【ライヴレポート】有村竜太朗 × 逹瑯、ツーマン<有村竜逹瑯>東京公演に迸る熱量「このステージ、フロア含めて一個に」

有村竜太朗(Plastic Tree)と逹瑯(MUCC)によるツーマンライヴイベント<有村竜逹瑯>の東京公演が、10月6日、7日に東京キネマ倶楽部で開催された。以下、東京公演2DAYS<有村竜逹瑯 -令和八年 東京編->より、10月7日公演の模様をオフィシャルレポートでお届けする。
旧知の間柄でもある二人がそれぞれのソロ名義で共演する<有村竜逹瑯>は約2年ぶり、第二回の開催となる。東京キネマ倶楽部での二公演に加え、10月13日、14日には愛知・NAGOYA JAMMIN’で初の名古屋公演を予定しており、前回から全4公演へと規模を拡大した。

逹瑯の公演を待ち望むオーディエンスのクラップが東京キネマ倶楽部に響き渡る。序章のSEが流されるとメンバーと逹瑯が颯爽とステージに上がり、大歓声が響くなかすぐさま「奇妙な果実」のイントロへ。ギターの硬質なサウンド、絶好のミドルテンポに乗る逹瑯のヴォーカルがたちまちフロアを支配した。
優雅に舞いつつパフォーマンスする逹瑯は一曲目からオーディエンスの心を掴む。「ようこそ東京!」と、シャウトしては威風堂々と熱唱、「一緒に歌いましょうか!」と客席に向け、続けて「青の刹那」へ。疾走感溢れる導入から胸を突くような8ビートのベースラインで一気にセクションを突き進む。サビのメロディアスな歌唱と一斉に突き上げるオーディエンスの拳が呼応し、開始数分で会場一体、最高のスタートとなった。楽曲が閉じると刹那のブレイクを経て「checkmate」へとライヴは駆け抜ける。
美麗なギターアルペジオからテーマフレーズへと淀みなく繋がり、時に語りかけるように、時に刺すように、優しさと鋭さが同居しては爆ぜる逹瑯のヴォーカルはライヴのボルテージを右肩上がりに牽引。そして一撃の強打拍で一挙三曲怒涛の流れを見事に着地させた。
MCでは、逹瑯の温かくも楽しさを溢れさせるトークが印象的だ。それを受け、客席からも豊かな笑い声が次々と上がる。セッションからのメンバー紹介を経て、「最後までよろしくね」と、オーディエンスを湧きたてては「OVERKILL」へ突入。重厚なドラムス、畳み掛けるようなヴォーカルが東京キネマ倶楽部を逹瑯の世界観に染め上げた。


そしてシンセサイザーの幽玄なサウンドがステージを覆う。淡い紫色の照明があまりにも似合う「壊れたピアノ」へと進むと、逹瑯の歌唱力のレンジの広さがフロア隅々まで浸透するようだった。ここまでで最もスローな楽曲だが、会場に満ちる情念は燃え盛る激情にも映るよう。煙が立ち込めるかのように楽曲が閉じるとすぐさま4つ打ちビートが走る。逹瑯は「もっと遊びてえな」「同じものが好きな仲間だから!」と、共演者、会場全体の一体感を示してはさらにフロアの熱気を上昇させた。
続く「frigidity」では照明が赤、青、緑、白、橙、紫と、何色にも移り変わり、ライヴの多様な魅力を可視化させるようだった。楽曲は逹瑯の力強いロングトーンで締められ、再びMCへ。逹瑯は、「これからも我々、有村竜逹瑯はどんどん日々精進して頑張ってみなさんを楽しませることに努力していこうと思っておりますので、これからもよろしくお願いします」と、頼もしい宣言と共にオーディエンスへの謝辞を述べた。
そして「新曲を」と一言加えて「剥哀」へ。艶麗なピアノの導入から、逹瑯はゆっくりと、優しく、温かい声で歌唱する。歌詞と同期する<オレンジ>色の照明がメンバーとステージを包み込み、壮大な楽曲の生命力が東京キネマ倶楽部に宿るような景色を見せてくれた。

終盤に差し掛かり、ここで有村竜太朗がフロントマンを務めるPlastic Treeの「リセット」のカバーを披露。<有村竜逹瑯>公演ならではとも言える選曲に会場は大いに湧いた。アップテンポで意気揚々と歌唱する逹瑯、煌々としたサウンドを奏でるバンドメンバーと、ライヴは最高のテンション感を更新し続けた。オーディエンスが突き上げる拳が縦横無尽に揺れては怒涛の勢いで「アメジスト」へと向かい、最高潮の流れを生み出した。
曲中に逹瑯は、「2マンなんだけど、それ以上の何かを感じるというか――このステージ、フロア含めて一個になっている。そんな思いで凄く幸せな気持ちになれます。ありがとうございます!」と、本公演の醍醐味を述べた。また、こういったライヴは「作ろうと思っても作れない」と、この日の貴重さを言葉にした。そしてラスト。セットリスト10曲目を前に、青色の照明と静寂が一瞬の凪を作り、「ラスト」という逹瑯の一言から「落下の終着点」へ。深遠な魂の底から湧き上がるような歌唱。〝静〟のセクションから徐々に浮き上がるアンサンブルは、逹瑯のシャウト、ギターソロを経て、ラストにふさわしいダイナミズムを見せては再び静寂を迎え、ライヴを締めくくった。
余韻を残しつつステージを去る逹瑯とバンドメンバー。東京キネマ倶楽部に響き渡るオーディエンスからの大拍手。演者である彼らに向けられたその音は、“このステージ、フロア含めて一個になっている”という逹瑯の言葉を、正に物語っていたのではないだろうか。

暗転した東京キネマ倶楽部をサイケデリックなSEが包み込む。逹瑯のステージで十分に温まったオーディエンスは拍手を止めずに期待感を醸し出していた。ステージに付くバンドメンバーに続き、有村がステージ中央に立つ。ギターを構え、鋭い立ち上がりを見せる「≒engeki」からライヴを走らせた。6/8拍子が少しずつフロアに浸透するように会場を揺らす。
静けさと轟音のギターが交互に奏でられては有村の空に漂うような歌唱が遊泳する。続く「≒kagidokei」の激しくも明るいアンサンブルでリズミックに動く有村の声を受け、すかさず一斉に手をかざすオーディエンス。その光景は、既に有村ワールドに融合しているかのようだった。曲中の有村のシャウトからふと音数が減り、また一気に最大値に。
そして客席からの意識がヴォーカルのみに集まった次の瞬間、綺麗にバンドインして楽曲が閉じられた。わずか2曲で会場を一体にするその流れは圧巻の一言、というのはオーディエンスの輝かしい表情から垣間見られるものだった。

MCでは「おいっす!」と、ポップな挨拶から入る有村。演奏時のクールな印象とのコントラストも彼の魅力のひとつだろう。ゆったりとステージから客席へ、声を寄せつつ朗らかな雰囲気で一呼吸。ここで、本公演のメンバーについて触れた。この日、出演予定だった有村竜太朗バンドのベース・鳥石遼太が体調不良のため欠席となり、Psycho le Cémuのベーシスト・seekが急遽サポート参加となった。seekは、この日の出演に対する心境として、自身のSNS「X」アカウントで次のように綴っていた。

“Plastic Treeに憧れて頂戴した「seek」という名。27年バンドを続けてきて初めてのソロアルバムを発売する日。憧れの竜太朗さんから鳥石さんのピンチヒッターでベースを弾く機会を頂きました。憧れの人の隣で弾くベース”(※一部抜粋・句点を補記)
また、seekは1stフルアルバム『白日をたゆたう雨虎、水に溶ける数列』のリリース日にも関わらず、自らのリリース日の活動よりこちらのサポートを優先した。これを受け有村は「男、seek!」と、彼を鼓舞しては会場中の歓声を誘った。

そして「楽しんでいってください!」とMCを閉じるとすぐさま「≒kuruoshibana」へ。静かな走り出しから再びフロアは熱を帯びる。有村が客席に手招きの動作を見せてはすぐさま応えるハンズアップ。清涼感溢れるメロディ、サウンドが会場中を満たした。そして青色の照明から、陽が射すようなオレンジ色に移り変わり「日没地区 / nichibotsuchiku」へ。歩みゆくようなビートに牽引されるアンサンブルは徐々に開き、艶めかしいディレイ・ギターサウンドにヴォーカルが心地良く絡んではドリーミーな浮遊感が漂った。
次曲、4カウントが発声されては「猫夢 / nekoyume」の16ビート・ベースラインが疾走。サビではギターを掻き鳴らしながら熱唱する有村の勇姿が煌々と輝いていた。続く「色隷 / sikirei」ではギターノイズサウンドの導入が絶好のフック。緩急の効いた楽曲構成が光るステージングは、まるでオーディエンスも演奏に溶け込むかのようだった。
「恋ト幻 / rentogen」では甘い歌唱がしっとりとフロアに広がる。中盤で炸裂するノイジーなセクションへの豹変は感性の奥底まで到達するほどのインパクトを見せ、再び静寂の音像へ。その壮大な表現世界には、ステージから目を逸らすという選択肢が完全に絶たれる感覚すら覚えるようだ。さらに「共犯遊戯 / kyōhanyūgi」では印象的なドラム・ループフレーズから一気に弾けるバンドサウンドが放たれる。それとは対照的な静けさで佇む有村の所作がオーディエンスの目線を釘付けにする。楽曲が展開し、鍵盤から弾き出される美麗な音階とヴォーカルとの絶妙な絡み――そこから再度、膨張するアンサンブルと、〝静と動〟の魅せ方には息を呑むばかりだ。
有村はここで「有逹らしい曲を」と、前置きをしてMUCCの「ママ / Mama」をカバー。お互いの楽曲をカバーし合うという<有村竜逹瑯>公演の醍醐味を感じさせるセレクトだ。有村はステージ前方のモニターに足をかけつつ熱唱。ボルテージが上がり続ける客席にマイクを向けてはオーディエンスの声を一挙呼び寄せた。そしてメンバー紹介を経て、強拍連打のドラミングとギター・フィードバックサウンドからの「≒fuyuu」。ハイテンポのビートと麗しい有村のヴォーカルが交差し、熱気はますます上昇。オーディエンスの拳は天を突き、怒涛のライヴ終盤は「≒jukyusai」へと向かう。
客席では無数のタオルが回される壮観な光景が広がった。有村もタオルを手に持ちオーディエンスと共に回し、圧倒的熱量のコール&レスポンスがフロア中に広がるなか、大盛況のライヴは閉じられた。有村のパフォーマンスは最後まで熱量を増幅させつつ、その存在感の大きさを示していた。
本編が終了し、メンバーとハグしつつステージを後にする有村。メンバーが去ったステージに向けられる大きなアンコールの声。

ステージに再び光が照らされると、有村、逹瑯それぞれが登場。しばらくトークを繰り広げては客席を湧かせる。有村は「本当に感謝です」とオーディエンスに対し、心境を述べた。そして、アンコールに応えてcali≠gariの「サイレン」を披露し、<有村竜逹瑯 -令和八年 東京編->は大団円で幕を閉じた。
ステージを後にする有村は最後に、「名古屋で待ってます!」と一言。その言葉を受けた会場の熱気と歓喜、そして期待感は、10月13日、14日に控える愛知・NAGOYA JAMMIN’公演まで波及するだろう。
取材・文◎平吉 賢治
撮影◎冨田 味我
■セットリスト<有村竜逹瑯 -令和八年 東京編->
2026年10月7日(水)東京キネマ倶楽部
【逹瑯】
SE
01. 奇妙な果実
02. 青の刹那
03. checkmate
04. OVERKILL
05. 壊れたピアノ
06. frigidity
07. 剥哀
08. リセット(Plastic Tree COVER)
09. アメジスト
10. 落下の終着点
【有村竜太朗】
01. ≒engeki
02. ≒kagidokei
03. ≒kuruoshibana
04. 日没地区 / nichibotsuchiku
05. 猫夢 / nekoyume
06. 色隷 / sikirei
07. 恋ト幻 / rentogen
08. 共犯遊戯 / kyōhanyūgi
09. ママ / Mama(MUCC COVER)
10. ≒fuyuu
11. ≒jukyusai
ENCORE
EN1. サイレン(cali≠gari COVER)
■<有村竜逹瑯 -令和八年 愛知編->
10月13日(火)NAGOYA JAMMIN’
open17:45 / start18:30
10月14日(水)NAGOYA JAMMIN’
open17:45 / start18:30
出演:有村竜太朗/逹瑯
▼チケット
前売り7,500円 / 当日8,500円 (税込・ドリンク代別)
※スタンディング
【チケット発売中】イープラス https://eplus.jp/arimuraryutatsuro26/
(問)ディスクガレージ https://info.diskgarage.com/







