「01.ENFERMO」
この曲は複雑で、いかにもヘヴィメタルなギターが入っていてイントロにはぴったりだと思う。このアルバムのテーマは“ギタリストとしての自分の様々な側面を見せる”ということだったんだけど、この曲と次の曲で俺はヘヴィ・メタルのギター・プレイヤーだということを提示してみたんだ。
「02.ENDANGERED SPECIES」
いわば80年代風のギター・プレイ。今は何でもコンピューターでできてしまう。それからヨーロッパのCDマーケットではインストゥルメンタル・ミュージックやギター・ミュージックは売れない。こんな時代にこんなことをしている自分、こんなアルバム。だから“Endangered
Species”なんだよ。
「03.ESCAPING」
この曲は俺にとってはごく自然で、簡単で弾きやすいものなんだ。フィーリング一発というか。この曲の中間部で俺はフレット・ベースを弾いていて、そのパートはどちらかというとフュージョンぽい仕上がりになっているね。
「04.NO GRAVITY」
バラード調の曲で、「Escaping」と同じく楽しく自然に弾ける曲だ。プレイしている時の俺は何もかも忘れて音楽に完全に没頭している。そしてさらに今度は音楽上のルールすら考えないような状態に入っていく。そうやってただただ弾いているうちに、指先から音楽がどんどん生まれてくるんだ。まさに『NO GRAVITY』だよね。この曲では片方に歪んだギターとクリーン・ギター、もう片方にアコースティック・ギターを入れて、メロディの背景を実験的に作ってみたんだ。
「05.PAU-DE-ARARA」
ポルトガル語タイトルの曲。いろんな言語を使っているのは音楽には国境がないということを表わしたかったからなんだ。この曲は『オウムのための木』という意味。この曲ではマラカトゥという地域にあるリズムや同じくバイヨンというリズムやサンバの一種を使っている。イントロの12弦ギターはその北東部の伝統的な楽器のチューニングに合わせてあって、中間部ではカントリー・ビオラという伝統的な弦楽器のチューニングを12弦ギターに応用して使っているんだ。ちなみに一番音を重ねたのはこの曲だと思う。
「06.LA FORCE DE L’AME」
この曲はフランス語で“魂(Soul)の力”という意味。冒頭でちょとだけグランド・ピアノを弾いていて、イントロではスネア・ドラムも叩いている。曲の構成の筋が通っていなくて、わけがわからないんだけど、でも何だか弾いていて楽しいんだよね。ドラムのマイク・テラノは非常にプロフェッショナルだった。1日半くらいで自分のレコーディングしてしまったんだよ。
「07.TAPPING INTO MY DARK TRANQUILITY」
ジェンベというパーカッションを俺が叩いる。この曲はタッピングのテクニックを使ってひたすらギターを弾いている時に、自然に書き上げたんだよ。たしか自分の部屋で、電気を消して真っ暗な状態(=Dark)で、とても自分の状態が穏やか(=Tranquility)だったんだよ。すごくハッピーな気分だったんだ。
「08.MOMENT OF TRUTH」
この曲と「Dillemma」はヘヴィな曲。ギターが主役で、ギターから生まれるサウンドが主役の音楽。これはギター・キッズのためのアルバムだね。ギターが奏でるメロディ、ギターによる様々な演奏、様々なテクニック、だから当然、俺も色々なギターを使い、色々なテクニックを用いて、ギター面をいつもよりいくらか余計に探訪してみたんだ。
「09.BEAUTIFUL LANGUAGE」
アコースティックのナイロン弦のギターを2本とパーカッションから成り立っている曲で、ギターはコード用とメロディ用に分けて、メロディ用はピックで弾いているんだ。曲調は完全にブラジル調の曲で、ブラジルのカルチャーは本当に美しいと思っている自分の思いを込めてみた。次の自分のソロ・アルバムやANGRAのアルバムで、もっとアコースティックの曲をやろうという気になったよ。
「10.IN A GENTLE WAY」
この曲は元々ANGRAの『TEMPLE OF SHADOWS』用に書いた曲だったんだよ。この曲はメロディをギターで弾きながら書いたんじゃなくて、自分で歌いながら書いたんだよ。曲の終わりは、俺なりのTHE
BEATLESへのオマージュなんだよ。
「11.DILEMMA」
この曲はめちゃめちゃ速い曲だね。「Nova Era」みたいな曲だ。速い曲をやっていて楽しいんだけど、そればっかりだというのも、時にそこでジレンマに陥ることもある。例えばANGRAのアルバムは速い曲から始まらなければならないというところから抜け出せない。でも期待されていることに応えるようプレイすることはやはりやり甲斐のあることだし、俺は決して速い曲が嫌いなわけじゃないからね。
「12.FELIZ DESILUSAO」
ずっと昔にできあがっていたバラードなんだ。“FELIZ”がハッピーという意味で、“DESILUSAO”が幻滅という意味なんだ。美しい言葉で、ずっとタイトルに使いたかったんだ。完璧ではないということを受容する姿勢というか。
「13.CHORO DE CRIANCA」
『子供が泣いている』という意味の曲。これも『TEMPLE OF SHADOWS』で使おうと思ってたんだ。ショロという、ヨーロッパ音楽とブラジルのパーカッションを組み合わせた音楽スタイルの曲。メロディはモーツァルトにもつながるクラシック・ミュージックに似たものがあり、グルーヴはブラジルらしいものがまざりあっている。アルバムの締めくくりの曲で、こういう曲であればアコースティックだとしても自分でもいい音が出せると思う。