| ──ベスト盤というと、これまでの活動にひとつ区切りをつける印象も受けますがご自分ではいかがですか?
中島:私にとっては、区切りというよりもう一度初心に戻るいいキッカケになったなって感じがしてて。まだ初心のつもりでずっとやってきてはいたんですけど、いつのまにかベストを出してるんだって。そう思ったら、もう一度ちゃんと原点に戻ってみようかなって。
──今回「AMAZING GRACE」と「STARS」が新録ですが、あらためてレコーディングしてみていかがでした?
中島:デビュー曲を歌い直すっていうのは、その頃からのファンへのお礼の気持ちもあったし、初めて聴く人や“NANA”で私を知った人には、今の声のほうが聴きやすいかなとも思ったりして。「STARS」に関しては、今になってやっとこの曲の難しさがわかるというか。デビューの頃よりも今回のほうが苦労したかもしれないですね。
──新録の「STARS(new vocal'05)」を聴いて、中島さんの声に柔らかさや包容力が増しているように感じました。自分では歌い方や声の変化を感じている?
中島:声は、(作品を)通して聴くと“変わったのかな”と思うんですけど、歌い方に関しては4年間で変わったっていうよりは毎回1曲1曲その曲に合わせて違ったことをやってきてるから、いきなり変わった感じはないのかな。慣れた感じもしないですし。
──「AMAZING GRACE('05)」ではジャズの綾戸智絵さんとコラボレートされていますね。
中島:この曲はどういう感じになるか全然予想がつかなくて。綾戸さんがやってくださったのもあって、ほとんど委ねましたね。この曲はドラマ(「傷だらけのラブソング」)の時に歌ったんですけど、デビュー曲よりも先にみんなの反響がすごく大きかったんですよ。自分でもこの曲はすごく好きだったし、自分の曲ではないけどデビュー曲のような気もしてるし不思議な曲ですね。
──全14曲のうち、特に歌うのが大変だった曲や、特に思い入れの強い曲はありますか?
中島:難しかったのは「Love Addict」ですね。でも、特別な思いはなくてどの曲も全部一緒ですね。全部聴いてもらいたいし、この中のどれかが私の核になってるというのもないですね。
──いろんなカラーの曲があって、中島さんはどの色も着こなすことができる人なんだなと思う。でも、それって実は自分の中に確かな芯があるからこそ、どんな色を身に着けても似合う(=流されていない)んじゃないのかなと思うんです。
中島:んー、なんて言ったらいいのかわかんないけど、自分でもどんな色にも染まれると思ってるんですけど、それよりもどっちかっていうと、「曲を自分に寄せる」って感じですかね。私は曲をジャンルで選んだことはなくて、曲は曲としてしかお付き合いしてないんですね。いいか・悪いか、届くか・届かないかでしかないので、たとえば“今はジャズが流行ってるから”ってそれに乗ることはないんですよね。たぶん、裏と表みたいなことなんでしょうね。自分に寄せることもできるし、自分が曲に染まることもできる。
──俳優が役作りをするように、自分に曲を寄せるコツみたいなものはありますか?
中島:私は、曲をもらってから歌うまでは第一印象でしか決めないし、曲をそんなに何度も聴かないんですよ。1回で覚えられる曲、印象に残る曲をやってるので、ものすごく聴き込んで歌うって感じではないですね。
■インタヴュー後半へ |
|