZEPP TOKYO セットリスト
01. ワンダーフォーゲル
02. 青い空
03. ハイウェイ
04. 東京
05. WORLD'S END SUPERNOVA
06. ハローグッバイ
07. ばらの花
08. 惑星づくり
09. ブルース
10. 飴色の部屋
11. 春風
12. Baby I Love You
13. お祭りわっしょい
14. Ring Ring Ring
15. Superstar
16. ロックンロール
17. HOW TO GO
アンコール
18. Morning Paper
19. 街
20. 人間通
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