BUMP OF CHICKEN 「涙のふるさと」特集INTERVIEW

――今作はカウント３で始まりますけど、レコーディングは一発録りだったんですか？

藤原基央（以下、藤原）：一発録りの雰囲気を活かしつつ、８回は録りました。

升秀夫（以下、升）：僕たちのレコーディングは、最初にギターを仮で入れて、次にドラムとベースを一緒に録るというのが基本パターンなんです。なので、４人全員で音を出して録るというのは珍しいですね。

藤原：リズム隊としては、いつものやり方のほうがやりやすいんでしょ？

直井由文（以下、直井）：仮ギターが入っていると、常に一定のリズムになるからね。でも、みんなで一斉にやると、バンドで合わせているんだっていう安心感がある。かといって、荒々しさが欲しかったり、一発録りのグルーヴが欲しいというわけではないんだけれど。だからこそ、すごく正確にビートを刻まなければならないんですけどね。この曲では、全員が機械的だと思う。たとえば、盛り上がるときの音が５センチ上がるとしたら、元の音に戻るときも、きっちり５センチ落とさなければならない。1ミリもずれてはいけないという気持ちです。この曲を伝えるのに一番いい手段として、全員で一斉にやるという方法を選びました。

――藤原さんは、ギターを弾きながら、歌も歌ったということですよね？

藤原：ええ。毎回違う音でギターを弾いたりしましたね。レコーディングは、結構自由な雰囲気でやっていたので、僕がダビングをしているときに、他のメンバーがお菓子を食べたりしてるんですよ。それが、すごくうらやましいんですよね。

直井：それと、僕たちがレコーディングしている最中に、ディレクターさんがアコースティック・ギターを奏でているときとかあって（笑）。僕と藤くんが真剣に話をしている後ろで、ビートルズのコードの練習を始めちゃったりするんですよ（笑）。

藤原：それだけフランクにやれてるってことですけどね。もちろん、必要なことはちゃんと言いますけど、必要以上に真剣になりすぎることもなく。なので、レコーディングは楽しくやれましたね。

―今作はロッテチョコレート「エアーズ」のCMタイアップが付いてますが、どんな風にオファーをされたのですか？

藤原：「涙のふるさと」のデモテープができた後、トイズファクトリーの会議室で映像を見せられたんです。それがCMでした。その映像にデモテープの音がはまっていて、それがオファーでしたね。非常に愛情のあるオファーだなと思いました。そこで、曲を使わせて欲しいと言われました。それで、“はい、どうぞ”というわけではないですけど、とにかくその行動自体が愛を感じてうれしかったです。映像に乗る音の使い方でも、すごく愛情が伝わってきましたし。このような内容のCMだから、この曲が使いたいんだという意向も伝わってきました。理屈めいた会話よりも、その映像を見せられたことが、とても光栄だなと思いました。CMのオファーがあったからこの曲を書いたというわけではないですね。

――CMを見て違和感はなかったですか？

藤原：違和感を感じさせないこと自体が愛情ですよね。その後、『ALWAYS　三丁目の夕日』という映画を撮った山崎貴さんという映画監督が、僕らに非常に興味を持ってくれているということをスタッフから聞きました。それで、今回、このような曲ができたということをスタッフが監督に伝えたら、今手掛けているCMに音をあててくれたみたいで。僕らは映画の世界には疎いので、監督の映画もどれだけ有名な方ということも知らなかったんですが、PVを作るという話も出ていたらしくて、とりあえず会ってみようということになったんです。監督にお会いする前に、全員で監督の映画を観たんですけど、素直に感動しました。監督と会ったときにそれを伝えて、そこから話が始まったんです。

――それでプロモーション・ビデオの監督も、お願いすることになったんですか？

藤原：はい。そういう運びになりました。撮影では、山崎監督の意向に従いましたね。彼に従えば間違いはないんだと思って、僕らは黙って制服を着たと（笑）。

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