■NEW ALBUM | | 『FIST and FIRE』 2004年6月23日発売 LIFE LINE/東芝EMI TOCT-25377 \ 3,059(税込)
1 INTRO W/JUNGLE ROOTS 2 FIST and FIRE 3 UNDER THE BLUE LIGHT~ハマのテーマ ワタさんSPECIAL@TOKYO LINK~ 4 生~BORN FREE~ 5 灯台下暗 6 INTERLUDE#1 7 CITY JACK 8 SHOT BAR 9 BURN BAD MIND 10 INTERLUDE#2 11 SOUND CLASH ANTHEM 12 PRESSURE DROP~自業自得~ 13 太陽と月 14 NEW BEGINNING W/JUNGLE ROOTS |
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| ――今作のタイトル『FIST and FIRE』は'97年にMIGHTY CROWNと廻ったツアー名からですね。
CHOZEN LEE: そう、それも今みたいに俺らがライヴに呼ばれるんじゃなくて、俺らがブッキングしてくれる人を探して、西日本の小ちゃい箱を廻った初めてのツアーらしいツアー。200~300人来たら「すげぇ~来てる」っていう状況で。それを<"火と拳"ツアー>って、後づけだけど付けたんですよ。で、<"火と拳"ツアー>から帰ってきて各地を廻った音源で編集してカセットテープで出したんだけど、それが俺らの中では作品作りとして初めてのことで。インタールードを入れて飽きさせないようにとか、すごく考えて作って。だから<"火と拳"ツアー>っていうのは、ライヴ形式の原点と作品作りの原点っていうのがあったんですよね。
――その“原点”へという意識がメンバーにあったのですか?
CHOZEN LEE: 誰も口に出すわけではなかったけど、なんとなくみんながそっちの方を向いていたって感じですよ。もともと「レゲエを広めていこう」とかいう使命感に完全に支配された考え方でもなく、ただ純粋に俺らがこれだけ楽しいんだったら、その楽しみが伝わるだろうっていう感覚でレゲエをやってたんで。その気持ちは忘れちゃいけないでしょって。それをなんとなくここにきて思ったって感じですかね。
――“原点”というところで、人の原点を歌った「生~BORN FREE~」も印象的でした。
CHOZEN LEE: これは赤ちゃんの歌です。俺らのエンジニアの人と昔からやってるHOME GROWNのギタリスト、I-Watchの子供が偶然同じ日に生まれたりとか、周りも子供が生まれる世代だから。身の周り単位でみるとすごく嬉しいんだけど、ニュース単位でみると虐待だったり、子供を殺したりとか、最近目立っているようにみえて。やっぱり俺の中ではそれがすごく信じられなくて。でも、単純にそういうことがよくないっていうのは当たり前のことだからそれはあまり言いたくなくて。逆になんとなく見落としてそうな赤ちゃんの本当の素晴らしさってこうなんじゃないのっていうのをもっと言いたくて。それはやっぱ大切かなって。
――不信が募る政治に対する想いをぶつけた「灯台下暗」は?
CHOZEN LEE: 自分らが単純に思ったことなんだけど、結構そういうのって言葉にするのが難しくて、素直すぎに書いちゃうとあんまり知識がないのにおまえが言うか…っていうのもあると思うし。微妙ですよね、どこまで突っ込んでいいのかっていうのが。でも言いたいことは言わしてもらう。やっぱあんま無関心でいるのも罪かなって。無関心でいたら文句も言えないじゃん。
――全体的にリリックはメンバー個々の主張があるのだけど、FIRE Bとして伝わってくる大きなひとつのものがありますよね。
CHOZEN LEE: 俺ら単純に4人いて、頭と心が4人分あるんで、FIRE Bの詞はひとりじゃ絶対書けない詞なんですよ。一人だったら、もっとゴリゴリになったり、わがままになったりとか。やっぱみんなが納得しないと曲にはなんないから。FIRE Bを始めたときに、“4人バラバラだけどFIRE BALLっていうひとりのアーティストを作りてぇな”っていう話をしていたから、それがどこまでできるんだろうっていうのが俺らの課題っていうか、挑戦だったりするんで。それと同時に4人で1人のアーティストだけど、でも4人いるから、4人で歌う、3人で歌う、2人で歌う、1人で歌うっていうのを組み合わせると何通りできるでしょうか…(笑)。…(筆者共に沈黙)…。そういうことです。やれることはいっぱいあるってことですよ。
――去年は<フジロック'03>もジャパニーズ・ダンスホール・レゲエの中で初めて出演、その後もJungle Rootsとツアーを廻って、その辺は今作のサウンドにも反映されましたか?
CHOZEN LEE: あのツアーがなければ今の俺らはないっていうくらいすごくいい感じで廻りましたよ。なんとなくひとまとまりになったし、いろんな意味でいい余裕が出てきた。Jungle Rootsも大きい存在ですね。人生的にも、音楽的にも先輩だし。で、俺らはやっぱダンスホール・レゲエをやってるんで、とにかく現場を盛りあげたいっていうのはありますね。制作中もダンス・チューンをもっと増やしてもいいんじゃないかっていう考え方だったり…。でもやっぱアルバムっていうのは一枚通して飽きさせちゃいけないから、そこらへんのバランスは考えて。俺の場合はノリだけで作ってもちょっと浅はかなものになったりするから、一応練りはしますけど、最初の1stインスピレーションみたいなものはすごく大事にしてますね。
――<“火と拳”ツアー>のときから振り返るとFIRE Bの存在も大きくなったし、それと共にレゲエ・シーンも拡大しましたよね。
CHOZEN LEE: めちゃくちゃ大きくなってますよ。俺らは客がいないときからやってるんで、ふと振り返ればすごい人数になったなって感じだけど、でも普通に段階を追って成長はしてきているつもりだから。今作も、もう3作目だけど、まだ3作目なんで、これから出していくだろうアルバムの中の一枚っていう感じですかね。でも、1st、2nd、3rdでちゃんと成長しているなっていうのは自分らで聴いても分かる。まあ、客観的には見てないんだけど。でも、好きでやってるんだから、上手くなっていかないとね。
――ひとつひとつ段階を踏んでいく中で、プレッシャーは?
CHOZEN LEE: 別に人から与えられるプレッシャーはないですね。プレッシャーって自分自身にかけて返ってくるプレッシャーかな。やるべきことを後に廻すのは自分がかけてるプレッシャーだったりするし。
――そういうことを歌った曲もありますよね。
CHOZEN LEE: そうそう「Pressure Drop-自業自得-」。
――今年の<横浜レゲエ祭>は、去年の倍、2万人規模で開催ですね。その意気込みを!
CHOZEN LEE: 勝負にたとえたら、“おまえらには負けないよ”っていう感じかな。たぶんお客さんもスゲェ勢いで盛り上がってやろうって気持ちで来るから、俺らも負けない。まあ、全然勝負じゃないですけど(笑)。俺らが目指してるのは、日本の祭りのひとつになりたい。それにはまだ始まったばかりだし、世間的にも認められてないだろうし。ただ、祭りって俺らだけじゃ絶対無理だから、お客さんが居ての祭りだから。忘れないで欲しいのは、来る人みんなが祭りを作ってるんだよってこと。そういう気持ちで来てもらえれば、間違いなくおもしろいものになると思うよ。 取材・文●イトウトモコ |
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