人気のカヴァー曲を集めた新作登場! メンバーたちを北京でキャッチ☆【ディスク紹介】
女子十二楽坊がカヴァー集『女子十二楽坊~THE BEST OF COVERS~』が7/27にリリースされる。2003年夏に大旋風を起こしてから早2年、彼女達のフォロワーも数々登場し、二胡(にこ)や琵琶など中国民族楽器も身近なものになった(沖縄音楽も流行って三線も登場して、民族楽器により抵抗がなくなったのもあるだろう)。そのなかでもやっぱりナンバー1の知名度をキープし、すっかり人気も定着した。
こうなってあらためて感じる女子十二楽坊の人気は……
(1) 演奏がマジうまい(制作もライヴも順応が早そうだ)。
(2) 中国伝統楽器のみの音でなく、ドラムやギターなどバンドサウンドが入ってポップ(ガチガチの保守音楽でなく、自由度が高い)。
(3) 日本の大ヒット曲を常にカヴァーし作品に収録(インスト曲でも口ずさみたくなるわけ)。
(4) 立ち振る舞い、そしてなんといっても演奏している姿が優雅(ん~女の私としても参考にしたい)。
今回はその(3)に焦点を合わせたカヴァー集となる。収録曲はリストを見ていただくとして、新録は「ドラえもんのうた」、「涙そうそう」、「真夏の果実」、「チャルダッシュ」。「ドラえもんのうた」は<あんなこといいな できたらいいな>のアノ曲。自分、「合わないだろ~」と思っていたけれど、意外とハマっているから不思議。目からウロコ。「涙そうそう」はやはり名曲、「真夏の果実」は“中国の若者ならばみんな知っている”(レイ・イン)というだけあって違和感なし。そしてなんと言っても「チャルダッシュ」。これはクラシックであるため“カバー集”というコンセプトからすれば、大きく取り上げる主旨のものじゃないかもしれない。でも、このバイオリン曲(元はマンドリンらしい)として作られた緻密なクラシックを二胡で表現しきったジャン・リーチュンに拍手…! 表情豊かに流れるように演奏し、リスナーを飽きさせることなくぐっと引き寄せた魅力がここにある。
ほかにも、「ラブストーリーは突然に」では二胡の音が心のヒリヒリする焦燥感を表現、かと思えば「地上の星」では力強さをぐっと全面に出し、「花」では柔らかく花びらの軽やかさを感じさせている。COLDPLAYの「クロックス」もユニークなところで、こちらは西洋感をぐっと東洋の世界へと引き寄せている。もちろん二胡に特化したことではなく、どの楽器でもいえるのだろうが、アンプラグドで、シンプルかつ叡智の集結である楽器から成せる技であり、それを表現する人間の豊かさから来るのではないだろうか。
元気な歌からメロウソングまで、言葉でなく楽器で表現してしまう中国民族楽器の奥深さ、そして女子十二楽坊の懐の深さを再び認識させられた作品であることは間違いない。
『女子十二楽坊 | 『女子十二楽坊 ~THE BEST OF COVERS~』 |
1. 小田和正 『自己ベスト』
「ラブストーリーは突然に」オリジナル曲収録
(『女子十二楽坊 ~THE BEST OF COVERS~』4曲目)
2. COLDPLAY 『静寂の世界』
「クロックス」オリジナル曲収録
(『女子十二楽坊 ~THE BEST OF COVERS~』6曲目)
3. ORANGE RANGE 『musiQ』
「花」オリジナル曲収録
(『女子十二楽坊 ~THE BEST OF COVERS~』13曲目)
4. 中島みゆき 『中島みゆきライヴ!~Live at Sony Pictures Studios in L.A.~』
「地上の星」オリジナル・ライヴヴァージョン収録
(『女子十二楽坊 ~THE BEST OF COVERS~』15曲目)
5. 森山良子 『さとうきび畑/涙そうそう』
「涙そうそう」オリジナル曲収録
(『女子十二楽坊 ~THE BEST OF COVERS~』3曲目)