三上ちさこが語る3000語interview
──歌詞を歌う時の表現力が素晴らしい。何か演劇などの特別な訓練をしているんですか?
三上ちさこ(以下、三上):特にはないですよ。普通の生活をしていると出さないレベルの部分ってあるじゃないですか。私はライヴという場所でそれを超えるということをしているだけ。開放するっていう意識かな。ヴォイス・トレーニングは半年くらいしかしたことないんです。続かないんですよ。大事にしているのは、自分の中にどれくらい入っていけるかという集中力なんです。それで全部をカヴァーしているのかな。
──ライヴでのパフォーマンスなどのフィジカルな部分では?
三上:普段の生活の中に、何でもダンスっぽい要素ってあると感じるんです。人と話してても美味しいものを食べてても。全部リズムというか抑揚がある。カメラマンに写真を撮られている時の高揚感とか、そういう目に見えない意識の交流を身体で表現しようとしてるというか。だからそれ自体は習ったりしたことはないんです。でも半年くらいジャズダンスをやった(笑)。
──表現力を高めるために、これからやってみたいことってありますか?
三上:今この瞬間をできるだけ濃くしたいと思ってます。生活と音楽、ライヴって延長線上にあるから、今を強く感じていればライヴでもそのまま出ると思うんです。エネルギーの幅を大きくしていきたいっていうのかな。
──今まではfra-foaというバンド、これからはソロですが、気持ち的に一番違うところは?
三上:緊張感かな。バンドの時は何でも最後は自分で決めなくちゃっていう重圧がありました。最後は自分ていう部分は変わらないんだけど、今は音の方は放り投げるというか相手に委ねて、出てきたものに対して面白がって乗っかっていける。そういう自由感っていうか、開放した気持ちよさは今の方がありますね。
──アレンジなどの部分を他の人に任せられるようになって、バンド時代とは違う自分を発見できたんじゃないですか?
三上:そうですね。今回のアルバムの半分くらいは、私からメロディや歌詞を渡してアレンジしてもらったもので、あとの半分は音をもらって、その場のイメージや世界観を言葉にして歌っているんです。音から発想するのって新鮮な体験でした。
──作詞作曲をする時はどういうシチュエーションで?
三上:歩いている時ですね。外の風を浴びながらニュートラルなカンジでいるときに浮かんできます。それが頭の中でヘヴィーローテーションになって盛り上がってきて(笑)。気付くとすごい距離を歩いてるんです。
──それをどうやって曲にまとめるんですか?
三上:頭の中で何回も何回も繰り返して、そこで作り上げちゃいます。歌詞は衝動的に降りてくる時があって、それを書き留めておくんです。メロディと歌詞は同時ですね。ほとんどが歩きながら作られていくんです。家に帰るとそれがなくなっちゃうんですよ。止まると死ぬみたいな(笑)。だから歩き続けて、固まるまでおうちに帰れない。
──今回はアレンジなどをホッピー神山さんなどに頼まれたわけですが、想像していなかった出来になったものは?
三上:「バカで結構」「ファンダメンタル」は想像を超えるものができましたね。「バカで結構」はめちゃくちゃブルージーなものを考えてたんですが、最初にベースラインを聴いた時は“えー?”って思いました。でもストリングスが入ってくるところなんかは、すごくカッコイイ。「Viva La Revolucion」のストリングス・アレンジもびっくりしました。あれを聴いた日の帰りに、夕陽が差し込む電車の中で、この世に生まれてきたことを感謝しましたもの。あと、ベースラインの考え方にビックリしましたね。
──どんな風にレコーディングを進めていったんですか?
三上:音を聴いて、何かが浮かんでくれば録って、っていうことの繰り返しです。初めての作業の仕方でしたね。すごくアバウトでよかったです。その瞬間に出るものが自分でも分からないという緊張感や不安感がすごかった。生身の自分が出てるから、ちょっと恥ずかしくもあるんです。歌詞もギリギリまで決まってなくて。その瞬間まで決まっていないというのが、一番真実に近いことが出てくるのかな。決めた瞬間に何かがズレる。
──あまり作り込みすぎないで、その場の感性を大事にするというやり方は初めて?
三上:今まではドツボにはまってどこまでも行ってましたから(笑)。でも、そういうのも良い面はあるんです。突き詰めて突き詰めて、自分でも訳が分からなくなって、一回手放してそこで見えるものを拾うとか。ギリギリまで悩んでスタジオに入ってから決めるとか。今回はそれとは逆で、最初から開放して、とにかく開くことに集中しました。
──自分の発想を引き出す時に、何か刺激剤にしたものってあったんですか?
三上:そういう目的では見たり聴いたりはしないんですけど、今回、感化されて走り出したのは楳図かずおさんの番組。バオバブの木を探しに行くという内容なんですが、それを観た瞬間に自転車に乗って走り出して作った曲があった。あとは内田春菊さんのマンガを読んで、その世界観に共鳴して作った曲も。岡本太郎さんの美術館に行って、入り口のところにある大きい絵をずっと見てたら、細胞レベルが興奮して踊りだしたこともありました。そのエネルギーを曲にしたくて悶々して帰ったこともありましたね。
三上ちさこ(以下、三上):特にはないですよ。普通の生活をしていると出さないレベルの部分ってあるじゃないですか。私はライヴという場所でそれを超えるということをしているだけ。開放するっていう意識かな。ヴォイス・トレーニングは半年くらいしかしたことないんです。続かないんですよ。大事にしているのは、自分の中にどれくらい入っていけるかという集中力なんです。それで全部をカヴァーしているのかな。
──ライヴでのパフォーマンスなどのフィジカルな部分では?
三上:普段の生活の中に、何でもダンスっぽい要素ってあると感じるんです。人と話してても美味しいものを食べてても。全部リズムというか抑揚がある。カメラマンに写真を撮られている時の高揚感とか、そういう目に見えない意識の交流を身体で表現しようとしてるというか。だからそれ自体は習ったりしたことはないんです。でも半年くらいジャズダンスをやった(笑)。
──表現力を高めるために、これからやってみたいことってありますか?
三上:今この瞬間をできるだけ濃くしたいと思ってます。生活と音楽、ライヴって延長線上にあるから、今を強く感じていればライヴでもそのまま出ると思うんです。エネルギーの幅を大きくしていきたいっていうのかな。
──今まではfra-foaというバンド、これからはソロですが、気持ち的に一番違うところは?
三上:緊張感かな。バンドの時は何でも最後は自分で決めなくちゃっていう重圧がありました。最後は自分ていう部分は変わらないんだけど、今は音の方は放り投げるというか相手に委ねて、出てきたものに対して面白がって乗っかっていける。そういう自由感っていうか、開放した気持ちよさは今の方がありますね。
──アレンジなどの部分を他の人に任せられるようになって、バンド時代とは違う自分を発見できたんじゃないですか?
三上:そうですね。今回のアルバムの半分くらいは、私からメロディや歌詞を渡してアレンジしてもらったもので、あとの半分は音をもらって、その場のイメージや世界観を言葉にして歌っているんです。音から発想するのって新鮮な体験でした。
──作詞作曲をする時はどういうシチュエーションで?
三上:歩いている時ですね。外の風を浴びながらニュートラルなカンジでいるときに浮かんできます。それが頭の中でヘヴィーローテーションになって盛り上がってきて(笑)。気付くとすごい距離を歩いてるんです。
──それをどうやって曲にまとめるんですか?
三上:頭の中で何回も何回も繰り返して、そこで作り上げちゃいます。歌詞は衝動的に降りてくる時があって、それを書き留めておくんです。メロディと歌詞は同時ですね。ほとんどが歩きながら作られていくんです。家に帰るとそれがなくなっちゃうんですよ。止まると死ぬみたいな(笑)。だから歩き続けて、固まるまでおうちに帰れない。
──今回はアレンジなどをホッピー神山さんなどに頼まれたわけですが、想像していなかった出来になったものは?
三上:「バカで結構」「ファンダメンタル」は想像を超えるものができましたね。「バカで結構」はめちゃくちゃブルージーなものを考えてたんですが、最初にベースラインを聴いた時は“えー?”って思いました。でもストリングスが入ってくるところなんかは、すごくカッコイイ。「Viva La Revolucion」のストリングス・アレンジもびっくりしました。あれを聴いた日の帰りに、夕陽が差し込む電車の中で、この世に生まれてきたことを感謝しましたもの。あと、ベースラインの考え方にビックリしましたね。
──どんな風にレコーディングを進めていったんですか?
三上:音を聴いて、何かが浮かんでくれば録って、っていうことの繰り返しです。初めての作業の仕方でしたね。すごくアバウトでよかったです。その瞬間に出るものが自分でも分からないという緊張感や不安感がすごかった。生身の自分が出てるから、ちょっと恥ずかしくもあるんです。歌詞もギリギリまで決まってなくて。その瞬間まで決まっていないというのが、一番真実に近いことが出てくるのかな。決めた瞬間に何かがズレる。
──あまり作り込みすぎないで、その場の感性を大事にするというやり方は初めて?
三上:今まではドツボにはまってどこまでも行ってましたから(笑)。でも、そういうのも良い面はあるんです。突き詰めて突き詰めて、自分でも訳が分からなくなって、一回手放してそこで見えるものを拾うとか。ギリギリまで悩んでスタジオに入ってから決めるとか。今回はそれとは逆で、最初から開放して、とにかく開くことに集中しました。
──自分の発想を引き出す時に、何か刺激剤にしたものってあったんですか?
三上:そういう目的では見たり聴いたりはしないんですけど、今回、感化されて走り出したのは楳図かずおさんの番組。バオバブの木を探しに行くという内容なんですが、それを観た瞬間に自転車に乗って走り出して作った曲があった。あとは内田春菊さんのマンガを読んで、その世界観に共鳴して作った曲も。岡本太郎さんの美術館に行って、入り口のところにある大きい絵をずっと見てたら、細胞レベルが興奮して踊りだしたこともありました。そのエネルギーを曲にしたくて悶々して帰ったこともありましたね。
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