寺岡呼人、特集第二弾 LIVE REPORT
別れの場面はすいた駅のホーム。大江千里作詞作曲による寺岡呼人の切ないラブソング「hello,again 」で二人の共演が実現した。10月1日、ラゾーナ川崎プラザソル。大型ショッピング・モール、ラゾーナ川崎のオープンで館内や川崎駅のホームも、こけら落としとなったプラザソル内も、歌とは反対に人で溢れかえっていた。 寺岡呼人の弾き語りツアー“徒然道草・第三幕”も佳境。大江千里はこの日だけのスペシャル・ゲストだった。弾き語りツアーが三年目を迎え、寺岡もすっかり手慣れた様子。ロックな「競争る為にだけ生まれてきた訳じゃねぇ」、ソウルな「君に出逢えて良かった」、フォークな「日々平安」と幅広い楽曲ももちろん弾き語り。11月発売の新作『LIVES』からは何と6曲が披露され、大江のカヴァー曲「母の手」は涙を誘い、美輪明宏のカヴァー曲「ヨイトマケの唄」の熱唱はアングラ芝居のような臨場感を生んだ。 一方の大江の歌も演技のようにドラマチックだ。ため息をついたり、胸に手を当てて歌った「秋唄」。厳しく苦しい愛を劇的な展開で描いた「Let it be SWEET」。そのピアノも縦横無尽、右手で鍵盤をピン! と爪弾く仕種がかっこいい。そして二人が揃えば、ユーミンをやらない訳にはいかない。彼ららしく、渋い選曲の「水の影」「雪だより」。寺岡の誠実で爽やかな歌、ひとりとは思えない倍音を持つ大江のコーラスに、この瞬間がとても贅沢な時間であることを実感する。 なぜか『ベルサイユのバラ』の寸劇を繰り返したり、大江の「ラゾーナはブームになるんじゃない? お洒落な、ヤングな…」という親父ギャグ発言に、寺岡の突っ込み「それはいけねー!」が入り、これはもう新コンビ結成か? ピアノとキーボードの絡みがそれはそれは美しかった「hello,again」は名曲だと断言したい。だからもう一度hello,again。一夜限りではなく、この歌が伝えてくれたように、これが始まりの夜になってほしいと心からそう願った。 構成・文●柳村睦子
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