| ■ デュールクォーツ時代
――雅くんの歴史を追いつつ、心境の変化にスポットを当てて今に至るいきさつを聞いていきたいと思うんですけれど、デュールクォーツの頃はまだ10代ですよね?
雅:ま、今でも気分は10代やけどね(笑)。まだ黒服、着れるぜみたいな(笑)。
――本格的なバンドはデュールクォーツが初めてだったと思うんだけど、当時はどんなことを考えて、何を目標にしていた?
雅:ああ……簡単に言えば死のうと思ってた。
――それは……なんで?
雅:うーん……目標が見えなくなっちゃってたんだよね。
――でも、加入当時はそんなことは思ってはいないでしょう?
雅:あ、その頃は希望にあふれてたよ(笑)。でも、やっていくうちに……若かったっていうのもあると思うし、明日のことしか見えないって言うか……もっと言っちゃうと、今日しか見えない的な。
――今、この瞬間、みたいな生き方でしょ?
雅:そう、そう。長いスパンでものごとを見られてなかった。
――それはバンドの活動において? それとも生きるということについて?
雅:って言っても、バンド活動が100%だったから、生きるとイコールになっちゃってたよね。で、俺、はけぐちとか、そういうのが、ま、今でもそうだけど、ないから……。
――ストレスを解消する術がないっていうことですか?
雅:そう。今は音楽でいい感じで循環できてるからいいんですけど、その頃は1回、コレステロールがたまったら、そこから根詰まりを起こして動脈硬化みたいな感じで……。今やったら、いろんな方法を見つけられるけど、その頃はなかったから……。歌詞も暗いし(笑)。
――うん、今の歌詞と全然違うよね。当時の心境が反映されていた?
雅:そりゃあ、パーソナルな部分っていうのは反映されてるよね。
――でも、加入当時は“ああしたい、こうしたい”って夢があったんでしょ?
雅:夢っていうか、17(才)のときに勢いで、こっちに出てきたようなものだったから、東京に着いたとき、財布とタバコとPHSしか持ってなかったのもそういうことやし。ただ、どっちにしろ、でっかくなってやろうとは思っていたけど。
――何かでっかいことをやってやろうっていう感覚ですか?
雅:うん。こっちに来たのも、どっちにしろ、いつかは来るんだろうと思ってたし、デュールに入ったときはもちろん、希望はあったし、ぶっちゃけまわりに関して言えば、本音を言うと“たいしたことねえな”と思った(笑)。
――ライブハウスに出ているバンドを見て、そう思ったということ?
雅:そう。“なに、これ? 楽勝やな”って(笑)。もちろん、そうじゃないバンドもあったけど、ほとんどやったね。
――俺、イケるんじゃないかって?
雅:どうなんやろう? それは、さっき死のうと思ったって言ってたことに繋がっていくんやけど、つねに理想は高く、志を高く持っていたかったから、まわりのシーンを見たときに“なんだ?これ?”って、遊びみたいに見えたんだよね。俺は高校も大学も卒業してないから、わからないけど、サークル的な感覚? そういうふうに見えちゃったの。
――当時のインディーズ・シーンが?
雅:そう。ライブ終わって、打ち上げやって、ワーッて騒いで、“楽しけりゃいいじゃん”って感じに見えたから……。俺は今でもそうやけど、ライブ終わったら、何十回とビデオ見て反省会するし……何やろうな? やることは山積みやから、焦燥感みたいなものはすごくあったよね。
「Neo genesis Winter,2005」ロングインタヴューより抜粋
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