chee、『バロン』インタビュー
Chee:そうかもしれないです。けっこう、ゆがんだ子供だったんですよ。だから人と出会うことで、ちゃんと真っ直ぐなれたのかもしれない…真っ直ぐかどうかはわからないけど(笑)。いろんな国に行くと、いろんな価値観があるじゃないですか。それが見えてくると同時に、それがまた大変だったりもするんですけどね。
Chee:そうなんですよ。たぶん言葉よりも、音楽のほうが通じる気がする。だからたぶん、私は歌ってるんだと思うんですよね。旅先でお金がなくなって、とりあえず道で歌い始めたりすると、人が集まってくるんですよ。それで仲良くなって泊めてもらったり、ごはんをご馳走になったりとか(笑)。東南アジアとかは、そういうノリでしたね。
Chee:そうなんです。困った時には何とかなるんです(笑)。
Chee:なりますよ! とにかく、行政しかり、毎日いろんな不条理なことに怒ってます(苦笑)。だけど偉大なる自然がある限り、自然には総理大臣でも大統領でも地震を食い止めたりできない。人間の力ではどうしようもないこともある。だからリリックに書く時には、全部真逆にするような感じなんですよ。どっちかなんです。ラヴソングでも、突き詰めた幸せか、リアルな現実感のあるものかのどっちかで、中途半端なものは好きじゃない。だったら幸せなほうがいい、というのが今はあって。
Chee:怒りを曲にぶつけるのは簡単だけど、どんなに嫌いな人がいても、嫌いになったり悪意をもつより、好きなとこ見つけた方が何倍も楽しくなる。歌っていう魔法で嫌なこと忘れちゃうようになったらいいなって。私の歌を聴いてくれるたくさんの人や周りの人たちに力をもらって、そのおかげで今の私がある。だからもらった以上に何かしたいっていつも思っているんです。つらいことやしんどいことはみんなあるし、イライラとか負の要素全部、優しく包みこんで、あったかい気持ちになったてもらえたらいいなって、現実的に世界中の人が全員幸せになることは難しいと思うけど、幸せを感じることはできると思うんです。限られた時間の中だけでも、私の歌を聴いて、どこかに想いを馳せたり、誰かを思い出したり、あったかい所に意識を飛ばすことのできる幸せな空間を作れたらいいなと思ってます。
Chee:そうですね。悪に立ち向かうという…だけど「バロン」という甘いお菓子もあったような記憶があって、昭和の銘菓みたいなものだったような…その両方の意味があるんです。
Chee:そうです。そんなかんじ。…私、いつも闘ってる気がするんですよ。たぶん自分と闘ってると思うんですけど…でもやっぱり歌ってる時はすごい幸せ。それはCDを作ってる時も、ライヴでも同じですね。ライブはみんなと時間を共有できるから、大きな力になる。やっぱりみんな笑ってる顔が一番です(笑)。
取材・文●宮本英夫