ライヴ・レポート Part3
■しっとりと聴かせてくれた 一青窈&Salyu
櫻井に座ることを促され、ゆったりとした気分でその歌声を聴かせてくれたのがSalyuと一青窈。
つま恋の地に降った雨が、大地に染み込むように、彼女たちの声が、歌が、そして込めた想いが会場のすべての人の心に染み込んでいく。
<君と好きな人が 百年続きますように>
という、一青窈の「ハナミズキ」の一節。平和への祈りを歌った曲だとは知りつつも、つま恋のこの会場では、それはまるで自分たちと自然もしくは地球との関係を歌っているかのようにさえ思えてくる。
また、「このフェスのためにこの曲をつくりました」という新曲「てんとう虫」は、“世界が何のためにあるかわからないから、私やあなたが、世界のためにある、と思ってみる”と静かに、だけど力強く歌う姿が印象的。一青窈の想いは確実につま恋の心をぎゅっと掴んでいた。
■サプライズの連続 小田和正
───名曲を聴くと、流行した当時を思い出す。1曲目で一気に15年前までタイムスリップさせてくれたのが小田和正だ。
「ラブストーリーは突然に」のイントロで会場がヒートアップ。櫻井曰く「日本一美しい声」は健在だった。そして小田和正は我々の想像を遥かに超えていた。大御所と言われる彼は、ステージ上にどっしりと構えて、情感豊かに名曲を歌い上げ・・・ることなく、なんとステージを駆け回る。さらにこの偉大なるミュージシャン59歳は、ステージ上では飽き足らず、なんとステージを降り、観客席の通路まで走る走る! 加えて自力ではステージに上がれないというパフォーマンス付き! 小田和正のエンターテナーとしての姿勢の見せつけ方には、オーディエンスはもちろん、関係者も、そしてほかの出演者も賞賛の拍手を贈ったに違いない。
一方で、当たり前のことながら、やっぱり彼は超一流のシンガーだった。「伝えたいことがあるんだ」「愛を止めないで」(この曲は「Tomorrow NeverKnows」の出だし弾き語りつき!)」「言葉にできない」と、名曲の数々を次々に打ち込まれるたびに耳と心を奪われ続けた。小田和正という人の凄さに、ただ脱帽のステージだった。
■これぞ“宴会部長”のなせる技 GAKU-MC
「次は僕の友達をお招きして、勢いだけでいこうかなー!」 櫻井の言葉とともにステージに姿を現わしたのが、自称“ヒップホップ界の宴会部長”GAKU-MC。
先に行なわれたサッカーW杯決勝の“あのプレー”を皮肉ったMCと煽りで、太陽をミラーボールに、そして会場全体をダンスフロアへと見事に変貌させた。衣装がサッカーのユニフォームというところからわかるとおり、歌うは櫻井とのコラボ曲「手を出すな!」。
途中では櫻井とともに観客席にサッカーボールを蹴り入れ、またコーラスに参加したSalyuと一青窈は強力水鉄砲で炎天下にさらされているオーディエンスに水を浴びせるなど、もはやお祭り状態に。「この男ほどの盛り上げ役はそういないな」と思わせるステージを見せてくれた。
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