【インタビュー】SUGIZO×藤原いくろう対談 『SYMPHONIC LUNA SEA -REBOOT-』から解かれる普遍的メロディ

◆楽曲が勝手にアレンジをさせてくれた
――完成したアルバムを通して聴いて感じたことは?
SUGIZO:全体的にすごくいい意味でポップだなと。いい悪いではなくて、オーケストラになると重くなったり、アカデミックになったり、小難しくなるって一般的には思いがちじゃないですか。そういう意味で言うと、このアルバムはその逆をいったことがむしろ僕の中で裏切りですね。オリジナルよりも実はポップで聴きやすい。イメージ的にはそれこそディズニーのサントラとか、ディズニーの世界のファンタジックな部分を感じますね。要は普遍的なオーケストラミュージックの感動があるんだと思う。もちろんその中にはハイレベルなアプローチがされていたり、技術的にすごく難しかったり、アカデミックな実験が繰り広げられてはいるんだけど聴き心地はとてもスムーズに入ってきやすい。このアルバム全体にディズニー音楽の普遍性に近いものを僕は感じましたね。そこがいちばんのいい意味での裏切りかな。
――こうくるとは思わなかった的なアプローチなんですか。
SUGIZO:だって、例えばもっとプログレッシブで、もっと難解なアレンジになってもおかしくないわけで。
――確かに。LUNA SEA自体、プログレッシブな要素を持ってますからね。
SUGIZO:そうですね。そのプログレッシブな部分を抽出したわけではなくて、LUNA SEAのポップ性をもっと引き出してもらった感じがする。それがすごく意外で、でも「なるほどな」って納得するという。そもそもそう考えてみたら、藤原さんのソロの音楽聴いても、実は非常にポップですからね。
藤原:(笑)そうですね。ただ、バンドアンサンブル全体で聴くとまた別なんですけど、LUNA SEAって紐解いていくと、けっこうメロディ自体はポップなんですよ。
SUGIZO:たぶんそのポップ性、普遍性があるから、一般の方に聴いていただけるようになったと思うんですよね。
藤原:そうだと思います。それこそカラオケで歌う人が多いっていうのは、そういう部分があるからだと思うし。
――今、ディズニーのお話が出ましたけど、そういうポップさみたいなのをもっと引き出したかったというのがこのアルバムですか?
藤原:いや、何をしたいっていうのはなかったです。楽曲が勝手にアレンジをさせてくれたっていうか。僕自身、ディズニーは好きですけど(笑)。
――それも共通点ですね。
SUGIZO:ほんとにディズニーのオーケストラ曲やディズニーランドのパレードって感動します。
藤原:僕も毎年のように行ってるので。
SUGIZO:僕もだいたい年に2、3回は行きますね。SEAもいいじゃないですか。夏はSEAで冬はLANDがいいんですよね。
藤原:僕の中では『ファンタジア』っていう映画が実は教科書のひとつなので。
SUGIZO:あとバレエ音楽がすごく好きじゃないですか。ディズニー音楽はいろんな部分でバレエ音楽的なところがあると思います。
藤原:そうですね。
◆音楽ファンの方はもちろん、初めてオーケストラを聴く人にも入口としては絶品
――では、このアルバムをどんな時に聴いてほしかったりしますか? またLUNA SEAのCDと違うシチュエーションとか。
藤原:僕的にはオーケストラ側しか知らない人がLUNA SEAを知ってもらうきっかけになればいいし、逆にLUNA SEAのファンがオーケストラのコンサートに来たいと思ってくれるような、逆の入口になってくれればいいなと思っています。
SUGIZO:まったく僕も同感ですね。先ほども言ったように、本当に普遍的な良さがあると思うので、音楽ファンの方はもちろんですけど、初めてオーケストラを聴く人にも。入口としては絶品だと思います。あと子供たちに聴いてもらいたいですね。僕自身、子供の時に聴いた音楽はすごく重要な自分のルーツで血となり肉となっているし、それこそディズニーを聴くように聴いてもらいたいです。それって素晴らしいことだと思うんですよ。いきなり難しい音楽を聴くよりも、これを聴いてもらいたいな。

――これからもおふたりの付き合いはずっと続きそうですね。
SUGIZO:もし、良ければよろしくお願いします。
藤原:いや、こちらこそよろしくお願いします(笑)。いや、ほんとにSUGIZOさんは一緒にやっていて興味が尽きないんですね。「今回はこう来たか」みたいなオーダーがくるので。それをどう打ち返そう、みたいな駆け引きもおもしろい。
SUGIZO:光栄でございます。
――最後にLUNA SEAとしてもさいたまスーパーアリーナ、横浜アリーナの公演が迫っているので、SUGIZOくんからメッセージをお願いします。残念ながらチケットはもう買えないんですよね。
SUGIZO:どこか席を開放できればいいんですけどね……。今年は25周年でツアーがずっと続いてたので、とりあえず、その2日間は今年LUNA SEAがやってきたことの集大成になることは間違いないと思います。ツアーを通して、いい意味で予想を裏切って『A WILL』の曲がすごく進化してるんです。これはほんとに嬉しい誤算で、ファンも新曲を求めてくれているので。
――それはライヴの空気感でほんとに感じますね。復活したバンドは代表曲、ヒット曲にうわーってなる場合が多いじゃないですか。LUNA SEAの場合は現在進行形の曲に盛り上がってますよね。
SUGIZO:もちろん復活後も、結局昔と地続きでやってるので、10年の歳月は経ったけど、昔と変わらず、もしかしたらそれ以上に全身全霊でやってますけどね。他のバンドと比べるわけじゃないですけど、解散して、「よし、もう一度大きいことやろうぜ」って復活して今に至るわけではないので。やっぱりあくまでも音楽ありきなので。今がLUNA SEAのキャリアのいちばんいい時期だと本気で思ってます。ライヴ1本1本が濃密な中に歓喜も至福もあり、その多くが新曲に集約されている。もうすぐ25周年記念の半分が終わるんですけど、その集大成に……まあ、毎回集大成なんですけど(笑)。さいたまと横浜は期待してもらいたいですね。
インタビュー&文◎山本弘子
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なお、今作には“SYMPHONIC LUNA SEA SPECIAL CONCERT/2015 SPRING/COMING SOON”とだけ書かれた告知が封入されており、来春にはこのCDのコンサートが行われるのではないかと期待が高まる。詳細は後日、オフィシャルサイトに発表される模様だ。
また、LUNA SEAの12月23日の横浜アリーナ公演がBSスカパーで生中継されることも決定している。すでにチケットが完売しているだけに、ファンは注目の放送となるだろう。『完全生中継! LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE』は、12月23日(火・祝)16:00~19:30の放送。
Album『SYMPHONIC LUNA SEA -REBOOT-』
2014年11月26日発売
形態:1CD
COCQ-85239 ¥3500+税
発売元:日本コロムビア
指揮/編曲:藤原いくろう
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
収録曲
1.乱
2..gravity
3.RA-SE-N
4.absorb
5..IN SILENCE
6.I for You
7.Grace
8.LOVE SONG
◆LUNA SEA オフィシャルサイト
◆藤原いくろう オフィシャルサイト
◆LUNA SEA 『SYMPHONIC LUNA SEA -REBOOT-』特設サイト







