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Led ZeppelinやCreamの持つサイケデリックな攻撃性を、ブルースに重点を置いたシンプルでハードなブルースロック・サウンドにとけ込ませたFreeは、''70年代初期の、Savoy BrownやFreetwood Mac等のブルース・インヴェイジョンの中でも、最も成功を収めたバンドの1つであった。Paul Rodgersの哀愁を帯びたうめくような低音のヴォーカルと、ギタリストPaul KossoffとドラマーSimon Kirkeの個性的なスタイルよって、Freeは“The Stealer”“Mr. Big”等のヒット曲を生みだし、特に最大のヒットとなった“All Right Now”は、''70年、1年を通じてアメリカのAMラジオでオンエアされ続けた。

KossoffとRodgersは、それぞれEric Claptonと、Otis Reddingの影響を受け、バンドの中に2つのユニークなスタイルを確立していった。KirkeとベーシストのAndy Fraser (Robert Palmerのヒット曲“Every kind Of People”等の作者)のプレイも独特のアプローチを持ち、シンプルだが非常にソウルフルでパワフルであった。

CreamやLed Zeppelinと違って、Freeはそれぞれのメンバーが大げさなソロプレイを披露するというより、トーンを押さえた叙情的で渋いブルースを聴かせるバンドだった。''68年発表の『Toms Of Sobs』は、Kossoffがその時代を代表するギターサウンドを展開した、素晴らしいブルース・アルバムである。チョーキングやサステインの効いた奏法で、Kossoffは激情や情念を豊かに表現した。

その後Freeは''69年に『Fire And Water』を発表。ここには“Heavy Lord ”“Oh I Wept”等の胸を焦がすようなバラードや、“Mr. Big”“Fire And Water”等のパワフルなロックナンバーが収められ、全世界にFreeの名を知らしめた。続いて『Highway』を発表するが、出来はいまひとつであった。しかし“Wishing Well”や“Heartbreaker”が収録された''73年の『Heartbreaker』は、再び素晴らしい作品となった。

''70年代なかば、バンドは解散状態となる。Fraserは牧場にひきこもり、Kossoffはヘロイン中毒になった(しかし、彼は『Back Street Crawler』という素晴らしいソロ・アルバムをレコーディングしている)。KirkeとRodgersはBad Companyを結成し、瞬く間に成功を収めるが、それはFreeの洗練されたパワーを巧みに計算し、模倣したものにすぎず、もはやソウルは失われていた。Kossoffはニューヨークからロンドンに向かう旅の途中、息絶えた。明らかにドラッグが原因だった。