ジャスティン・ティンバーレイク、新作への期待感じさせるスペシャル・ライヴ レポ
「これからはジャスティンの時代になる!」
確かに、海外から伝わって来る情報だけで判断するのならば、ポップ・ミュージックは彼の時代になるべきかもしれない。しかし、正式なライヴがこれまでちゃんと行なわれていなかったここ日本で、ジャスティンの真価を見極めるというのは難しいことだった。しかし今なら、冒頭に書いた言葉がハッキリと自信を持って言える。
コーラス4、キーボード2、ドラム&パーカッション2、ターンテーブル1、ベース1、ギター2。これが今回ジャスティンが引き連れて来たバンド・メンバーだ。しかも全員黒人。この本格的な大所帯バンドの分厚くド迫力なサウンドをバックに、クールビズでキメたジャスティンは、得意のダンスをあえて封印。代わりにギターやキーボードを手に、まるでロック・バンドのフロントマンのようなパフォーマンスを披露した。その繊細なノドからは、抜群に通りの良いファルセット・ヴォイスを披露。しかも、バックから聴こえてくるのは時代の最先端を行くプログレッシヴなR&Bサウンドだ。
これはとても“アイドル”などと呼べるチープなものではない。従来ならアイドルが背伸びをしてみたところで甘口なポップR&Bかブライアン・アダムスばりの時代遅れな産業ロック風になるのがオチだった。だが、そういう力不足な感が彼には全くない。抜群のリズム感と堂々としたステージでの立ち居振る舞いで、ジャスティンは攻撃的で進歩的なビートを完全に自分のものとしてしまっていた。バックに踊らされるのではなく、彼自らがバンドを指揮しているかのようにさえ見せている。この才覚に関しては、マドンナにさえ匹敵する。
今回のライヴで披露されたのは、大半が待望の新作からのナンバー。実はこの日の昼に、このアルバムの試聴会が行なわれたのだが、実はそこで僕は一抹の不安を抱いていた。
“ティーン・アイドル上がりのアーティストの作品としてはビートがあまりにも実験的過ぎではないか? しかも、ヴォーカルまで大幅にエフェクトされていて! これはライヴで演奏したらバックのサウンドに負けるのでは……”。
だが、そんな僕の考えが早計だったことは、ジャスティン本人が自らステージで証明してくれた。音に飲まれるどころか、全くもって自然。これらの曲は大幅にアレンジ換えがほどこされた「Like I Love You」(ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」のギター一節を挿入したのはおかしかった)や「Rock Your Body」らの代表曲に早速なじんでいた。彼は、大金を積んで起用したプロデューサーの操り人形などでは、およそなさそうだ。
そして最後はビッグ・サプライズ。新作でジャスティンを大幅に成長させた奇才プロデューサー、ティンバランドがステージに登場! 最新シングル「Sexy Back」を共に歌ったのだ。ティンバランドと言えば、つい先頃、プロデュースを手掛けたネリー・ファータドを英・米のチャートで2曲を同時No.1にするという快挙を成し遂げたばかり。新作での、容赦ない本気モード全開のグルーヴを聴けば、ジャスティンにはさらなる成功がもたらされるのはほぼ間違いない。80'sにおけるマイケル・ジャクソンとクインシー・ジョーンズみたいな関係に、ジャスティンとティンバランドはなれるんじゃないか。そんな期待感まで彼らは抱かせてくれた。
シーンは“ポスト・ブリトニー時代”をにらんで大きく動きつつある。クリスティーナ・アギレラとビヨンセ、そしてジャスティンの新作がほぼ同時に登場するのは何らかの因縁を感じさせずにはいられない。だが、この日のステージを見る限り、ジャスティンが一歩リードしそうな気が僕にはした。
取材・文●沢田太陽
Justin Timberlake
7/20/06 @Zepp Tokyo
1. Cry Me a River
2. Senorita
3. My Love
4. Like I Love You
5. Until the End of Time
6. Love Stoned
7. Take it From Here
8. What Goes Around
9. Last Night
10. Rock Ya body
11. Sexy Back
確かに、海外から伝わって来る情報だけで判断するのならば、ポップ・ミュージックは彼の時代になるべきかもしれない。しかし、正式なライヴがこれまでちゃんと行なわれていなかったここ日本で、ジャスティンの真価を見極めるというのは難しいことだった。しかし今なら、冒頭に書いた言葉がハッキリと自信を持って言える。
コーラス4、キーボード2、ドラム&パーカッション2、ターンテーブル1、ベース1、ギター2。これが今回ジャスティンが引き連れて来たバンド・メンバーだ。しかも全員黒人。この本格的な大所帯バンドの分厚くド迫力なサウンドをバックに、クールビズでキメたジャスティンは、得意のダンスをあえて封印。代わりにギターやキーボードを手に、まるでロック・バンドのフロントマンのようなパフォーマンスを披露した。その繊細なノドからは、抜群に通りの良いファルセット・ヴォイスを披露。しかも、バックから聴こえてくるのは時代の最先端を行くプログレッシヴなR&Bサウンドだ。
これはとても“アイドル”などと呼べるチープなものではない。従来ならアイドルが背伸びをしてみたところで甘口なポップR&Bかブライアン・アダムスばりの時代遅れな産業ロック風になるのがオチだった。だが、そういう力不足な感が彼には全くない。抜群のリズム感と堂々としたステージでの立ち居振る舞いで、ジャスティンは攻撃的で進歩的なビートを完全に自分のものとしてしまっていた。バックに踊らされるのではなく、彼自らがバンドを指揮しているかのようにさえ見せている。この才覚に関しては、マドンナにさえ匹敵する。
今回のライヴで披露されたのは、大半が待望の新作からのナンバー。実はこの日の昼に、このアルバムの試聴会が行なわれたのだが、実はそこで僕は一抹の不安を抱いていた。
“ティーン・アイドル上がりのアーティストの作品としてはビートがあまりにも実験的過ぎではないか? しかも、ヴォーカルまで大幅にエフェクトされていて! これはライヴで演奏したらバックのサウンドに負けるのでは……”。
だが、そんな僕の考えが早計だったことは、ジャスティン本人が自らステージで証明してくれた。音に飲まれるどころか、全くもって自然。これらの曲は大幅にアレンジ換えがほどこされた「Like I Love You」(ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」のギター一節を挿入したのはおかしかった)や「Rock Your Body」らの代表曲に早速なじんでいた。彼は、大金を積んで起用したプロデューサーの操り人形などでは、およそなさそうだ。
そして最後はビッグ・サプライズ。新作でジャスティンを大幅に成長させた奇才プロデューサー、ティンバランドがステージに登場! 最新シングル「Sexy Back」を共に歌ったのだ。ティンバランドと言えば、つい先頃、プロデュースを手掛けたネリー・ファータドを英・米のチャートで2曲を同時No.1にするという快挙を成し遂げたばかり。新作での、容赦ない本気モード全開のグルーヴを聴けば、ジャスティンにはさらなる成功がもたらされるのはほぼ間違いない。80'sにおけるマイケル・ジャクソンとクインシー・ジョーンズみたいな関係に、ジャスティンとティンバランドはなれるんじゃないか。そんな期待感まで彼らは抱かせてくれた。
シーンは“ポスト・ブリトニー時代”をにらんで大きく動きつつある。クリスティーナ・アギレラとビヨンセ、そしてジャスティンの新作がほぼ同時に登場するのは何らかの因縁を感じさせずにはいられない。だが、この日のステージを見る限り、ジャスティンが一歩リードしそうな気が僕にはした。
取材・文●沢田太陽
Justin Timberlake
7/20/06 @Zepp Tokyo
1. Cry Me a River
2. Senorita
3. My Love
4. Like I Love You
5. Until the End of Time
6. Love Stoned
7. Take it From Here
8. What Goes Around
9. Last Night
10. Rock Ya body
11. Sexy Back
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