| ──日本のファンは、活動休止ということで頭を抱えていたけど、復活してくれてうれしいよ。
ティモ・コティペルト Vo(以下、コティ):自分達も状況的に心配していたんだけどね。なんとかこういう形で戻ってきたよ。
──どういう経緯で復活に漕ぎつけたのかな?
コティ:ターニングポイントとしては、僕は自分の2ndソロアルバムのプロモーションでヨーロッパに行ってた4月に、ティモが病院に入ったことを聞いたんだ。ヨルグ(・マイケル Ds)やイェンスから電話があってね。それまで、ティモがそんな大きな問題を抱えているなんて知らなくて。そして、8ヵ月後くらいに、ティモと自分達の問題について語り合ったんだ。フィンランド人の男は、自分のシリアスな個人的な問題を話すことなんてないんだけど、その時に初めて、自分たちのことについて話したんだ。それで、今までの彼の行動を理解をすることができた。
──メンバーはその間、どんな風にして過ごしていたの?
コティ:僕とイェンスは自分のことで忙しかった。自分のソロアルバムのプロモーションや、ツアーがあったからね。イェンスはツアーに参加してくれて。
ティモ・トルキ G(以下、ティモ):僕は奥さんのことで手一杯だったね。日本と違って、僕が奥さんの面倒を見てるからね(笑)。
──さて、今回はバンド名がタイトルについたアルバムだけど、これは大きな決意だね。
ティモ:自分達の新しいスタートという気持ちを表わしたかったんだ。これまでのアルバムは、とてもスピリチュアルなタイトルだったけど、今回はちょっと変えてみたんだ。
コティ:自分達にとっての新しいアルバム、という意味さ。自分達のバンド名だと、“2nd”って付けない限り、一回きりしか出来ないし。
──今回のアルバム、一曲目のコンピューター音から始まる「マニアック・ダンス」で、かなり驚いたよ。その曲も含めて、アルバム全体として以前と随分変わったと思った。音作りや曲作りは、精神的なこともあって変えたのかな?
ティモ:そうだね、音楽はスピリチュアルなものだからね。
コティ:何も意図的にはやっていないから、その時の精神状態が影響したんだろうね。
──「マニアックダンス」冒頭のコンピュータ音に関しては、どういう部分から閃いたものなのかな?
ティモ:特にどこから、というわけじゃなくて、自分の中で自然に湧いてくるものをやるだけだね。うーん答えるのに難しい質問だね。
──アルバム全体を通して、歌詞に怒りが感じられる、怒りのパワーが満ちている気がするんだけど。
ティモ:音楽でも歌詞でも、自分の感情を表現する。どのアルバムでも、その時の自分の状態が反映されているね。友達、生活、世界情勢などだね。
コティ:最初はすごい大変だったよ。ティモの頭の状態を考えて理解しなくてはいけなかったし。歌のこと自体は簡単なことだけれど、歌詞に込められた意味や感情を表現するのは大変。“アグレッシブにやってくれ”って言われてさ。普段なら断るんだけど。最近は、“まあ、やってみよう”と。ティモが出してくるアイディアの中には、下らないなって思うものもあるんだけど、その中にはスーパーアイディアが潜んでいることが多いからね。苦痛がないと、作品は作れないものだよ。
──このアルバムの一番の聴きどころを紹介して。
ティモ:ダークな部分に希望がある点がポイントかな。でも、そういうのを意識せずにまず聴いてほしいね。
──日本でのライブは、渋谷のO-EASTで2daysだったね。なぜ、日本でこれほどまで人気があると思う?
ティモ:人気の秘密は、コティの声にあるんじゃないかな。最初は、フィンランドだけで、ティモが日本で契約をとったんだ。だから、バンドが始まったのは日本からと言っても過言ではないんじゃないかな。僕は15回も日本に来ているし、コティは10回目だし。
コティ:これが最後かもね(笑)。日本はファンがとても忠実だね。しっかりライブでも曲を聴いてくれるし。最初のライブはオーディエンスが静かだったから、“オレの歌って下手なのかな”とか思っちゃったけど、曲が終わったらすごい拍手して盛り上がってくれたからね。これが、フィンランドだったら、みんな酔っ払って聴いてくれてないし。日本では手作りのプレゼントをもらったりして嬉しいよ。今回は、アコースティックの曲をやったんだけど、これは日本だけなんだ。他の国ではやらないよ。 取材・文●森本 智 |
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