【音楽と映画の密接な関係 2001 Special!】『ビートニク』

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音楽と映像の密接な関係――。

ミュージシャン達も足を運ぶ映画『ビートニク』。

ジョニー・デップやデニス・ホッパーによるリーディング・シーンを満載したカルチャー・ムーヴィー!!



『ビートニク』

▲ビート・ジェネレーションを作り上げ、多大な影響を与えた作家3人。
左から、ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズ。

▲ジャック・ケルアック役を演じるジョニー・デップ。劇中ではリーディング・シーンも見せてくれる。

▲ジャック・ケルアックの墓を訪れるボブ・ディラン。彼の書く詞も、ビート・ジェネレーションの血が熱く注ぎ込まれているのだ。劇中はビートに影響された音楽や映画がふんだんに使われている。

『ビートニク』(1999年アメリカ)
2001年4月7日より、渋谷シネ・アミューズにてレイトショー公開!

●監督・脚本・編集・製作:チャック・ワークマン
●エグゼクティブ・プロデューサー:ヒロ・ヤマガタ
●出演:アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズ、ジョニー・デップ、デニス・ホッパー、ボブ・ディランほか
●配給:ザジフィルムズ
●上映時間:1時間30分

『ビートニク』。

念のために説明すると'50年代に始まったビート・ジェネレーションといわれるカルチャーの主役達を総称する言葉で、当時話題だったソ連の宇宙船「スプートニク」に因んだ言葉である。

ビート・ジェネレーションやビート文学に触れたことがある人がそんなにたくさんいるとは思えないが、この映画はそんな人達や少しでも「ビート」に興味を持った人たちじゃないと、正直、あまりお勧めできない映画である。

が、純然たるドキュメントとして淡々と、そして駆け足に時代をたどりながら映像が綴られているだけに、逆にビート・ジェネレーションに思いをめぐらせていた人にとっては、ビート博物館的な愉しみはあると思う。

なんせジョン・ケルアックの小説「路上」に出てくるディーン、本名ニ―ル・キャサディの映像が登場するぐらい、レアな映像が盛りだくさん。ビートからヒッピーに及んだアメリカのカルチャーを的確に説明している。

私がこの映画を見た日、会場には数人の著名ミュージシャンの姿があった。

ご存知の通りビート・ジェネレーションを支持するミュージシャンは佐野元春氏や辻 仁成氏を筆頭に、数多くいる。ビートジェネレーションは全ての表現者が共感することが出来る、表現方法を問わないシーンだからだ。

文字や音、またスピード(薬じゃないよ)、ドラッグ(これは薬)など全ての事柄から得られる鋭敏な感覚のみが、ビートニクから発せられる言葉の全てなのだろうと思う。

日本のミュージシャンの中でも、自由や魂や、そういった難しくて大きなテーマに真摯に対峙しているアーティストにはビート・ジェネレーションのフォロワーはたくさんいるのである。

ビート文学やこの映画にも登場する表現だが、『ある人間の狂気が火花を放ち、その火花がやがてすさまじい閃光に変わる。人々がその瞬間「おぉーっ!」という声をあげる』という内容のたとえがある。

この映画に登場するビートニクも、前述したアーティストたちも、その瞬間を心のどこかで追求して、詩を朗読したり、演奏をしたりするのだろうか。なにか目には見えない「あるもの」に向かって共感しあっているように思えるのである。

ウイリアム・バロウズ曰く「オレたちが原点(ソース)だ」という言葉の通り、全ては'50年代のビートニク達から始まり、今日でもその精神性を踏襲する様々なアーティストによってビート・ジェネレーションは生き続けている。

これがこの映画に流れる、薄っすらとしたテーマであるように思えた。

文●元井靖行


《『ビートニク』公開記念イベント実施!》

ビートニク達の溜まり場であり聖地のシティ・ライツ書店が渋谷に出現!
3/16~5/6 渋谷タワーレコード7F タワーブックス
【問】タワーレコード渋谷店 03-3496-3661

『ビートニク』リーディング・ライヴ
~音楽+リーディング・パフォーマンスのスペシャル・イベント!

3/23(金) 渋谷CLUB QUATTRO
出演/青柳拓次(Little Creatures)、高木 完、中川五郎、三代目魚武濱田成夫、ほか多数
【問】ムヴィオラ 03-5366-1675
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