──3人とも、バラバラなキャラクターな感じですね。
木谷 雅(Vo&G/以下、木谷):僕は、路上でアコギ1本で歌っていたタイプ。足土は、その時々の流行を敏感に取り入れるタイプ。加藤は、金髪のロン毛でレイバンのサングラスをかけて、皮ジャンにブーツみたいな王道ロッカー・タイプですね(笑)。
──『Silent Pictures』は、メロディの美しいシンプルなバラードや、打ち込みの入ったダンサブルなトラック、ギター・ロックなど、3人の個性がうまく調合されたアルバムですね。
加藤拓也(G/以下、加藤):そうですね。いい具合に3人の化学反応が起こっている感じですよね。
足土貴英(B/以下、足土):すでにインディーズでアルバムを2枚出しているんですけど。そこではもっといろんな挑戦をしていて。例えばもっと打ち込みの要素を前面に出したり、サンプリングの要素を取り入れてみたりとか、実験的なことをいろいろと試していたんですよ。で、実験的なものを試行錯誤していって、自分たちが今やりたいと思った音が、昔ながらの歌が響くシンプルな歌謡曲や、ポップス。そのあたりを意識した音づくりをしましたね。結果、これまで出したアルバムのなかで最もストレートな歌が詰まった1枚になったと思う。だから今回は、歌を引き立たせるアレンジなんですよ。
──歌詞に関しても、4曲目の「イエスタデイ」のような甘くせつない世界もあれば、8曲目「Desire」のような社会を痛烈に批判するメッセージ性の強い曲もあり、さまざまだけど、どの曲も根底には、聴く者に勇気を与える、強さがありますね。
木谷:1曲ごとにいろんな風景が浮かんでくるものになったと思う。そこには強さはもちろん、真逆の弱さの部分も表現してます。弱さを伝えるからこそ、表現できる強さもあると思うから。そういう陰と陽のバランスがうまく取れている歌詞かな、と思います。
──作詞でこだわったことは?
木谷:目の前にある、日常に落ちている言葉をパズルのように集めることによって、すごリアルなフレーズが浮かんでくる。またそこから大きなことが導かれることもあるから、小さな日常を描くよう心がけました。なので歌詞は、僕の日記のような感じですね。
──木谷さんの描く歌詞、共感する部分があるのでは?
足土:僕ら、2年前から一軒家で共同生活しているんですよ。なのでツアーも一緒、家でも一緒。ほぼ同じ時間を共有しているから、見るもの、感じるものに共通することが多い。だから歌詞ができると”あっ、この時に感じたことを言葉にしたんだな”ってわかる。本当、日記みたいなんですよ。ただ9曲目「lonely vacation」の歌詞だけは、わかんないかなぁ(笑)。
木谷:あれは僕じゃないんで。某大学生サークルが起こした事件の話なんで(笑)。
──『Silent Pictures』、リスナーの心にどう響いてもらいたいですか?
木谷:ときに攻撃的な気分になったり、優しいおだやかな気分になれたり、また今の自分、昔の自分、未来の自分に思いを馳せることもできる1枚だと思う。それで、全曲聴き終わったときに、明日へ歩んでいくための勇気になってくれればいいな、と。
──5月からは全国ツアーですね。
足土:「イエスタデイ」をきっかけに来てくれる人もいると思うんですけど。そういう人を、いい意味で裏切るライヴになると思う。こんなに激しいバンドなの?なんて驚くこともあるかも。だから、はじけたい人はしっかりはじけられる、またじっくり歌を堪能することもできるという、いろんな楽しみ方ができるはずです。
──最後に今後のバンドのビジョンを。
木谷:これまで僕たちは、すごく大きな目標ばかり掲げて、挫折してきた。だから今は、着実に一歩づつ進んで行って、自分たちができるところを精一杯やっていけば、いずれ大きな場所にたどり着けるのではないかと思っています。目の前にあることを1つ1つを大切にしていきたいですね。
足土:新しいことは何でも挑戦したい。人生、楽しんだモノ勝ちだと思うんで。
加藤:バンドの力、というか3人が集まったときのパワーをずっと発信し続けていきたいですね。