ライヴ・レポート Part4
■圧倒的な世界観 ASKA
なりふり構わずに盛り上がった後、「(この人は)すごいぞー!持っていかれるぞ! 持っていかれるなよ!」という、やや興奮した櫻井の言葉でステージに姿を現したのがASKA。櫻井、そして小林とがっちりと握手をしてその圧倒的なステージが始まった。
最初の楽曲はストリングス主体にアレンジされた「君が愛を語れ」。ASKAのナンバーとして“隠れた名曲”とされるこの曲は、ラヴソングでありながらも戦争や環境問題などにも広く通じる、大きなテーマ性を持ったものだ。そして、「オィーッス」という、彼のお気に入りのモノマネ“いかりや長介”での挨拶を挟み、もはや多くを語る必要のない「はじまりはいつも雨」を披露。さらに「もっと日が沈んだ状態をイメージしていたんですけど・・・」と語りながら「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」のシャウトへと続く。櫻井が最初に言ったとおり、筆者をはじめ多くのオーディエンスが完全にASKAに心を持っていかれてしまった。
「ap bank fesは櫻井君から誘われたんだけど、彼が誘ってくれたからこそ出ようと思った」「次の曲は、照れるんだけど、今本気で伝えたいことを歌います」とのトークの後で、ASKAが歌いだした曲──「同じ時代を」。
<君を愛しつづけたすべてを 明日の方へ送りたい/いつか遠い遠い未来の誰かに 伝えることができるなら> <同じ時代を 歩いていく 僕たちさ/物語を つないで行く 僕たちさ>
「同じ時代を」の歌詞は、一青窈の「ハナミズキ」と同じく、我々と自然環境についての関係を歌っているようにも聴こえた。未来の、これから生まれ出てくる自分たちの分身に何を伝えないといけないか、何を残さないといけないか。そして今を生きる我々はどんなことができるだろうか。そんなことをオーディエンスに提示し、ASKAはステージを終えた。
■夢の共演 小田和正&Bank Band
ステージはBank Bandと、再び小田和正が立っていた。ここで歌われたのが、櫻井が「特別な曲」と紹介した「生まれ来る子供たちのために」。
これは、1980年に小田和正率いるオフコースがリリースした曲で、Bank Bandもシングル「to U」のカップリングナンバーとして収録している。多くの過ちを繰り返し、もう後戻りできないところまできてしまった今、この次の時代に生まれてくる子供たちのために何ができるかという本楽曲の持つ強いメッセージとapbankの主旨がレゾナンスを起こし、小田とBank Bandの共演を生んだ。そしてこの共演によって、彼らの伝えたかったメッセージがオーディエンスに伝わっていく・・・という、apbankの目指すものをまさに目の当たりにした瞬間であった。
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