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マシュー・セージはミュージシャン、インターメディアアーティスト、レコーディングエンジニア、プロデューサー、出版社、教師。

2010年代初頭からコロラドとシカゴを行き来しながら、遊び心とニュアンスのある速度と完全主義的な感性でプロジェクトを進め、さまざまな方向に広がる実験的なスタジオ音楽の特異なカタログを構築していることで知られている。

M.Sageとしてソロ作品を発表する一方で、即興的なアンビエントジャズカルテット「Fubutsushi」(風物詩)への参加など、コラボレーションもしばしば行っている。2023年にRVNG Intl.からのデビュー作品『Paradise Crick』は、5年の歳月をかけて辛抱強くデザインされたもので、異例ともいえる説得力のある作品となっている。曲がりくねったトレイルとパスのシステムのように、それは時間によって形作られ、自然界と人工の世界を一体化させた牧歌的なファンタジーのようなものだ。

コロラド州で生まれ育ったセージは、ドラムやギターなど、手に入る楽器は何でも演奏して育ち、中学から高校にかけてバンドに参加した後、インターネット上のDIY音楽文化に出会った。大学在学中にテープレーベル“Patient Sounds”を設立し、M.Sageとして、またFree Dust、 Professional Flowers、Starling Murmurations、RxRy、Wellington Downsといったペンネームで音楽をリリースしている。

2014年、セージはシカゴに移り、シカゴ芸術学院の大学院に進学し、ライティングとインターメディアアートを学んだ。自宅スタジオでセージは“合成”の世界にのめり込み、多くの一般的な手法やスタイルに手を出し、しばしばフィールドレコーディングやシンセサイザーやエレクトロニクスで製作したサウンドデザイン要素を取り入れた。Patient SoundsとGeographic North、Florabelle Records、Noumenal Loom、Orange Milk、Moon Glyph、Past Inside The Presentなどの著名な実験的レーベルから、着実にプロジェクトを発表し、The WireやNPRなどの出版物で注目されるようになる。

セージは2019年の10周年にPatient Soundsをクローズし、その1年後に共同音楽プロジェクト、印刷物、その他の放送・出版実験のためのインプリント“Cached.Media”を立ち上げた。パフォーマーとしてのセージは、図書館や美術館、そのほか型破りな空間を好み、カリフォルニア州パサデナの日本茶庭園で畠山千平のためにオープニングを行ったのは最近のハイライトと言えよう。また、MoMa、Whitney、シカゴ美術館のためにサウンドデザイン、インスタレーション、オリジナル楽曲も制作している。

セイジとその家族は現在コロラド州の田舎に住んでおり、そこからようやく、5年前に最初に想像したデジタルフォレストスケープの目的地であり、彼の世界を構築する電子音響技術の集大成であるパラダイスクリックを提供する。2023年の初夏にオープンする予定だ。