ホワイト・ストライプス、新たな伝説作ったZepp Tokyoレポ!

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2000’sロックの怪物、またも日本に降臨! ジャック・ホワイト突然のノドの病気により延期になっていたホワイト・ストライプス待望のジャパン・ツアーが2ヶ月遅れでようやく実現した。前回の来日は、今や“伝説”とも言われている、2004年フジロックの三日目の実質的ヘッドライナー。雷神でも憑依したかのようなその圧倒的ステージの後、“海外に比べてあまりに低評価”と言われていた彼らの評価は一気に上昇。その勢いもあり、昨年発表のアルバム『ゲット・ビハインド・ミー・サタン』は、方々からの大絶賛にも恵まれ、ついにオリコン・トップ10入りまで記録。もはや彼らは、ここ日本においても、現在のロック・シーンにとって不可欠な存在であることが、いみじくも証明されたのだ。

今回の日本公演は、その『ゲット~』発表後としては初。よって当然、気になったのは“『ゲット~』の曲をどう披露するか”、ズバリそれだ。前作『エレファント』までは、ジャックの放つ、まるで生きた獣の雄叫びのような生々しく奔放なギター・プレイがいわば彼らのサウンドの主役であったが、今作はジャックそんな“武器”をいったん脇に置き、アコースティック・ギターやパーカッションで新たな自己表現に向かった作品。きっと、後から振り返るに“分岐点”とも言われるであろうこのアルバムのツアーから、彼らのサウンドがどう変わって行くのか。そこが興味津々だった。

だが、いざ蓋を明けて見ると、ライヴ自体が、それほど大きく“変化”していることはなかった。それは、赤・白・黒で徹底統一された衣装や、ダンディにドレスアップされたローディといったいつもの見なれた光景ももちろんそうなのだが、ジャックのステージでの天衣無縫ぶりを見るに、そこにあるのは、“変化”ではなく“進化”であることに気が付いた。序盤で披露された新作からの1stシングルである「ブルー・オーキッド」では、ジャック自慢の赤い変型ボディのギターは、音量も歪みも一切手加減されることなくパワー大放射状態。むしろ、エレキ・ギター自体の強度はさらにアップさえしたかのように感じられる。

時折、シルヴァーのエレ・アコのギターや、キーボードの弾き語りなどが混ざりはするが、それも前のツアーまでの時のような、ある種の骨休め的な雰囲気ではなく、ペースを落すはずのところでも、ますます熱くなっている。中でも圧巻は、マイクから3~5メートル口を放して歌っているのにも関わらず、その歌声が約2,700人収容のZepp Tokyo全体に響き渡ったとき! やはり、このジャックという男、一旦ステージに上がってしまうと、あらゆる意味で“こわい”。その常人離れした異様なペースに引きずりこまれるように、メグの踏むバスドラのキックのテンションにも増々力強さが加わって来ているようにも感じられ、それも頼もしかった。やはり、何だかんだ言ってもこのバンドはジャックのカリスマ性だけでなく、姉弟のマジックで成り立っていることは、彼女のヴォーカル曲「パッシヴ・マニピュレーション」での会場からのひときわ熱い歓声からも明らかだった。

そして、この激烈な放熱状態の中においても、かかさずレッドベリーやロバート・ジョンソンのカヴァーをやるあたりも心憎い。そして、彼らの放つその“ブルース”には“洗練された大人の妙味“みたいな半ば観光土産化した生温さは全くなく、その音楽が生まれた当初にあった、情念を絞り出した狂おしいエモーションがしっかりと詰っている(彼らが、とりわけ1930年代の超古典ブルースを好むのも、それが理由だろう)。彼らは、そんなブルースの心を、ガレージ・ロックが持つ初期衝動的な荒々しさと同次元で捉え、その二つを倍加させて伝えているのではないか。僕には、そんな風に聴こえた。そして、この人間感情の迸りの最高潮が、ジャック・ホワイトを“ギターの鬼神”に変化させ、ホワイト・ストライプスのサウンドを普遍的なものへと押し上げているのではないか、とも思った。……と、そんなこんなで90分間、今回の来日公演もとにかく圧倒されっぱなし。“ロックをやるのはテクノロジーじゃなく人間だ”と、常々語る彼らの“人間としての進化”。それを改めて感じた一夜だった。やはり、ロックが好きなら、これは一度は見ておくべきだ。

取材・文●沢田太陽
写真●teppei

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新作からのフルPVおよびライヴ映像あり!

<White Stripes Get Behind Me Satan Tour 2006>
SUNDAY, MARCH 5TH TOKYO JAPAN @ ZEPP

When I Hear My Name
Dead Leaves And The Dirty Ground
Black Math
Passive Manipulation
Blue Orchid
Party Of Special Things To Do(Captain Beefheart)
The Big Three Killed My Baby
Jolene(Dolly Parton)
My Doorbell
Instinct Blues
Passive Manipulation
Hotel Yorba
St James Infirmary(Traditional)
Forever For Her(Is Over For Me)
Death Letter(Son House)
Canon
Black Jack Davy(Traditional)
We Are Going To Be Friends
Offend In Every Way
Apple Blossom
Lets Shake Hands
Cold Cold Night
Hardest Button To Button
The Nurse

【Encore】
I'm Lonely
Ball And Biscuit
I Just Don't Know What To Do With Myself(Bacharach David)
Red Rain
Seven Nation Army
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