Salyu、2ndアルバム『TERMINAL』インタビュー
Salyu:けっこう濃密な時間でしたね。『landmark』ができてから初めてツアーをしたというのが大きいですね。初ワンマン・ライヴもできたし、いろいろなイベントにも参加できるようにもなったし。やっぱりライヴの経験っていうのが重要で、自分の歌もそれによって変わっていったっていうのを実感しています。
Salyu:まずライヴを重ねることで、声のレンジが広くなったと思うし、歌がたくましくなったと思いますね。実際にバンドで演奏すると、レコーディングより大きな声が必要になる。会場によって、自分の身体の大きさのイメージが変わってくるんです。自由度が広がったという感じがしますね。だから、声そのものっていうよりも、意識が変わったということかな。
Salyu:初めてのワンマン・ライヴは渋谷クアトロだったんですが、緊張してただただ必死で、ほとんど覚えてないんです。舞台から降りて手を見たら、マイクの網目がくっきり付いてるんです。それほど緊張して握り締めてたんですね。今でもライヴは緊張感はありますが、楽しさや自分の役割もわかるようになってきました。ヴォーカルの立ち位置ってどんなものなのか考える意識も育ってきたし、“歌を届けたい”っていう欲も出てきたかな。
Salyu:事務所にレコーディングスタジオがあるという恵まれた環境なので、一日一曲というスピードですね。一日一曲を目標に何度でも歌います。曲によって違いますが、一曲に3日間くらいかかることもあるし。ただ、あまり続けてやると煮詰まってくるんで、ちょっと時間を置いたほうが良いんですね。一回聴きなおそうと思って持って帰って、iPodに入れて電車の中で聴いたりして。“けっこういいじゃん”とか“あ、このへんがなぁ”なんて思いながら詰めていきます。だから曲によって、数時間でできるのもあるし、一日かかるのもあるし、3日かかってもできないのもあるんです。
Salyu:エンジニアなどのスタッフは別ですが、基本的に一人でレコーディングしてるんです。これは「リリイ・シュシュ」のころからずっと。最初に“一人のほうがやりやすい”って言ってしまったんですよ(笑)。それから、小林(武史)さんはあまりスタジオに入ってこなくなりました(大笑)。でも、その方が良いと判断して、ずっとやらせてくれてるんだと思います。時々、スタジオに入ってもらって、2、3テイクを聴いてもらったこともありましたけど、今回は皆無でした。シングルの「彗星」が最後だったかな。小林さんとは信頼関係が深いんだと思います。
Salyu:最初は“プラットホーム”という案もあったんですが、次第に中身のボリュームが増えてきて、プラットホームじゃ収まりきれなくなってきたんです。それである日、小林さんが“ターミナル”っていう言葉を出してくれて。私はすぐに気に入ったんです。響きがとてもポップで字ヅラが男っぽい。小林さんとSalyuのコラボレーションとして、しっくりくる響きだと思ったんですね。自分の活動が活発になってきたことなんかが、“いよいよ起動か”っていう雰囲気だし、自分の心境もそうだし。それと、出発と到着の中継地点で、すごく“物語”を感じさせる言葉だったし。
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