プロフィール・バイオグラフィ・リンク

スウェーデンのハード・ロックが生まれ変わろうとしているこの時、多くのバンドがその分け前に預かろうと行動を起こしているが、ストックホルム出身のFATEL SMILEはその中でも抜きん出ており、それは聴いてもらえさえすれば明らかだ…。

地元カトリーヌホルムからストックホルムにやって来た「Y」ことギタリストのユクセル・ウヌトマツは、1995年、同じく音楽のキャリアを追求する目的でストックホルムに来ていたベーシストのマーカス・ヨハンソンと、後にScudieroやTokenといったバンドでもアルバムをリリースするシンガー、H.B.アンダーソンとともに早速バンドを結成する。

すぐさま曲作りが行なわれ、ライヴ活動も開始したバンドは、2000年にデモをリリースすると、地元スウェーデンのGMR MUSICと契約を交す。2002年にはデビュー・アルバム「Beyond Reality」が店頭に並んだ。Yngwie Malmsteenや Gloryのドラマーとして知られるヨナス・オストマンがプロデュースを手掛けたこの作品に対する反応は、世界的に驚くほどポジティヴなものだった:

「ガツンと来るアルバム、そしてハード・ロックの未来最大の希望」(Metal Dreams)
「10点満点中9点」(Hard Radio)
「2002年のトップ10アルバム」(Heavy Metal Resources)
「...ヘヴィ・メタルの超メロディック・サウンド復興に一役買う運命にある」(www.rockrage.com)

メディアからの最高の注目に後押しされたバンドは、再度ロードに出てヘッドライナーやサポート(Thin Lizzyのストックホルム公演を含む)としてライヴを行ない、またフェスティヴァルにも参加する。締めくくりは2003年にアメリカで行なわれたフェスティヴァルで、この出演が大成功を収めたため、バンドは再度アメリカ・ツアーを行なう機会を獲得、フロリダからニュー・ジャージーまで21日間で16公演を行なう。

スウェーデンに凱旋したバンドは、同じくアメリカ(ただし彼の場合はロサンゼルス)から帰国したばかりのドラマー、トマス・リンドグレンと出会い、トマスを含めたラインナップで曲作りを開始する。2004年に入り、バンドは再びヨナス・オストマンをプロデューサーに迎え、セカンド・アルバム「Neo Natural Freaks」のレコーディングを行なう。ミックスを手掛けたのは、RammsteinやBackyard Babiesの作品等で知られるステファン・グラウマンだ。2005年12月、アルバムに先駆けてリリースされたシングル「Learn - Love - Hate」は、スウェーデンのシングル・チャートで初登場6位を記録。その後も順調にセールスを伸ばし、最高位3位の大ヒットとなった。この勢いを受け、バンドは2006年3月、待望の日本デビューを飾る。

2006年10月から11月にかけ、WINGERやW.A.S.P.のサポートとしてヨーロッパ6カ国15都市をサーキット、サポート・アクトながら各地で熱烈な歓迎を受けたバンドは、その勢いを駆って2007年2月、ノルウェーのWIG WAMの来日公演のスペシャル・ゲストとして日本への初上陸を果たす。帰国後、再びW.A.S.P.とノルウェーおよびフランスをツアーしたバンドは、といったフェスティヴァルへも出演を果たす。しかしながらこの間にメンバー・チェンジが発生、ベースのマーカスとヴォーカルのH.B.が脱退してしまう…。後任にはそれぞれアレックス・ジョンソン、トーマス E. ブレイドを迎えたバンドは、8月にはニュー・アルバムのレコーディングを開始する。

このレコーディングされた音源は9月にはYとアレックスとともに海を渡り、MetallicaやOzzy Osbourne、Skid Rowなどのアルバムを手掛け、関わった作品の合計売り上げは全世界で5,000万枚を超えるという伝説的なプロデューサー、マイケル・ワグナーの手によってアメリカでミックスが行われた。こうして完成したこの『World Domination』は、2008年2月、日本独自のジャケットを採用してSPIRITUAL BEASTよりリリースされる。なお、この間にドラムのトマス・リンドグレンが脱退、後任としてズテフが迎えられている。

2007年のハード・ロックについて知っていると思っていることは忘れた方がいい。なぜならそれはFATAL SMILEの手によって不要なものになってしまったのだから。育ってきた過程で聴いていた音楽に影響されつつもそれに縛られることない彼らのサウンドは、常にルーツを大切にしつつ、ロックを新たな方向へと導くものだ。心地よいのにエキサイティング、デンジャラスなのに何故か馴染みやすい。必要とあらばルールを曲げることすら恐れない彼らのやり方を、いつの日か全てのバンドが追い掛けることになるだろう…。