「風待ちジェット/スピカ」インタヴュー
――で、この曲のキモは<世界さえ変える力が 愛にはあるってこと>というフレーズではないかと思うんですけど。 坂本:たくさん歌を歌ってきたし、これからもいっぱい詞を書きたいと思うので……。でも、言いたいことって何百個もあるわけではなくて、一つか二つのことをいろんな角度からいろんなテイストで書いているだけなので、いつも大体こういうことを歌っていると思うんですけどね。ただ、今回は説教臭くなるのがイヤで、スッと耳に入ってきて“なんとなく一緒に歌っちゃうんだよね”っていう軽さが欲しかったんです。だから、あんまりいろいろ言うつもりは無かったんですけど(笑)。みんながみんなではないけど、自分が思っている以上に、自分の中には何かがあるっていうことを信じにくいというか、自分の限界を気にしてしまい過ぎかなと。実は奥にもっと大きいことがあるかもしれないよ、っていうことを言いたかったんですよね。自分としてはさり気なく言ったつもりだったんですけど、取材でよくこの部分を言われるのであんまりさり気なくなかったのかな(笑)。でも、この部分はテレビでは流れないので、CD買って聴いてください(笑)。 ――坂本さん自身も“世界を変える”力を実感していますか? 坂本:“世界を変える”っていう言葉だけとっちゃうと、すごくたいそうな気がするんですけど。たとえば環境問題とか温暖化とか、北極の氷が溶けてますよと言われてテレビとか見ると“マズイなぁ”とは思うけど、今ひとつピンと来ないから何もしないというのはもったいない。一人じゃ無理かもしれないけど、二人だったら2倍だし、もっともっといっぱいの人がいれば、ちょっとかもしれないけど結果は出るかもしれない。そういうことだと思うんですよ。 ――坂本さん自身が何かやっていることはありますか? 坂本:僧侶みたいな生活をしてます、っていうことはないですけど。ファンクラブの会報や封筒を再生紙にしました。ファンクラブには、私という人間に興味を持って集まってきてくれてる人たちがいるわけだから、そのエネルギーを良いことに使いたいと思ったんですね。それに、自分が発言したり書いたり歌ったりしている場は、誰かがウォッチしてるから、そこで何か適当なことは言えないし。表現っていうものを仕事にしている以上は、つねに何か人の心に入っていっちゃうものを作っているので、実は大きい力かもしれないなって思いますね。良い人ぶるのはイヤだし、押し付けにならないように、頭の片隅にあるか無いかでだいぶ違うのでは? ということですね。 ――そうですね。環境保護活動をしているとあるNGO団体の方も、“意識すること”が大事だとおっしゃってました。で、両A面のもう1曲、「スピカ」についてですが。 坂本:『ツバサ~』のエンディング用にいろいろデモを作っていた中の1曲で。「風待ちジェット」ではポジティヴなテンションをストレートに出したので、「スピカ」では、もう一つ私の中でやってみたかった“女性らしさのある曲”というのをやってみました。
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