<SUMMER SONIC 2005>ブラック・クロウズ、コシと粘りの強い最高のアーシー・グルーヴ

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今回のサマーソニックで実は密かにもっとも個人的に期待していたアクトが、このブラック・クロウズだ。2002年に突然の活動休止宣言以来、“解散”の噂もまことしやかに囁かれていた彼らがこの春、待望の再集結。しかも、ギタリストのマーク・フォードをはじめ、最盛期のメンバー主体! 3月にニューヨークで行われたツアーでも、前座がノース・ミシシッピー・オールスターズといったジャム・バンド系から、スウェディッシュ・ガレージ・ロックのサウンドトラック・オブ・アワ・ライヴス、イギリスで批評家ウケ抜群のアーシーなインディ・ロックバンドのザ・ビーズ、ニューヨーク系インディ・シンガーソングライターのベン・クウェラーまで……と、そのピックアップのセンスの良さも改めて披露。

これらの事実は、ブラック・クロウズがハード・ロックのバンド(10数年前はメタル系のメディアにやたら載っていた)でないことも「セレブ(ケイト・ハドソン)の旦那さん(クリス・ロビンソン、Vo)のバンド」でもないことを示すものである。いや、むしろ、彼らのザラッとした触感のギターは、今のホワイト・ストライプスやジェットなどのサウンドについて考えると、むしろグランジよりも新しくさえも思える。なのに……。「なんなのだ、この日本での低評価は!」。日本のクロウズ・ファンは常日頃からそんな愚痴をこぼしがちだが、それは残念ながら、このサマソニでも現実のものとなってしまった。

まず、ラウド・ロック系中心のラインナップに組み込まれているのがファンとしては気に入らない。近年はジャム・バンドとして括られているというのに。そして、いくらオアシスの裏とは言え、クロウズのライヴに対して、このガラガラぶりは一体! 仮にもオアシスとは2000年に共に全米ツアー<BrotherlyLove>を行なった仲。むしろオアシスのファンにこそアピールすべき存在なのに。

そういう展開であったが故に、5年振りとなる待望の日本でのライヴも淋しかった。安定した演奏は聴かせてくれるものの、クリスの表情はどこか無念げで、ギラギラしたものが伝わってこなかった。選曲がバラード中心で比較的マニア度高め(ただ、ファンはイントロ・クイズ並に素早い盛り上がりを見せていたが)なのも、理由としてあるにはあったが、それでもネットリとしたコシと粘りの強い最高のアーシー・グルーヴを名人芸的に聴かせていただけに、客の不入りから来るテンションの低さが残念だった。終盤での「Twice As Hard」「Remedy」といった大人気曲はさすがに盛り上がったがアンコールはなし。出演バンドにキャンセルが出て時間もあっただけに、ジャム・バンドの本領発揮とばかりに2時間ぐらいやっても良いと思ったのだが、さすがに客入りがこの人数では……。今度はもっと、理解のある環境で、ソウルフルでグルーヴィーなコクと自慢のロケンロールを満喫したいものだ。

取材・文●沢田太陽
Photo●SUMMER SONIC / SUMIE

THE BLACK CROWES
2005/8/14 MOUNTAIN STAGE

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
SUMMER SONIC 2005特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010617
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