――LOFTでライヴをやるのって、久しぶりですよね?根岸孝旨(Vo&B/以下、根岸):そうですね。3年ぶりくらいかな? まあ、ライヴ自体、あんまりやってなかったからね。やりたかったんだけど、なんか波長が合わない……って、この言い方は最悪だな(笑)。
――仲が悪いみたいじゃないですか!根岸:悪いんですよ、特にゆうことは。
あらきゆうこ(サポートDr/以下、あらき):いつもねえ、ケツがデカいってうるさいんです。
根岸:ケツと態度がでかい(笑)。
――いくら久しぶりでも、3人でスタジオに入れば、すぐいい感じになる?あらき:この2人は(根岸と長田)Dr.StrangeLove(以下、DSL)以外にもよくいっしょに演ってますからね。(奥田)民生さんのライヴとか。私は最近、やっと仲間に入れてもらえるようになったので。この前もラブ・サイケデリコさんのヘルプだったり…。
根岸:ヘルプっていうな! キャバクラじゃないんだから。
長田 進(Vo&G/以下、長田):ハハハハハ!
根岸:演奏についてはですねえ、そのときそのときのインプロビゼーション色っていうのが濃いんですよ、ウチらの場合。あんまりリハをやりすぎても“段取りを確認する”みたいになっちゃうんで…。
長田:それは避けたいなって。
あらき:あのね、たぶん(DSLの)良いところは、それぞれが別の場所で活動してるじゃないですか。で、こうやって3人でいっしょに演奏すると、そのたびに新しいものが入ってくるんですよ。そこが楽しいんだと思う。
根岸:(拍手しながら)うん、良いこと言った。
長田:確かに、微妙に違うんだよね、いつも。特にゆうこは変わるよね。
あらき:いま、伸び盛りなんで。
根岸:自分で言うな!
――(笑)。今年の3月にリリースされたアルバム『The river of blue blood』はどちらかというと、“夜、酒を飲みながら聴くと似合う”って感じの曲が中心でしたね。根岸:まあ、お洗濯向きではないよね。まあ、作ってる俺らも酒飲んでるし(笑)。
――ライヴで演奏するときは、また違う印象になるんでしょうか?根岸:うん、CDは基本的に(根岸と長田が)ふたりで構築してやってるんですよ。だから3人だけで演奏すると、(CDの)再現にはならない。アレンジを変えるっていうか、別の感じでやるってことですね。CDとはぜんぜん違うパターンを弾いてて、“あれ、これ、違うなあ。まあ、これもカッコイイからいいや”ってこともあるし。
長田:毎回違って当たり前っていうか、そのほうがいいんですよ。いつも同じだったら、カラオケといっしょだから。やっぱり、リアリティのあるものをやりたいからね。
――生々しさが大事、ってことですね。根岸:まあ、基本的に何も考えてないんですよ。“ライヴでは3人だから、3人で演奏できる曲を作ろう”とも考えてないし、“レコーディングでしかできないことをやろう”とも思ってない。
長田:何らかのスタイルはあると思うけど、それに縛られたくはないし。“今日は、どんな感じ?”っていうのが大事だと思ってるので。
――なるほど。DSLに対する動機は、そこがキモなんでしょうね。根岸:最初から、衝動的にはじめたバンドですからね。俺がいきなり“バンドをやろう”って言い出して、“ああ、ええよ”っていう人がいて(笑)。
長田:こういう音楽をやろう!ってはじめたわけでもないし。
根岸:いや、最初はあったんだよ、やりたいことが。今はないけど(笑)。だから、“DSLな音楽”をやりたいってことですよね、今は。他にはないものを。だからって、“他にないものを探す”っていうのは違うんだけど。
長田:まあ、がんばってやりますよ、これからも(笑)。
根岸:次(のアルバム)は、5年ぶりってことはないと思いますよ、たぶん。1年くらいは待ってもらうと思うけど。秋にはミニ・ツアーもあるし、気長に応援してもらえるとうれしいです(笑)。
取材・文 森 朋之