<SUMMER SONIC 2005>ザ・ティアーズ、華麗かつグラマラスなステージ

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ブレット・アンダーソン(Vo)とバーナード・バトラー(G)がまさかのレコード共作に入った頃、UKでライヴを見た知人たちは「あの2人だからこそ期待する、ドリーム感が今はない」と残念そうに話していた。一方、今回初めてティアーズを確認した日本の知人たちは「アルバムではあの2人ならではのドリームがなかったけれど、ライヴは最高だった」と口々に話す。面白いほどに、正反対だ。

しかし共通しているのは「あの2人」への期待度だろう。スウェードの最初の絶頂期を築いた夢のソングライティング・チームとして、華麗かつグラマラスなステージの記憶を残してくれた、この2人。しかし今の彼らに「メタル・ミッキー」や「アニマル・ナイトレイト」の興奮を再び、と願うのはそもそも無理な話だし、バンドとしても困ってしまうはず。

それぞれが別々のキャリアを築いたからこそ、アルバム『ヒア・カムズ・ザ・ティアーズ』のもたらすウォール・オブ・サウンドなサイケデリアに辿りついたわけだし、ブレットが歌詞で描く「君と僕」の感情の幅は、恋愛を超えた人間愛にまで到達したのだから。

ゆえに、今回のステージでは様々なコダワリが本当に氷解したのだということを、私は何よりも強く感じた。バーニーはスウェード時代を否定するのなら決してしないであろう腰フリ・プレイが健在で、それでいて太く歌うリフを矢継ぎ早に繰り出してみせる。このギターにブレットの歌声が乗る、それだけで胸に詰まるのも事実。一方、ドラムやベースの音にはソウルやR&Bを思わせる、空間性を生かしたうねりが。単に曲の再現を聴くのではなく、演奏そのものの味わい深さも、たまらないものが。

ブレットは「ゴースト・オブ・ユー」を、この直前に急逝したお父上に捧げた。途中でバーニーがギターは弾く手を止め、ブレットの声だけがアカペラで響く。その荘厳な凄みが、今の彼らが辿りついた地点を象徴していた。

取材・文●妹沢奈美
Photo●SUMMER SONIC / TETSURO SATO

THE TEARS
2005/8/13 SONIC STAGE

1. The Asylum
2. Lovers
3. Primitive
4. Imperfection
5. Autograph
6. The Ghost Of You
7. Brave New Century
8. Refugees
9. Two Creatures
10. Apollo 13
11. Beautiful Pain

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
SUMMER SONIC 2005特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010617
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