【インタビュー】香取慎吾、主催フェス密着ドキュメント放送直前に語る「微かにあった緊張感が解けて『Circus Funk』で爆発した」

2025.03.13 17:00

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■コンサートというよりもSHOW
■それが僕のライブですね

──そして、「Circus Funk (feat. Chevon)」で共演したChevonについて教えてください。タイトル曲を任されるという大抜擢でした。

香取:そういえば一番緊張してたかな。やることが多いというか、僕も要求するものが多かったから。それこそダンサーを交えてのステージングだったりでは、「Ktjm (G)とタツヤ(B)もこのタイミングでステージ前に出てきてよ、俺が絡むから。そうしたら一回外に行ってもらって、その後離れるけど、ダンサーが近寄ってきたら後ろに一回下がって」とか詳細な指示を出したんだけど、彼らは普段のライブではそんなことやらないんだよね(笑)。

──ダンサーではないですから(笑)。でも貴重な体験だったでしょうね。

香取:やっぱり日に日に変わっていくんです、成長していくんですよ、彼らは。北海道在住のバンドで、僕が札幌に行ったときにいきなり「会いたい」って呼び出して。それ以降、僕が渋谷のO-EASTにライブを観に行ったり、レコーディングしたり、食事したりとか、その都度成長している彼らを目の当たりにしてきたんです。でも間違いないと思ってたし、進化する彼らを見たいと思ってるし、早く一緒にやりたいと思って作ったのが「Circus Funk (feat. Chevon)」というタイトル曲で。「『Circus Funk』ってアルバムを作りたいんだよ。きっと表題曲になる」ってことは最初から伝えてたんです。

──そうだったんですね。

香取:「Chevonのライブのチケットを買いました」とか「Chevonのライブ観に行きました」とか、ファンの方々はもちろん、僕のスタッフの中にもそう言ってくれる人がいて、“本当に人気あるじゃん!”ってすごく嬉しいんですよね。

──では、<“Circus Funk” Festival>全体の印象として、ライブ中のお客さんの反応はステージからどのように感じていましたか?

香取:みんな楽しんでくれてるなって。僕は自分で音楽を作ったり、ステージを作ったりする中で、来てくれるファンの皆さんのことを考えないで作ることがないんです。そのことには最近、改めて気づいたというか。ずっとそうしてきたから、それが普通だと思っていたんですよね。

──自身が表現したい世界に徹して音楽やステージを作るアーティストもいますから。

香取:そうですよね。僕は、“イントロでこうなったら、ライブに来てくれてる人がゾクゾクするだろうな”とか、“ここから曲のテンポが上がると高揚感が出て、会場が爆上がりするだろうな”とか、ライブに関わるすべての中で、会場にいるファンの方々のことを常に考えているかもしれない。ライブってアルバムとか最新音源を引っ提げて行うことが多いじゃないですか。だったらステージで歌ったときのことがイメージできるものがいいっていうのは、常に思ってますね。細かく言えば、曲間の0.1秒にもこだわります。曲が終わってお客さんが「ワーッ!」て言いたいのに、すぐ次の曲のイントロに入るとノリが削がれるじゃないですか。“あそこはちょっと曲間が速かったな”って思えば、次にやるときには縮めたり。

──0.1秒へのこだわりですか。先ほど「曲を作る前から頭の中にライブのイメージが見えていた」とか「別のリハーサルで、今回の照明を試した」というお話もありましたが、そういうプロデューサー的な視点と、アーティストとしての視点と、香取さんは両方の視点をお持ちですよね。

香取:ああ、たしかにそうかもしれないですね。

──たとえば、プロデューサーの香取さんが、アーティストの香取さんに、こう動いたらいいんじゃない?って指示するような場面もあるんでしょうか?

香取:いや……それはないかな。自分に何かをやらせるみたいな感覚は皆無だから。“こうしたい”っていう表現が自然と沸いてくる、というほうが近いと思う。

──エンターティナーとしての経験に裏打ちされた知性と、表現者としての野性が同居しているということなんでしょうね。ライブ映像を客観的にご覧になって改めて気づくこともありましたか?

香取:もう最近はあまり映像を見ないかも(笑)。それよりも、ライブをやりながら感じることが一番だから。なので、今回のWOWOWの映像もすでに完成された完璧なSHOWなんです。それを観たとしても、“ここは長いな”とかはもう思わない。だからコンサートというよりも、どんな言葉がハマるかといえば、やっぱりSHOW。それが僕のライブですね。

──<“Circus Funk” Festival>はアルバム『Circus Funk』以外の曲も織り交ぜていました。3枚のアルバムを経て開催された今回のフェスは、香取さんにとって現時点の集大成みたいな部分もありましたか?

香取:アルバム1枚目も2枚目もいろいろな方々とフィーチャリングしてるんですね。今回、WOWOWで放送される<さくら咲く 歴史ある明治座で 20200101 にわにわわいわい 香取慎吾四月特別公演>も、<香取慎吾 二〇二二年 四月特別公演 東京SNG>も、フィーチャリングしたほとんどの人たちがゲストとして明治座のステージに立ってるんですよ。“みんなで集まって1日でやってみたいな”と思ったので。

──なるほど。

香取:あと、やっぱりWOWOWで放送されましたけど、<氣志團万博>に新しい地図として出演したとき(<氣志團万博2019>)と、僕ひとりで出演させてもらったとき(<氣志團万博2022>)は、久々に大人数が集まる会場のステージに立たせてもらった感動があって。氣志團の綾小路 翔さんは僕の1stアルバムで一緒に曲(「I’m so tired」)を作った経緯もあって<氣志團万博>に呼んでもらったんですけど、野外フェスっていうもの自体、僕はあまり知らなかったし、すごく良いフェスだなって思ったんです。そういう3枚のアルバムの流れもあって、自分のフェスをやってみたっていう感じですね、今回は。本当は1枚目と2枚目にフィーチャリング参加してくれた人たちも今回来てくれないかな?みたいなことも途中から思い始めたんですよ。でも、そうすると<“Circus Funk” Festival>ではなくなっちゃうじゃん!って、自分で自分に突っ込んだり(笑)。いつの日か今までやった全ての人たちが集まるフェスとか、そういうのも楽しそうだなって思っているので、それが実現したときが集大成になるんでしょうね。

──<氣志團万博>の香取さんのステージはBARKSにレポートが掲載されていますが、比較しても音楽表現の幅がますます広がってると感じました。ご自身では音楽性の変化についてはどんな印象をお持ちですか?

香取:より自由になってるかもしれないですね。やっぱり一人でアルバムを出すって、最初は微かにも緊張感があったと思うから。そういうものが今解けて、『Circus Funk』で爆発した感じがあるんです。「ファンの皆さんに」ってさっきは言いましたが、やっぱり1枚目のアルバムを振り返ると「音楽的に聴いたとき…」っていうことを意識してる部分もあったと思う。でも『Circus Funk』は本来の僕らしさというか、“あまり知らないからファンクって言っちゃダメ、なんてことはないんじゃないの?”みたいに、“音楽はなんでもあり”って感じでやれたから、これからますます自由になっていくと思います。

──妄想から始まったというアルバム『Circus Funk』が、2日間のフェス<“Circus Funk” Festival>で完成形をみました。これから、このサーカスはどうなっていきますか?

香取:アルバム『Circus Funk』を持って全国ツアーに行きます。<“Circus Funk” Festival>みたいに皆さんが集まるフェスをやってみたいと思って2日間開催したんですけど、これをきっかけに、フェスじゃなくてもみんながたくさん遊びに来てくれるような全国ツアー<Circus Funk>になったらいいですね。今回のアルバムに「Full Moon (feat. 村田陽一)」で参加してくれた村田さんがバンマスで、SNGバンドのメンバーもいて、ダンサーだけでも12人いる。だから、「グループから一人になって」とは言っても、実際はすごい人数の仲間がいるんですよ。ずるいよね(笑)。本当に強力な仲間たちが一緒にステージに立ってくれるから、「一人でまたやっていこうっていう決意表明です」とか言ってるけど、実は一人じゃない。これからもダンスして歌って、ステージを見に来てくれるファンの皆さんと、ずっとワイワイ楽しんでいきたいです。

文◎岡本貴之
撮影◎野村雄治

■『香取慎吾 × WOWOW 3ヵ月連続特集』

WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※全番組1ヵ月間のアーカイブ配信あり

【ラインナップ】
■『香取慎吾 インタビュー&ドキュメンタリー “Circus Funk”』
3月16日(日) 午後3:30
出演者:香取慎吾
ゲスト:SHOW-GO/LEO from ALI/Chevon/Night Tempo/村田陽一/Kroi/在日ファンク/SOIL&”PIMP”SESSIONS/乃紫
※香取慎吾 × WOWOW特集を記念して、彼が開催した最新ライブイベントの密着ドキュメンタリーと撮り下ろしインタビューをWOWOWで独占放送・配信。

■『香取慎吾 “Circus Funk” Festival』
3月16日(日) 午後1:30
※リピート放送・配信
出演:香取慎吾
ゲスト:SHOW-GO/LEO from ALI/Chevon/Night Tempo/村田陽一/Kroi/在日ファンク/SOIL&”PIMP”SESSIONS/乃紫
収録日:2024年12月3日〜4日
収録場所:東京・国立代々木競技場第一体育館
※香取慎吾がニューアルバム『Circus Funk』の楽曲を引っ提げて開催したライブイベント2DAYSの模様をWOWOWで独占放送・配信。アルバムに参加した豪華ゲストも登場。

■『新しい地図&香取慎吾 in 氣志團万博』
3月16日(日) 午後5:00
出演:新しい地図、香取慎吾
収録日:2019年9月15日、2022年9月17日
収録場所:千葉・袖ケ浦海浜公園
※2019年に新しい地図として、2022年には香取慎吾として野外音楽フェス<氣志團万博>に出演。超満員の観客を沸かせたステージの模様をお届けする。

■『香取慎吾 さくら咲く 歴史ある明治座で 20200101 にわにわわいわい 香取慎吾四月特別公演』
4月19日(土) 午後6:00
出演:香取慎吾
収録:2021年4月
収録場所:東京・明治座
※2021年4月に明治座で行なわれた香取慎吾の初のソロステージ。歴史ある明治座で魅せた、咲き誇るほどに華やかなパフォーマンスは必見。

■『香取慎吾 二〇二二年 四月特別公演 東京SNG』
4月19日(土) 午後7:40
出演:香取慎吾
収録日:2022年4月
収録場所:東京・明治座
※香取慎吾が2022年4月に再び明治座で行なった、アルバム『東京SNG』の楽曲を中心に生バンドでジャズを聴かせた公演。あふれ出す大人の魅力に酔いしれる。

■『香取慎吾 LIVE「Black Rabbit」』
4月19日(土) 午後9:25
出演:香取慎吾
収録日:2023年7月
収録場所:神奈川・ぴあアリーナMM
※2023年1月から行なわれた香取慎吾「Black Rabbit」の模様を放送・配信。コロナ禍を経てついに声出し解禁となったステージの盛り上がりは必見。

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