THYME、「Hello」インタビュー
thyme:そんなに一生懸命聴かなくていいよ、という感じ。気楽に聴いてほしい。自然に耳にして、なんかカッコいいなと思ってくれたらうれしい。
星野:「Hello」の場合は歌詞かな。いつも彼女が最初に作詞をして、そのあと僕らが俯瞰で見て、すこし手直ししたりするんですけど、この曲はこのままでよくできてると思ったので直してないんです。
清水:ああ、直さなかったね。
星野:この歌詞の中の“あなた”は彼女にとっては“夢”なんだけど、それは聴く人によって、“夢”や“大切な人”だったり、色々なモノに受け取り方が変わると思うんですね。そこは、この曲の中で面白い部分かなと思います。
清水:音楽をやってる人なら、深く掘り下げて聴けばわかってくれるようなことも色々やってるはずなんですけど、そういうことを前に出さなくても、ちゃんと歌で勝負しているバンドなんだという自負があるんです。だから聴きどころというなら歌ですね。それには歌詞も含まれるし、それを支えるサウンドというのも歌の一部。そういう全体的な意味での歌だと思います。
清水:寝られなかったことかな(笑)。もともとプリプロが終わってある程度完成していたものを、時間的に制約がある中で、もう一度全部やり直したんで。
星野:僕たちのデモは、プリプロ音源と言われるものとしては、すごく時間をかけて、それを聴いただけでもTHYMEというモノがはっきり分かるように作っているんです。で、その作ったデモをまた最初から作り直すと、自分たちのなかでも違った感覚でとらえられる部分が出てくる。例えば、「これはカッコいいのか悪いのか」とか。そういう事をちゃんと判断するために少し時間が必要でした。
清水:デモのときは僕らの中でこれが流行ってたんだっていうのがわかるんだけど、時間がたってからやり直すと、そのときもう流行ってない音が入ってたりする。それをなんとかするのに徹夜が続くんで(笑)。
星野:2007年夏のバージョンにするための苦労、というか努力ですね。
清水:そうそう。だからアルバムに入れるときにまた変わるかもしれない(笑)。
thyme:ありきたりなんだけど、ホントに長く続けていきたいんです。THYMEとしてもシンガーとしても。そのためには飽きないこと。そのためにはやっぱり楽しむこと。だからそのときそのときを楽しく過ごすこと、ですね。
清水:そこは僕も同感です。僕にとって、このバンドは仕事とはとらえてなくて、自分のライフワークに近いものなんです。自分の生活のなかにTHYMEというものが今後はもっと入ってくることになるので、THYMEというバンドと自分なりにしっかり向き合っていきたい。そのために、自分たちが胸を張ってカッコいいと思えるものを、ぶれずにしっかり作っていきたいです。
星野:少しでも早く、「アーティストTHYME」として作るものを、たくさんの人が当たり前に「THYME=かっこいい音楽を作っている存在」と認識してくれている環境を作りたいですね。できれば海外まで含めて考えていきたいです。
取材・文●田澤 仁