小林武史ロングインタビュー

ポスト
小林武史 ロングインタビュー
小林武史 ロングインタビュー
 

──共鳴・共振がいろんなところに波及しているっていう実感はありますか?

小林:ap bankっていうのは説明することで何かを共鳴・共振しようと思ってるわけではなくて、未来とか社会とか人間関係とかそういうものの捉え方なのかなっていう気がするんです。富とか権力を追い求めるのではなくて、暮らしや自然と未来がつながっている、こっちの方だなっていう感じってやっぱりすごく増えてきてる。

──DVDの中で小林さんが「お金の流れが社会の流れだみたいな、そういうふうな捉え方があるけれども、それだけじゃない」言ってますね。

小林:お金の数字ってものすごく分かりやすいものだし、人はより合理的な方向に向かっていこうとするから、否定できるものでもないんだけど。でも僕は、もっと社会がガラス張りにしていかなきゃいけないと思うんですよね。



──イベントでのプロデューサーと、Bank Bandでステージ上で鍵盤を弾く役割っていうのは、繋がっているんですか? 頭を切り替えてやっているっていうところはありますか?

小林:頭は切り替えてますよね。ステージに上ってると、それはBank BandでもSalyuでもMy Little Loverでも何でもそうなんですけど、なかなかプロデューサーの頭になれないんですよね。僕は相当アグレッシヴに弾いちゃうんで。結局は同じ人間だからプロデューサーの時もアーティストの時も傾向は似てて、“ドカーン!”といっちゃう(笑)。でも、やっぱりステージ上では演奏しなきゃいけないから、プロデュースどころじゃないっていう感じですよね。そういうところが楽しい。だから実際に今回のツアーをやっていても、僕は外にいないとプロデュースが出来ないよね。それか、本当に最後の最後のリハーサルの時に、俺がキーボードをPA卓の横においてヘッドホンをしながらやるか。でもそれで「これで行こう!」って言っても、結局、本番はステージに上るからね(笑)。

──小林さんが昔からよく言っている“紡ぐ”みたいなことが、ap bankだったりBank Bandの最初のキーワードだったんじゃないかなって僕は推理しているんですけど。

小林:今は“体を通す”っていう言葉もよく使うんです。結局身体を通して実感したものが一番強いでしょう。僕はよく“TO DO(すべきこと)”って言うんだけど、それぞれが“TO DO”を感じてやるしかないんです。だから、今のミスチルのツアーにしても、ライヴの頭から最後まで通してすべての局面が、笑いあり涙ありでいろんな部分を放射してるんですよね。そこにトランスミッターみたいなものがあって、そこに向かってメンバーも僕等もみんながベストを尽くす、謙虚にやる、みたいなようなものがある感じがして。だから余裕があるんですよ。テーマではなくて、ただベクトルがあるだけで、でもそこのトランスミッターに向けてみんなめいいっぱいやってる。

取材・文●佐伯 明

⇒小林武史 特集TOP


 
この記事をポスト

この記事の関連情報