【対談】FANTASTIC◇CIRCUS 石月努 × Waive 杉本善徳、<CROSS ROAD Fest>実現の奇跡を立役者が語る「ただただ僕らが信じてきたものを見せたい」

■続けているバンドの強みって絶対にある
■一度解散してファンの涙を知っているバンドの強みもある
──そして、<CROSS ROAD Fest>に先立ち、10月11日にはZepp ShinjukuでFANATIC◇ CIRCUSとWaiveの初対バン<LIFE goes 音舞美威闘.>が開催されます。どんなステージにしたいですか?
杉本:もともとやりたかったんですよ。FANTASTIC◇CIRCUSは、京王プラザホテルでのディナーショーが転生の第一歩だったじゃないですか。実は僕、偶然そこに居合わせたから、少しだけ覗かせていただいたんです。
石月:そうだったんですか!? あの時はまだ転生していなくて、公演名が<FANTASTIC◇CIRCUS>だったんです。
杉本:そうでしたね。その場に、“共通の知人”と一緒に僕はいたんですけど、既に彼は石月さんの活動をサポートしていたんですよね?
石月:うん。でもまだ会社にはなっていなかったかな。単発公演の会場として京王プラザホテルを押さえてくれて。
杉本:僕もその後に田澤くんと京王プラザホテルでディナーショーをやったんですが、その打ち合わせだか何だかの日が、まさにFANTASTIC◇CIRCUSのディナーショーの日で、「覗いていく?」みたいな話をいただいて。お客さんは着席形式だったので、立ち見状態で目立ってしまっても嫌だったので、本当に少しだけでしたけど、ミニライヴをされているところを拝見させていただいたんです。そのミニライヴを観て、当然のように知っている曲たちばかりで、本当にすごいなと。そのときから“どこかでご一緒させていただける機会はないのかな”と思っていました。でも、このプロジェクトが続くのかどうか、その時はまだ分からなかったので。
石月:そうですね。転生は本当にあの後に決まったんですよ。あの時、ファンのみんなが泣いていたのが、やっぱり僕にとっては大きくて。ファンの方々の送り出しとかもしたんですけど、「ありがとうね」って言いながら握手して、直接みんなと触れることができた。その後ですね、「バンドとして転生させたいんだけど」という話になったのは。
杉本:あまり一括りにするのは良くないとは思うんですけど……ずっと続けているバンドの強みって絶対あるじゃないですか。それは分かる。でも僕は、解散してファンの涙を知っているバンドの強みもあると思っているので。これはどちらが強いとかいう話じゃなくて、どっちも見られない景色同士だと思うんです。
石月:同感です。
杉本:自分もWaiveを解散をさせて、短いプロジェクトでの復活を繰り返して。<FANTASTIC◇CIRCUS>という名前で開催されたディナーショーは短いプロジェクトだったわけで、それをやっている時の感情……一緒かどうかは分からないけど、共有できるものを持っている者同士だと勝手に思ったんです。その時は、Waiveは動いていなかったので。
──そのディナーショーのことはよく覚えていると。
杉本:ファンの皆さんはステージを観ているので、その後ろに立っていた僕から表情は見えていないんだけど、“この空間はきっと、こういうことなんじゃないのかな”と思える何かがあって。完全に自分は邪魔者だから会場から出るべき、と思ってすぐに退場したんですけどね。その何かが、いつか混ざり合うものでありたいな、というのはすごく思っていたんです。

──なるほど。
杉本:その後、FANTASTIC◇CIRCUSとしての転生が決まり、僕らもWaiveとしての活動があり、双方に“共通の知人”が関わることになったという縁もあったので、「どこかでご一緒させてもらえないんですか?」という話は、かなり早い段階から言っていました。Waiveが再結成から解散までを発表したターンの初期…むしろその発表よりも前から、とにかく対バンしたいという希望を出していたから。
──それがようやく実現に至ると。
杉本:これもタイミング論になっちゃいますけど、SHUN.さんのこととかも含めて、上手く機会が噛み合わないこともあって。“こういう運命なのかもな、ご一緒できないままWaiveが終わるかも”とも思っていたんです。そんな中で、<CROSS ROAD Fest> の一連の出来事が起きたり、会場がない中でも、「ツーマンなら可能かも」という会場候補がここでも突如浮上してきたりして。これもまた奇遇なんですけど、舞台監督がこの2バンドに共通しているんですね。
石月:そうなんです! 昨日会ったら「杉本さんとは久しく会ってないからよろしく言っといて」と伝言を承りました(笑)。
杉本:ははは。その舞台監督は僕のソロからご一緒させていただいていて、Waiveでお仕事するようになったのはその後だったんです。会場が決定した時に「あそこで2バンド? 嫌だよ~。仕込みがめちゃくちゃ面倒なんだから」とか言われながらも、「いやいや、もうずっとやってきた2バンドなんかだから、やってくださいよ」という話をしたり(笑)。表には見えにくいドラマだと思うんですけど、このタイミングで、この規模感で、特に都内の会場がこの曜日で出ることってないよな、と。これも本当にご縁で。
石月:そうですね。
杉本:僕からすると、SHUN.さんのこともあったから対バンしたいと思ってても、「そこをなんとか」とは言えないじゃないですか。なのに、「この状態でも続ける」という声明を出されて、その流れがあったから「ご一緒させてもらっていいですか?」というお話ができたんです。まさにこれも運命を引き寄せたというか。そもそも面識のないところから始まっているんだけど、ドミノのようにいろんなものが連鎖して、あれよあれよで決まったんです。
──早くからヴィジョンを描いていたからこそでしょうね。
杉本:そうですね。初期から求めていたから実現したのであって。例えば、「残り1年だ。最後に何やっときたい?」というタイミングで考え出していたら引き寄せられなかったとは正直思ってるんですね。望んでいたものが形になるという、先ほど石月さんがおっしゃっていたことのひとつの事例だと思います。例えば、<SWEET TRANCE>のように、僕らが過去に出演していたイベントであれば、実際に見えている景色がある。でも、FANTASTIC◇CIRCUSとのツーマンって、面識もない僕らからしたら、想像できていないもので。それを形にするのってすごく難しいんですよ。
──なるほど。
杉本:極論を言えば、「初めましてだけど、俺、お前のことずっと嫌いだったんだ。田澤くんとは一緒にやったことがあってこういう関係だけど、Waiveはなんか嫌いなんだよな」って言われたとしたら、「すみませんでした」で終わりなわけで。何も分からない中だから、望んでいいのかどうかすら分かんないなと思っていたので。

──勝算があったわけでもなかったと。
杉本:最初に話したように、音楽的ルーツとして僕は激しいものが好きで、自分のバンドで歌モノをやることになるとは思っていなかったんです。ところが、東京には歌モノのバンドとして出てきて、歌モノバンドを得意とする音楽事務所SWEET系に所属して。まぁ、歌モノという言い方が正しいかどうかは難しいところですけどね。例えばPIERROTにしても、とんでもない歌詞の力を持っているし、圧倒的な世界観があるバンドだけど、僕は明らかに歌モノだと思っている。それはLa’cryma Christiも然り。プログレみたいに複雑な構成の楽曲もいっぱいあるから歌モノに限定されないんだけど、やっぱり最たるものはメロディーの強さで。それを持っているのが、SWEET系なんです。
──演奏力やアレンジ力が突出していながら、芯にはブレないメロディがある。
杉本:その影響を僕らも受けてきて。同時期に活動されていたSHAZNAもそうだし、Eins:Vierもそう。僕らのシーンにいて、そこを通らなかったバンドっていない。そういうレベルだと思うんです。自分も歌モノというフィールドに長くいさせていただいて。その最後にどういう人とやりたいかと言えば、やっぱり歌モノをつくってきた人たちなんです。
──そこで、FANTASTIC◇CIRCUSとのツーマンを望んだと。
杉本:共演が叶わなかったアーティストもいっぱいいるんですけど、僕が求めたことのひとつが形になってうれしいですよ。だから、歌モノとして、FANTASTIC◇CIRCUSのファンの方々に、初めて聴くであろうWaiveの曲はどう映るのかを知りたいし、その逆も然り。年齢は近くても活動世代が違うので、ファン層には若干ズレがあると思うから、僕らも聴いて育って、自らつくった歌モノをその層の人たちに示したいというのが正直あります。若い頃って、どのバンドに対しても抗争意識があったけど、今はそんなものはなくて。そのシーンとかフィールドにファンを増やしていかないと始まらないから。
石月:うん、私たちの世代も、それはみんな言ってる。
杉本:僕らは解散するんですけど、だとしても、ファンにもシーンから去ってほしいなんて気持ちは1ミリもないわけで。残したい。そのためには先輩の胸を借りたいという気持ちがあるし、僕らがつくってきたシーンのファンに対して、皆さんの音楽を聴かせてやってください、みたいな気持ちもある。一生懸命、ただただ僕らが信じてつくってきたものを見せたい。もうそれだけな気がするんですよね。
石月:今、杉本さんがおっしゃったことが全てじゃないですかね。ガチガチのぶつかり合いみたいに「対バン相手から一人でも多くのファンを取ろう」とか、今はもうないですから。11月の幕張イベントホールもそうです。その実現へ向けて、きっかけづくりはしたかもしれないけど、僕の手を離れて大きくまとまったものだから、イベントに懸ける想いはどちらも一緒ですよね。La’cryma Christiの復活というトピックがあったとしても。
──俯瞰で見ることができているんですね。
石月:100%自分たちを出して、現役感を大事にして。観てくれる人をガッカリさせたくないんです。ファンのみんなは青春時代を追い掛けるように観てくれてるわけだから。もちろん正確には、あの時代とは違うかもしれないけど、努力します。あと、基本的に僕らは、これまで対バンのお誘いを全てお断りしてきたんです。というのは、対バンをやる意味が見出せなかったから。
杉本:めっちゃ分かりますね。
石月:だけど、Waiveとの対バンに関しては、“共通の知人”との繋がりも大きいんですけど、やっぱり熱量がすごかったんですよ。杉本さんにお会いするのは今日が初めてですけど、Waiveの存在自体は知っていたし、「すごく面白くて聡明な方だよ」という話は“共通の知人”から聞いていたので。逆に言うと、「僕と繋がりがあるから、出てよ」なんて話じゃないってことは、彼の熱量からも感じたんです。彼も杉本さんも、僕らとの対バンを望んでる。Waiveを動かす最初の時から「一緒にやりたい」と言ってくださっていた、ということも聞いていた。であれば、僕もkazuyaも断る理由はないなと。ぶっちゃけると、「転生なんですよね。対バンしましょうよ」みたいな話題性を先行させるような輩って、やっぱり多いんです。だけど、そういう軽いノリではないことが伝わってきた。僕は純粋にそういうエネルギーを感じないと絶対にやりません。
杉本:ありがたいですね、光栄です。

──今回の対談は、今秋に向けての有効な場になったようですね。
石月:昔から、周りには年上ばかりだったので、同世代でちゃんと話せる人と出会えてうれしいです。このぐらいの歳になってくると、チャラチャラした話ばかりする人とか嫌じゃないですか。もっとこの国のこととか、いろいろと話せるといいなと思ってたし、同世代だから見てきた景色も一緒なわけで。ぜひ友だちになってください。
杉本:ぜひぜひ!
──お二人が、今このタイミングで出会ったことにも意味がありそうですね。
杉本:それはかなり大きい気がしますね。若い頃に出会ってないことの意味が、逆にある気がします。
石月:杉本さんはお酒を飲みますか?
杉本:昔は飲んでいたんですけど、やめちゃったんですよね、昨日まさに、LM.CのAijiさんともその話をしました。
──LM.Cは<CROSS ROAD Fest>のDAY2に出演されますね。
杉本:そうなんです。Aijiさんも4年間飲んでないそうです。
──石月さんはお飲みになるんですよね?
石月:僕の血液はウイスキーでできています(笑)。
杉本:皆さん身体のことを考えて酒を断つパターンが多いけど、僕はそこはどうでもいいんです。単純に、ある年の確定申告で「俺の支出、飲み代ばっかりやんけ」と。酔うと奢りグセがあるみたいです(笑)。
石月:僕も、とある事件を起こしたことがあって。引っ越すと行きつけの店を探すクセが僕にはずっとあるんですけど、そこでちょっとしたトラブルがあって、店に行かなくなったんです。で、家飲みを始めたら、「こんなにお金って貯まるんだ」っていう……それにしても、今日は記事にすることができないブラックな話も多々ありましたが(笑)、貴重な話ばかりでした。楽しかった。
取材・文◎大前多恵

■<CROSS ROAD Fest>
【DAY1】11⽉15⽇(土) 千葉・幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日) 千葉・幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
▼【DAY1】出演者 ※順不同
La’cryma Christi
SHAZNA
Plastic Tree
FAIRY FORE
Psycho le Cému
Waive
D’ESPAIRSRAY
▼【DAY2】出演者 ※順不同
La’cryma Christi
PENICILLIN
FANTASTIC◇CIRCUS
SHAZNA
L‘luvia
Wyse
Waive
LM.C
●チケット
2日通し券:¥25,000(税込)
1日券(各日):¥14,000(税込)
※全席指定
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999

■Waive主催対バンシリーズ<VS GIGS「LIFE goes音舞美威闘.」>
●<VS FANTASTIC♢CIRCUS>
10月11日(土) 東京・Zepp Shinjyuku
open16:00 / start17:00
●<VS lynch.>
10月19日(日) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
open16:00 / start17:00
●<VS キズ>
10月26日(日) 東京・恵比寿The Garden Hall
open16:00 / start17:00
●<VS ΛrlequiΩ>
11月05日(水) 東京・下北沢Shangri-LA
open18:00 / start18:30
(問)DISK GARAGE https://www.diskgarage.com/help/
▼チケット
オールスタンディング ¥8,800 (税込・ドリンク代別)
一般発売:7/26(土)AM10:00~

■<TENSEISM reBOOT EASTER2025>
9月7日(日) 東京・Spotify O-EAST
open15:00 / start16:00
▼チケット
前売り ¥8.800-(税込)
※ドリンク代別
※オールスタンディング
※年齢制限:3歳以上有料(3歳未満入場不可)
一般発売:7/5(土)10:00〜
【先行予約】
https://w.pia.jp/s/fc25os/
受付期間:5/14(水)21:00~5/28(水)23:59
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999

■<Waive GIGS 2025「蒼紅一閃 -soukouissen-」>
6月21日(土) 千葉・柏PALOOZA
6月27日(金) 東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE
6月28日(土) 神奈川・SUPERNOVA川崎 ※FC限定
7月05日(土) 愛知・名古屋 ElectricLadyLand
7月12日(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
7月19日(土) 大阪・OSAKA MUSE ※FC限定
7月20日(日) 大阪・大阪BIGCAT
▼ファイナル追加公演
7月25日(金) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
open18:15 / start19:00
●チケット
オールスタンディング ¥7,800 (税込・ドリンク代別)
詳細:https://www.waivewaive.com/gigs#2025soukou

■<Waive「LAST GIGS.」>
9月13日(土) 大阪・BIGCAT
open16:15 / start17:00 / 終演予定19:30
9月14日(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
open16:15 / start17:00 / 終演予定19:30
9月20日(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
open16:30 / start17:00 / 終演予定19:30
9月23日(火/祝) 宮城・仙台darwin
open16:30 / start17:00 / 終演予定19:30
9月28日(日) 千葉・柏PALOOZA
open16:30 / start17:00 / 終演予定19:30
10月4日(土) 福岡・BEAT STATION
open16:30 / start17:00 / 終演予定19:30
10月5日(日) 兵庫・神戸VARIT.
open16:30 / start17:00 / 終演予定19:30
▼チケット
オールスタンディング ¥7,800 (税込・ドリンク代別)
詳細:https://www.waivewaive.com/gigs#2025LASTGIGS

■最終公演<Waive「LAST GIG.」>
2026年1月4日(日) 東京・日本武道館
open16:00 / start17:00
詳細:https://www.waivewaive.com/gigs#20260104
関連リンク
◆<CROSS ROAD Fest> 特設サイト
◆<VS GIGS「LIFE goes音舞美威闘.」>特集ページ
◆FANTASTIC◇CIRCUS オフィシャルサイト
◆FANTASTIC◇CIRCUS オフィシャルX
◆Waive オフィシャルサイト
◆Waive オフィシャルX







