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ILL-BOSSTINO
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──マーケットとして日本語ラップは主に日本だけですが、そういう意味ではダンス・ミュージックは世界が開かれてますよね。
BOSS: それが楽しい。日本語ラップなんてさ、ウルトラ狭い世界なんだよ。ダンス・ミュージックから見たらさ、千分の一、いや、五万分の一くらい。だってダンス・ミュージックは、カーティス・メイフィールドも入るし、ストーンズも、ビートルズも、ハウスも、テクノも、ファンクも全部だよ。そう考えたら自分たちが最後尾にいるっていうのも分かる。わざわざ俺たちが名曲なんて作んなくても、成り立ってる世界なんだよね。そんな中で、日本語ラップは10年ちょっとしか経ってない。本当の天才、真打ちはまだまだ出てきてないよ。
──最近の日本のヒップホップは聴かれてるんですか?
BOSS: 全然聴いてない。別にネガティヴな意味ではなくて。結局、俺がラップを聴く場合、俺の方がカッコいい/俺よりもカッコいい、その二つしかないから。そんな気持ちにしかなれないのに、わざわざ聴くなんて時間の無駄じゃない。音楽は、本来楽しい気持ちなったりするために聴くものじゃないですか。何かを感じたいとか、昔を思い出したいとか、未来を感じたいとか、そういうときに聴く音楽は、そういうもの(日本語ラップ)じゃないのを聴くよ。
──TBHの活動は、昨日のライヴでもお金の話がでましたけど、やはり食えないと意味がないというがありますよね。
BOSS: 自分たちで自分たちの思い通りにやるのっては、めちゃくちゃ大変なんですよ。ホントに今の状況は奇跡みたいなもんで。もう一度、TBHが六本木COREでやった最初のライヴからここまでこれるかって言われたら、正直分かんない。偶然も、運も、タイミングも良かったしね。あと、そのタイミングを完全に自分のものにするだけの実力も運良くあったし。それができないから、そういったことを代行するレコード会社があるわけでさ。そんな簡単にできたら、レコード会社なんていらねぇよってことだから。でも、どっちでも良いんだけどね。ただこっちの方が大変だけど、ちゃんとやれば金になる。
──BOSSさんは、昔から意志がブレないじゃないですか。その強さはどこからきてるんでしょう?
BOSS: なんだろうね。世の中に星の数ほどある音楽に、少しでも一矢報いたいっていうのがあるから。その音楽に対する誠意っていうのをリスナーの人たちが理解してくれてるっていうのが、俺たちは本当に助かってると思うよ。でも、その誠意も俺らが提示して、通していったものだから。だから、俺らとリスナーの関係っていうのは、すごく成熟した良い関係なんですよ。いまの俺らのリスナーっていうのは、新しい物好きや冷やかしは去って、自分の人生の中で本当にTBHを感じてくれる人だけになった。すごい理想的だよ。
――今作の収録曲「ROAD OF THE UNDERGROUND」を聴いても、ライヴを観てもそう思ったんですが、以前の剥き出しな攻撃性はないですよね。
BOSS: う~ん、でもね、そんなことないよ。カスにはカスって言うしさ。ただ、’02年からスタートしたパーティの最後だから。パーティの最後に言うことがあるじゃないですか。パーティを良い場所に着地させるためには。むしろ、摩擦を呼ぶようなことは、でっかい声で最初に言ってるし。ましてや、それを撤回もしてない。しかも、それによって何かが変わったってこともないし。つまり、俺は言いたいことを順序だてて言ってるんだよ。それでいくと、最後にこういうところに着地するのは自然かなと思う。別に攻撃する気がなくなったとか、攻撃する相手がいなくなったとかそういうんじゃなくて、パーティの最後はこうやって終わるんだっていう。
──では、最後に、今後はどのような方向で活動されていくのでしょう?
BOSS: TBHは、もう一年人生を積み重ねないと何が出てくるから分からないから、’05年に良い時間を過ごせれば、それを作品に反映することができると思う。レーベルに関しては、世界中のヤツから「あそこのレーベルはドープだ」と言われるようにしたい。ハウスも一級、テクノも一級、ヒップホップも一級、ダブも一級、ブレイクビーツも一級。グッドミュージックのレーベルにしたいよね。
インタヴュー●富樫信也
編集/文●イトウトモコ
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